『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
北近畿エリアの特急「こうのとり」などでデビューを飾った287系直流特急形電車が、紀勢本線の特急「くろしお」用として登場。特急「サンダーバード」用の683系4000番台の設計概念を踏襲した最新鋭車両で、車体側面窓下にオーシャングリーンの帯を巻いた6両編成(多客時は9両編成)の車両が活躍を始めている。
それでは、京都駅から特急「くろしお」に乗車し、新宮駅までの旅を楽しんでみよう。東海道本線・阪和線を経由して紀勢本線に入った列車は、右手車窓に海の風景を眺め、温州みかんの畑の中を走り、遠くに紀伊水道を見た後は紀伊田辺駅、さらに山越え区間を抜けて終着の白浜駅に到着する。なお、この先はパノラマグリーン車を連結した車両で運転されており、見老津(みろづ)駅付近からの入り組んだリアス式海岸の美しい風景を車窓に映し、本州最南端の駅・串本に到着。さらに静かな入り江の風景を眺め、捕鯨で有名な太地(たいじ)の町や南紀観光の中心地となる紀伊勝浦駅を過ぎれば、列車は間もなく新宮駅に到着する。
北陸本線の683系特急「サンダーバード」と同じ高運転台スタイルの先頭車両。増結時には貫通幌を使用して6〜7号車間の通り抜けができる。
1号車の半室は2&1配置のゆったりとした大型リクライニングシートが並ぶグリーン車。座席にはパソコン用の電源も用意されている。
青色モケットの2&2配置リクライニングシートが並ぶ普通車。背面テーブルと座席の肘掛けに収納されている小型のテーブルが使用できる。
4号車には車イス対応の多機能な大型トイレを設置。トイレ内にはおむつ交換用のベビーベッドや小さな子供が座れるイスも用意。
トイレは3両に2両の割合で設置されており、明るくて使いやすい洗面所も併設。4号車の洗面所は車イスでも使用できる。
1・6号車、7・9号車(増結時)の2階部分にある、前方の視野が広い運転台。パネル部分には各種メーターやスイッチ類が機能的に配置されている。
本州最南端に位置する太平洋に面した岬。明治6年(1873)開設の潮岬灯台があり、紀伊大島とともに熊野エリアの一大観光地となっている。
南紀エリアの観光に便利なのが、平成24年9月30日までの利用期間限定の「くろしお指定席往復きっぷ」(新大阪~白浜間の場合はおとな8,000円)だ。普通車指定席用またはグリーン車用(普通車指定席用におとなは+2,000円)があり、2人以上が同一行程で利用する場合に発売。こども料金は全区間2,000円(グリーン車用は3,000円)なので、こども連れの家族旅行に最適だ。なお、利用開始日の21日前から前日まで、各列車枚数限定での発売となっている。
文・写真:結解喜幸 写真協力:和歌山県、和歌山県観光連盟、裏辺研究所
※掲載されているデータは平成24年6月現在のものです。