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栄光の新幹線シリーズ(2) [東海道・山陽新幹線 300系・500系・700系車両]平成4年3月14日、最高速度270km/hの300系が登場。今回は更なる高速化時代に入った新幹線車両にスポットを当てて紹介します。(文=結解喜幸 写真=結解学)

What's 世界の高速列車?

 昭和39年10月1日に開業した東海道新幹線は世界の注目を浴びる存在となり、欧州各国でも高速列車の開発が推進されることになりました。平成2年に入ると最高速度300km/hを目指した高速車両の開発に各国がしのぎを削るようになり、フランスのTGV(テージェーヴェ)やドイツのICE、イタリアのES*(イーエススター)、スペインのAVE、スウェーデンのX2000など、欧州各国で最高速度200km/h以上の高速列車が走るようになりました。

 平成9年3月22日から運転を開始したJR西日本の500系は、山陽区間で最高速度300km/h運転を実現しました。フランスのTGVが先に営業運転を開始したため、世界初の300km/h高速運転列車にはなりませんでしたが、500系は山陽区間の表定速度242.5km/hおよび2駅停車駅間の平均速度261.8km/hでTGVを上回り、1997年のギネス・ワールド・レコーズに掲載されました。

 現在、最高速度300km/hまたは320km/h以上で運転されている世界の高速列車は、フランスのTGVやドイツ・オランダのICE-III(アイシーイー)、イギリス・フランス・ベルギーのEurostar(ユーロスター)、フランス・ベルギー・オランダのTHALYS(タリス)、イタリアのES*などのほか、フランスのTGV技術を導入した韓国のKTX(ケーティエックス)やJR東日本のE2系および欧州の高速車両をベースにした中国の高速列車があります。

 なお、平成19年1月に開業した台湾新幹線は、日本の新幹線システムの初輸出となったものです。台湾新幹線には欧州の技術も取り入れられていますが、車両はJR東海・JR西日本が共同開発した700系を台湾仕様にデザイン変更した700T形となっています。この車両の最高速度は300km/hで、これまで在来線の特急列車「自強号」で4時間以上かかっていた台北〜高雄間が1時間36分で結ばれるようになり、台湾の経済・観光の発展に寄与する活躍をするようになりました。

東京〜新大阪間2時間30分を実現 270km/hの300系「のぞみ」登場

 JR東海が東海道新幹線東京〜新大阪間の2時間30分運転を目指して開発したのが、最高速度270km/hに対応した新世代の高速車両となる300系です。平成2年に登場した試作車を使用して各種試験が行なわれ、平成4年にはその試験結果を元にした量産車が製造されました。

 先頭車は空気抵抗や騒音・振動を低減するための独特な流線形スタイルとなり、車体も軽量化するためにアルミ合金を使用。新幹線で初となるVVVFインバータ制御装置の採用や100系よりも30%出力アップした300kWの主電動機を搭載するなど、高速運転に対応した最新の技術が盛り込まれています。

 平成4年3月14日改正から東京〜新大阪間を結ぶ「のぞみ」としてデビューを飾り、同区間を最高速度270km/h、2時間30分で結ぶようになりました。朝一番に東京駅を発車する「ひかり301号」では、途中の新横浜駅にのみ停車し、名古屋駅・京都駅を通過するという新幹線開通以来初のダイヤが組まれ、新聞紙上では「名古屋飛ばし」として話題となりました。

 日本の新幹線の高速化の先陣を切った300系ですが、500系や700系の登場により「のぞみ」運用から引退。さらにN700系の増備で順次廃車となっており、活躍する姿を見られるのも時間の問題となっています。

東京〜新大阪間において2時間30分運転を実現した最高速度270km/hの300系

食堂車やビュッフェ車を廃止して7・11号車に設置された300系のサービスカウンター

最高速度300km/hで快走する スピード感にあふれた500系車両

 JR西日本が当時の世界最高速度となる300km/h運転を目指して開発したのが、平成8年1月に最初の1編成が登場した500系です。高速化に伴う騒音問題を軽減するため、先頭車両はジェット戦闘機のような鋭く尖ったロングノーズとなり、車体全体も飛行機の機内に似た円筒形になっています。車体塗色は従来の白地に青帯からライトグレーにブルーとダークグレーの帯を配するオリジナル色になっており、トータル的なデザインがほかの新幹線車両と大きく異なっています。

 この車両は高速性能を発揮するためにすべての車両が電動車となり、16編成の総出力は18,240kW(第2編成以降は17,600kW)となりました。300系の12,000kWおよび700系の13,200kWと比較してもわかるように、高速化に徹した出力を確保しています。そこで問題になるのがブレーキ性能ですが、悪天候時にはセラミックを線路に噴射する装置を搭載しており、270km/h走行時の300系と同じ距離で停止できるようになっています。

 平成9年3月22日改正から山陽新幹線新大阪〜博多間で営業運転が開始され、最高速度300km/h、同区間を2時間17分で結ぶ「のぞみ」が登場しました。同年11月29日からは東海道区間への乗り入れが実施され、東京〜博多間を300系よりも15分短縮の4時間49分で走破する列車が誕生しました。その後に登場した700系は最高速度285km/hで、最速列車の座はN700系登場まで保持することになりました。

山陽区間において最高速度300km/h運転を実現したスピード感にあふれるスタイルの500系

落ち着いたデザインの車内に2+2席配置のリクライニングシートが並ぶ500系のグリーン車

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