『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
東海道本線豊橋駅と中央本線辰野駅を結ぶ全長195.7km 全94駅の路線が、愛知・静岡・長野の3県を走る抜ける飯田線です。途中の大嵐駅付近から天竜峡駅付近まで天竜川に沿って走りますが、天竜川によって作られた複雑な地形により、集落から離れた険しい場所に設置された駅や、ダム建設による集落の水没で乗降客が極端に少なくなった秘境駅が6駅もあります。厳しい地形の中にあるため、駅周辺に人家や人の気配が全く感じられず、鉄道以外で到達することが難しい駅のことを「秘境駅」と呼んでいますが、これは鉄道愛好家の牛山隆信氏によって命名されたもので、全国各地の路線に点在しています。
それでは、豊橋駅から急行「飯田線秘境駅号」に乗車し、途中6駅の秘境駅の旅を楽しんでみることにしましょう。途中の中部天竜駅を発車した列車がトンネルを抜けると、左手に天竜川の流れが見えてきます。車窓の風景が険しい峡谷へと変わり、まずは小和田駅・中井侍駅に停車。平岡駅でしばし休憩した後は、為栗駅・田本駅・金野駅・千代駅と秘境駅に停車しますので、各駅周辺のミニ散策も楽しむことができます。
車体側面にワイドな窓を配置したワイドビュー車両の373系電車。身延線の特急「ふじかわ」や飯田線の特急「伊那路」にも使用される。
ゆったりしたシートピッチの2人掛けリクライニングシートを配置。ワイドな窓から飯田線の険しくも美しい車窓風景を十分に楽しめる。
3両編成の列車の2・3号車の車端に設置された4人掛けのボックスシート。4人の家族・グループ旅行などで利用することができる。
皇太子殿下と雅子様のご成婚により、旧姓と駅名の字が同じことで有名となった駅。佐久間ダム建設で周辺集落が水没して秘境駅となった。
信州最南端にある駅で、切り立った斜面に駅のホームを設置。現在は2軒の人家が残っており、眼下に“中井侍銘茶”の茶畑が広がる。
平岡ダムの完成により周辺の集落が水没したことで秘境駅の仲間入りとなった。駅前にはゆったりと流れる天竜川ののどかな風景が広がる。
天竜川沿いの複雑な地形により集落から離れた場所に設置された駅。ホーム背後のコンクリート製の巨大な壁が秘境駅のムードを盛り上げる。
田本駅と同様に集落から離れた場所に設置された駅。周辺には人家もなく、駅前には細く曲がりくねった道があるだけで秘境感が漂っている。
かつては天竜川の砂利採取の貨物駅として賑わったこともあったが、現在は砂利積み込み用のトンネル跡と1軒の人家しかない秘境駅となった。
飯田線の急行「飯田線秘境号」は、乗車券(豊橋~飯田間は片道おとな2590円・こども1290円)+急行券・指定席券(豊橋~飯田間は片道おとな1500円・こども750円、運転日により指定席料金が異なる)で乗車することができる。
名古屋・飯田地区(飯田線豊橋~飯田間含む)の快速・普通列車の普通車自由席が土曜・休日に1日間乗り降り自由となる「青空フリーパス」(おとな2570円・こども1280円)を利用した場合、別に急行券を購入すれば急行「飯田線秘境号」に乗車することができる。
また、別に特急券を購入すれば特急「(ワイドビュー)伊那路」にも乗車することができるため、往路または復路に特急列車を利用する場合も便利でおトクとなる。
文:結解喜幸、写真:JR東海、SONIC RAIL GARDEN、交通新聞サービス
※掲載されているデータは2015年11月現在のものです。