『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
真冬のオホーツク海に接岸する流氷を車窓に見ながら走るトロッコ風列車が、釧網本線網走~知床斜里間で運転される「流氷ノロッコ号」だ。だるまストーブが設置されたノロッコ車両には開閉式のワイドな窓が設置されており、車窓を飾る美しい流氷とあわせて厳しい冬の寒さも体感することができる。
それでは、網走駅から「流氷ノロッコ号」に乗車し、知床斜里駅までの旅を楽しんでみよう。次の桂台駅を発車した列車が右に大きくカーブをすると、左手車窓には流氷に埋め尽くされたオホーツク海が姿を現してくる。ここから知床斜里駅までは海岸線に沿って走るため、乗客の目は左手車窓に釘付けとなる。海側の道路が山側に移ると、列車は流氷の脇を走るようになり、間もなくオホーツク海に一番近い北浜駅に到着。流氷の先には知床半島の山並みも見えるようになり、夏は美しい花が咲く原生花園の中を快走。止別駅から知床斜里駅までの間も海岸線の近くを走り、列車は知床半島観光の玄関口となる知床斜里駅に到着する。
50系客車を改造して誕生したノロッコ車両。知床斜里駅寄りの5号車にはDE10形ディーゼル機関車を遠隔操作できる運転台が設置されている。
網走駅寄りの1号車は4人用ボックスシートを配置した一般客車で、2~5号車が開閉式の大型窓とベンチ風座席を設置したノロッコ車両となる。
中央の通路を挟んで6人掛けのベンチ風ボックスシートと窓側を向いたベンチシートを配置。弁当などを食べるのに最適なテーブルが付いている。
車内の暖房用に設置されている昔懐かしい石炭使用のだるまストーブ。ポカポカと温まりながらスルメなどを焼いて食べることができる。
網走駅寄りに連結されるディーゼル機関車のDE10形1660号機。機関車の検査時以外はノロッコ号と同じ塗色の専用機が使用されている。
秋から冬にかけて北の海で獲れる新鮮な魚介類が勢ぞろい。知床半島にあるホテル・旅館や食事処などで海の幸を存分に味わうことができる。
札幌方面から冬の釧網本線の旅を楽しむには、往路は特急「オホーツク」、復路は特急「スーパーおおぞら」の普通車指定席(往路と復路は逆でも可・往復同じ行程の利用は不可)が利用できる「冬のぐるっと道東Vきっぷ」(札幌市内から16,000円・5日間有効)が便利でおトクだ。フリーエリアとなる釧網本線釧路~網走間では快速・普通列車の普通車自由席が乗り放題となり、「流氷ノロッコ号」の自由席は追加料金なし(指定席利用の場合はプラス座席指定券)で乗車できる。
文・写真:結解喜幸
※掲載されているデータは平成24年12月現在のものです。