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栄光の新幹線シリーズ(5)JR東日本のEシリーズ E1・E2・E3・E4系車両

東北新幹線の標準仕様E2系10両編成が登場

 平成9年3月22日から秋田新幹線用のE3系「こまち」と併結し、東京〜盛岡間で運転を開始したE2系8両編成は、最高速度275km/hで走行する東北新幹線のエースとして活躍するようになりました。車両性能・車内サービス設備など長野新幹線用のE2系と同じもので、車体中央の帯の色も同じものでした。平成14年12月1日の東北新幹線八戸延伸開業に合わせて10両編成化を実施し、帯色が深紅レッドから東北の木々の花々をイメージしたツツジピンクに変更。編成両数と帯の色から東北新幹線用と長野新幹線用の車両が一目瞭然に区別できるようになっています。
 東北新幹線用の10両編成で増備された車両は1000番台となりましたが、長野新幹線への乗り入れは行なわないため、抑速ブレーキが省略されるなどの変更点があります。特に外観上ではグリーン車以外の客室窓が座席2列分の横幅を持つワイドなものとなり、座席も座面がスライドする新しいタイプのものが採用されるなど、ゆっくりとくつろいで車窓の風景が楽しめるようになっています。
 また、屋根上のパンタグラフカバーが廃止され、低騒音のシングルアーム式パンタグラフを採用。乗り心地を改善するため、各車両間に車体間ダンパーの取り付けが行なわれたほか、1・9・10号車にフルアクティブサスペンション、2〜8号車にはセミアクティブサスペンションが設置され、車両の横揺れが軽減されるようになっています。

最高速度275km/hで走行する東北新幹線の新世代車両として登場したE2系10両編成

座面がスライドする新型リクライニングシートを3+2席配置したE2系の普通車

新在直通運転に対応した秋田・山形新幹線用E3系が登場

 新幹線と在来線との直通運転を行なうためのミニ新幹線方式として、平成4年7月1日に山形新幹線福島〜山形間が開業。初の新在直通運転車両となる400系が登場しました。そして平成9年3月22日には秋田新幹線盛岡〜秋田間がミニ新幹線方式で開業し、東北新幹線のE2系と併結して最高速度275km/h運転が可能な高速車両としてE3系が誕生。E2系の走行機器と在来線規格の車体を組み合わせた車両で、スピード感あふれるフォルムとデザインが採用されています。
 車内はグリーン車・普通車ともに在来線規格の2+2席配置で、グリーン車には上下可動式の枕とフットレストの付いたフリーストップリクライニングシートを採用。当初は下り方の2両を自由席車(現在は全車指定席)とし、座席のシートピッチを指定席は980mm、自由席は910mmとして自由席の座席定員の増加と差別化を図っていました。このほか、カード式公衆電話やソフトドリンクの自動販売機など、東京〜秋田間の長距離輸送に適したサービス設備が設置されています。
 また、平成11年12月の山形新幹線新庄延伸開業では、山形新幹線「つばさ」用としてE3系1000番台の7両編成が登場。最高速度240km/hのE4系と併結する400系の増備車となるため、基本性能は400系と同様になっていますが、車両性能的には275km/h運転も可能となっています。400系と同様にシルバーメタリックと明るいグレーのツートンカラーにグリーンの帯を配した外観デザインで、秋田新幹線用とは異なるイメージです。なお、その後に400系の置換用としてE3系2000番台が増備されています。

秋田新幹線の開業に合わせ新在直通運転用車両として登場したE3系6両編成の「こまち」

山形新幹線の400系車両を置き換えるために登場したE3系7両編成の「つばさ」

高速鉄道最大の座席定員数となるE4系「Max」16両編成が登場

 座席定員を増加させて通勤時の着席率の向上を図ったE1系「Max」ですが、眺めのよい2階席が長距離輸送でも好評を博したため、運用体系の柔軟性を考慮したオール2階建て車両としてE4系が開発されました。基本を8両編成とすることで長距離区間での座席供給の適正化が図れるとともに、2本連結して16両編成で運転すれば1634名の座席を確保でき、朝夕の通勤時の着席率の向上が図れるというものです。
 E1系の発展型として、騒音低減の環境対策に考慮した先頭車両デザインの採用および車椅子対応設備や車内販売のワゴン用昇降装置の設置、新型座席の採用など、より一層のサービスの向上が図られています。8両編成のうち、1〜3号車は自由席車で2階席が3+3席配置となるほか、普通車は3+2席配置の座り心地を改善した新型シートを採用。7・8号車の2階席はグリーン車で2+2席配置の大型リクライニングシートが配置されています。
 E1系と比べると先頭車両のデザインが大きく異なりますが、これはしなやかで流れるような有機的三次曲線を追求したものです。11.5mのロングノーズにキャノピー形の運転台を配置した独特なフォルムは、ほかの新幹線車両とは一味違う雰囲気を醸し出しています。最高速度は240km/hで、東京〜福島間では山形新幹線のE3系「つばさ」と併結運転を行なうため、前面カバーの中に自動式の連結器を備えています。
 東北・上越新幹線の「Maxやまびこ」「Maxとき」「Maxたにがわ」を中心に運用されていますが、8両編成26本中のP51・P52編成は長野新幹線の急勾配に対応した軽井沢までの乗入れ可能車、P81・P82編成は軽井沢以遠の60Hz区間にも対応した長野までの乗入れ可能車となっています。

オール2階建て車両として登場したE4系は8両編成。2本連結して16両編成でも運用される

E4系の普通車自由席として使用される1〜3号車の2階席は3+3席配置となっている

※掲載されているデータは平成23年2月現在のものです。

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