『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
昭和40年代、国鉄の動力近代化によって全国の蒸気機関車が廃止となり、昭和48年には当時の国鉄山口線からも蒸気機関車が姿を消すことになりました。その後、全国の鉄道ファンなどからの蒸気機関車復活を望む声が高まり、昭和54年8月1日から山口線にSL「やまぐち」号が復活運転を開始しました。牽引機は鉄道開業百年を記念して開設された京都「梅小路蒸気機関車館」の動態保存機のC57形1号機が選ばれ、今年で復活36年目を迎える同列車の顔として活躍を続けています。
なお、C57形は昭和12年から201両が製造された亜幹線旅客用蒸気機関車で、全体のバランスがとれたスタイルから「貴婦人」の愛称が付けられています。
また、運転開始当初は旧形客車が使用されていましたが、現在の使用車両は12系レトロ客車で、車両ごとにコンセプトの異なるデザインが施されているのが特徴。1号車の展望車風客車には展望デッキや展望室があり、かつての特急列車の最後部を彷彿させるものとなっています。
下り列車の新山口寄り最後部に連結される展望車。ワイドな展望風景を楽しめるデッキと赤色でコーディネートされた展望室と客室がある。
展望風客車の開放的な展望デッキに続いて設置された展望室。かつて特急列車の最後部を飾った展望車をイメージした座席が並んでいる。
オリエント急行に乗っている気分が味わえる車両。ボックス席の上部仕切りにステンドグラス、天井にシャンデリア風の照明が設置されている。
懐かしい昭和の時代を再現した車両。天井に昔風の電灯、窓上に本物の網棚が設置され、板張りの床など往時の客車の雰囲気を醸し出している。
落ち着いたデザインで明治の香りを再現した車両。ダークブラウンの色合いと壁面に設置されたレトロなランプが汽車旅を盛り上げている。
大正ロマン華やからしき時代を再現した車両。天井に明かり取りの窓が設置されているほか、津和野寄りに展望デッキが設置されている。
大内文化が香る西の京・山口にある室町時代の五重塔。奈良の法隆寺、京都の醍醐寺の五重塔とともに日本三名塔のひとつに数えられている。
阿武川の中流域にある奇岩や深淵などが織りなす変化に富んだ峡谷。四季折々に美しい景観を楽しめるところで、国の名勝に指定されている。
日本五大稲荷のひとつとなるところで、願望成就の願いを込めて「稲成」と表記。参道に連なる朱色の鳥居が壮麗な雰囲気を漂わせている。
山陰の小京都と呼ばれる津和野の町を象徴する殿町通り。武家屋敷などが建ち並び、道路脇にある白壁を映す掘割には錦鯉が泳いでいる。
白狐が見つけた美肌の湯。泉質はアルカリ性単純温泉で、肌によく馴染む軟らかい湯が人気。湯田温泉駅前など6か所に足湯が設置されている。
由来が元禄時代にまで遡る津和野名物のあん巻き焼き菓子。昔ながらのこし餡のほか、店によって粒餡や抹茶餡、ゆず餡なども使われている。
山口エリアの旅には、山口県内の新幹線停車駅までの往復の新幹線普通車指定席と自由周遊区間内の特急・普通列車の普通車自由席および指定の路線バスの3日間乗り降り自由がセットになった「やまぐち幕末ISHINきっぷ」(2人以上同一行程・前日までの発売・大阪市内からおとな22,000円・3日間有効)が便利でおトク!平成28年1月8日利用開始分までの期間限定きっぷで、別に指定席券(おとな520円)を購入すればSL「やまぐち」号や「みすゞ潮彩」の指定席車に乗車できる。
文:結解喜幸、写真:西日本旅客鉄道、交通新聞サービス
※掲載されているデータは2015年7月現在のものです。