『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
JR九州の豪華寝台列車「ななつ星 in 九州」のデザインを担当した水戸岡鋭治氏が、横浜市の原鉄道模型博物館を開設した故・原信太郎氏が製作した模型を元に、新たに製作したのがJRKYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」です。信太郎氏が子どもの時、東京・田町の操車場に置かれていた美しい装飾やステンドグラスのある華麗な作りの車両に魅せられ、そこへ何度も通ってスケッチをしたといいます。この車両こそ、1906(明治39)年に当時の九州鉄道がアメリカのブリル社に発注した豪華客車でしたが、一度も営業運転に使用されることなく、最後は東京で廃車となる運命を辿ることになりました。
この模型を元に製造されたのが気動車2両編成の豪華列車「或る列車」で、車両の外観や内装は優雅な鉄道旅の愉しさが伝わる上質なものとなっています。平成27年8~10月の大分~日田間に続き、11月からは佐世保~長崎間で運転され、車内では東京・南青山のレストラン「NARISAWA」オーナーシェフの成澤由浩氏が監修したレシピを元にしたスイーツなどが提供されます。
模型の「或る列車」を手本として、黒とゴールドを基調に唐草模様をあしらった豪華列車にふさわしい外観デザインを採用している。
開放的な2人席と4人席が配置された1号車。ロマンチックな色・クラシカルな形で、素材には明るく優しいメープル材が使用されている。
1号車に設置された車内サービス用のカウンター設備。2号車にも同様のカウンターが設置され、ここでスイーツやドリンクの準備が行なわれる。
中央通路の両側に2人用個室が配置された2号車。落ち着いた色のウォールナットの組子に囲まれたラグジュアリーな空間を演出している。
2号車の先頭寄りに設置された車いす対応の広々とした多目的トイレ。隣接して一般用の洋式トイレや洗面所が設置されている。
ステンドグラスがデザインされた2号車の出入り口ドア。車内に一歩足を踏み入れた瞬間から上質で優雅な空間を感じることができる。
九州の旬の肉・魚・野菜を使用した東京・南青山のレストラン「NARISAWA」の技が詰まった弁当。スープとともに旅のはじまりを楽しめる。
カクテルグラスに盛り付けられたスイーツ1品目。今までに体験したことがないスイーツの魅力的な旅のスタートを感じることができる。
大きなガラス皿に盛り付けられたスイーツ2品目。車内のライトによる演出も加わり、この列車に乗車した誰もが驚嘆の世界へと導かれる。
陶器皿に盛られて出てくるメインスイーツとなる3品目。パンケーキやケーキなどちょっぴりボリューム感があるスイーツが提供される。
旅の最後を彩る一口サイズのミニャルディーズ(お茶菓子)。コーヒーや紅茶などと一緒にゆっくりと至福の時を締めくくることができる。
JRKYUSHU SWEET TRAIN「或る列車」に乗車するには、JR九州の専用ホームページから先行予約(平成28年3月までの分は終了)で申し込むことができる。なお、応募者多数の場合は抽選により決定する。
また、長崎コースの一般発売はJR九州旅行支店・駅旅行センター・或る列車ツアーデスク(10~17時、水・日曜・祝日休業、?092・289・1537)にて平成27年9月1日から行なわれる。このほか、全国の主な旅行会社が設定する旅行商品で運行する日もあるので、詳細は各社のHPなどで確認するとよいだろう。
文:結解喜幸、写真:JR九州、交通新聞サービス
※掲載されているデータは平成27年8月現在のものです。