『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
東北の復興支援と地域の活性化を図る一環として、乗ること自体が目的となる新しい列車として登場したのが「TOHOKU EMOTION(東北エモーション)」だ。“走るレストラン”をテーマにした3両編成の列車は、1・3号車が車窓を楽しみながら食事ができるレストラン、2号車は調理される様子を目の前で楽しめるライブキッチン。人気シェフによる東北の食材を使ったオリジナルメニューが用意され、往路はランチ、復路ではデザートを楽しむことができる。
それでは、八戸駅から列車に乗車し、久慈駅までの八戸線の旅を楽しんでみることにしよう。鮫(さめ)駅を通過すると左手車窓にウミネコ舞う蕪(かぶ)島が現れ、三陸の海の風景が車窓に映し出される。テーブルには出来たての食事が運ばれ、車内には美味しい香りが漂う。この先は種差(たねさし)海岸や海辺の風景が続き、ビュースポットではスピードを落とすサービスもあり、ワイングラスを傾けながらゆっくりと食事を楽しむことができる。最後にコーヒーの香りを楽しむうちに、列車はドラマ『あまちゃん』で有名になった「北限の海女」がいる久慈市の玄関口に到着する。
「走るレストラン」をイメージした大胆なデザインを採用した車両。八戸方からキハ111-701+キクシ112-701+キハ110-701の3両編成となる。
ホームからレストランへ入るイメージを演出するエントランス。列車に乗る瞬間からワクワク感がわき上がる。
八戸方の1号車は定員4人の個室を7室設置したコンパートメント個室車両。壁面ファブリックは福島の伝統工芸「刺子織」をモチーフにしている。
コンパートメント個室車両の1号車の山側にある通路。通路のデザインも市中のレストランを感じさせる落ち着いた雰囲気を醸し出している。
中間の2号車は調理が行われるライブキッチンスペース車両。内装は青森の「こぎん刺し」「南部姫鞠」や岩手の「南部鉄」をモチーフにしている。
久慈方の3号車は20席を配置したオープンダイニング車両。照明は岩手の「琥珀」、什器の仕上げ材は宮城の「雄勝硯(おがつすずり)」がモチーフ。
蕪島の南から大久喜に至る延長約12kmの風光明媚な海岸。種差天然芝生地と青い海のコントラスト、白波と岩礁などが独特の景観を作り上げている。
春早くから約4万羽のウミネコが集まる繁殖地。5月になるとナタネの黄色い花が、蕪嶋神社のある約1.8haの島を覆う美しい風景が楽しめる。
荒々しい海岸美の久慈海岸にある奇岩。釣鐘(つりがね)の形をした岩が以前ぶら下がっていた。早朝は太平洋から昇る朝日に輝く景観が楽しめる。
八戸地方を代表する冬の定番の郷土料理。鶏肉や魚などで取っただし汁に旬の野菜やキノコと鍋専用の「南部煎餅」を入れて煮込んでいる。
素潜りする「北限の海女」の脚に見立てたボタンエビ、アワビなど、久慈の豊かな海の幸が盛り込まれた「道の駅 くじ」のレストランの逸品。
「TOHOKU EMOTION(東北エモーション)」は、運転日指定のJR東日本の旅行商品として販売されており、同列車に乗車して食事が楽しめる「旅行商品」を購入することになる。八戸駅発着は往路のランチコース付が7,000(6,400)円~、復路のデザートブッフェ付が4,000(3,400)円~、往復利用は10,600(9,400)円~で、各コースとも2名以上から申し込める[( )はこども料金]。
このほか、首都圏から日帰りで楽しむコースや、往復のJRと宿泊がセットになった「びゅう旅行商品」と合わせてレストラン列車の旅を楽しめる。
詳細は、JR東日本「TOHOKU EMOTION 東北レストラン鉄道」ウェブサイトへ。
※旅行商品の代金は、2013年12月現在の情報です。
文・写真:結解喜幸 写真協力:JR東日本、岩手県
※掲載されているデータは2013年12月現在のものです。