『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
1984(昭和59)年7月に国鉄初の貨車を改造したトロッコ列車として登場したのが、予土線の「清流しまんと号」だ。登場から29年目を迎えた2013年8月で運転を終了し、デザインをリニューアルした「しまんトロッコ」として同年10月5日に新たなデビューを飾った。多くの観光列車を手がける水戸岡鋭治氏による新デザインは、貨車を改造したトロッコ車両の素朴さや楽しさを、山吹色のボディーで表現するというものだ。
それでは、窪川駅から乗車し、江川崎駅までの車窓風景を楽しんでみることにしよう。次の若井駅の先で土佐くろしお鉄道と分かれて予土線に入った列車は、四万十川の流れに沿うように走る。途中の土佐大正駅から江川崎駅までの間がトロッコ車両の乗車区間で、土佐大正駅では牽引する気動車からトロッコ車両へと移動。2軸貨車ならではのゴトゴト走る振動を体験しながら、車窓の左右に映し出される四万十川と沿線の美しい風景を楽しむ。爽やかな川風が吹き抜ける開放的な車両からの眺望は抜群で、自然の景観を堪能するうちに列車は江川崎駅に到着する。
国鉄時代の無蓋(むがい)貨車トラ45000形を改造した元祖トロッコ車両。2013年10月、鮮やかな山吹色と貨車らしい木肌を生かした側面のデザインに。
トロッコ車両を牽引するキハ54形気動車。トロッコ車両と同じ鮮やかな山吹色の塗色となり、トロッコ列車としての一体感を演出している。
全車指定席のトロッコ車内にはテーブルと座席を設置。開放的な車内では、どの座席からも美しい四万十川の風景を楽しむことができる。
今回のリニューアルにより、防雨・防寒のための着脱式シートを新たに設置し、雨の日でも快適に利用できるようになった。
一部区間では、四万十川流域の食材を利用したスイーツや飲料、お土産などを販売。また、四万十川の美しい景観を地元ガイドが案内する区間もある。
車両番号の「コトラ152462」とエンブレムが描かれたトロッコ車両の車体側面。当時の車体表記をそのままに無蓋貨車の雰囲気を醸し出している。
フィギュアメーカー・海洋堂の歴史とコレクションを一堂に展示。廃校になった小学校の体育館を改築した館内では、随時ユニークな企画展も実施。
全長196km、高知県西部を流れる四国最長の河川。「日本最後の清流」と呼ばれ、日本三大清流のひとつにも数えられる美しい風景が広がっている。
四万十川には、増水時には水面下に沈むよう設計された、欄干のない沈下橋(ちんかばし)が多い。開放的な佇まいは四万十川らしい情緒が漂う。
四万十川水系の奈良川上流約3kmに渡る渓谷。清流が谷川を深く刻んで花崗(かこう)岩の岩肌を白く磨き、木々の緑と調和した渓谷美を創っている。
緑豊かな自然が広がる中で育てられた鬼北(きほく)町の高麗きじ。噛めば噛むほど味が出る良質な肉を使用して「きじ鍋」を楽しむことができる。
1601(慶長6)年に築城の名手・藤堂高虎が建造したといわれる宇和島城の天守閣。鶴島城とも呼ばれ、秀麗な天守が創建当時のまま残されている。
愛媛県南部・南予地方に位置する宇和島の温暖な気候によって生まれる愛媛みかん。その甘さとほどよい酸味の調和が人気の的となっている。
祝い事に供される郷土料理。鯛一匹を姿のまま薄味で煮、煮汁をだし汁で薄めてそうめんにかけ、味が染みたところで身をほぐして食べると美味。
トロッコ列車「しまんトロッコ」の旅を楽しむには、土曜・休日にJR四国全線と土佐くろしお鉄道(窪川~若井間)の普通列車の普通車自由席が乗り降り自由となる「四国再発見早トクきっぷ」(おとな2,000円、こども1,000円、土曜・休日の1日間有効、前日まで発売)が便利でおトクだ。 このほか、特急列車の普通車自由席にも乗車できる「週末乗り放題きっぷ」(おとな10,000円、こども5,000円、土曜・休日の1日間有効)もある。 なお、トロッコ車両の乗車には座席指定券(おとな510円、こども250円)が別途必要となる。
※おトクなきっぷ・座席指定料金は、2013年11月現在の情報です。
文:結解喜幸
写真:JR四国、宇和島市観光協会、いよ観ネット、土佐観光写真集
※掲載されているデータは2013年11月現在のものです。