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トレたび列車図鑑

特急「ワイドビュー南紀」*名古屋~新宮・紀伊勝浦間*

南紀観光に便利なワイドビューの観光特急

 南紀の美しい山海の風景をワイドな車窓に楽しむために開発されたのが、高山本線や紀勢本線で活躍するキハ85系特急用気動車「ワイドビュー」車両です。先頭車両の一部は前面展望が楽しめる仕様となっているほか、全車両の座席位置が車両中央の通路よりも200mm高く、左右の車窓を十二分に楽しめるようになっています。また、中間2号車には半室グリーン車も連結され、よりゆったりとした空間でくつろぐことができます。

 それでは、名古屋駅から同列車に乗車し、南紀への車窓の旅を楽しむことにしましょう。名古屋駅を発車した列車は、関西本線から伊勢鉄道線を走り抜けて津駅から紀勢本線に入ります。多気駅で参宮線と接続した後は、次第に険しい山間の風景の中を走るようになります。熊野へ向かっているという雰囲気を楽しむうちに尾鷲駅に到着。この先は熊野灘に面した小さな漁港の姿も見られるようになり、南紀観光の中心となる熊野市駅、新宮駅と停車すると、列車は間もなく終着の紀伊勝浦駅に到着します。

1 ワイドビュー車両

主に名古屋寄りの1号車に連結されているパノラマタイプの先頭車両。車内から運転台の様子や流れゆく前面展望風景を楽しむことができる。

2 普通車

中央の通路よりも200mm高い位置に座席を配置した普通車。シートピッチ1,000mmのゆったりとしたリクライニングシートが採用されている。

3 グリーン車

普通車と同様に通路より200mm高い位置に座席を配置したグリーン車。シートピッチは1,160mmで、普通車よりもワイドな窓が設置されている。

DATA

デビュー年:1992(平成4)年3月14日
運転日:毎日
運転区間:名古屋~新宮・紀伊勝浦間
車両形式:キハ85系4両編成

特急「ワイドビュー南紀」でめぐる南紀の旅

熊野古道大門坂

奥野細道・中仙道とともに日本三大古道のひとつに数えられる。熊野詣で賑わった当時の面影を残す大門坂には那智山への石畳が続いている。

鬼が城

隆起と風化、波の浸食によって生じた変化に富んだ海岸線。国の名勝・天然記念物に指定されており、熊野灘に面して約1km続いている。

花の窟神社

日本最古の神社といわれる古社で、日本書紀にも記されている。古来社殿はなく、熊野灘に面した高さ約45mの巨岩「磐座」が御神体となる。

熊野本宮大社

古くから人々の熱い信仰を支えられた聖地・熊野三山のひとつ。今も古式ゆかしい雰囲気を漂わせるところで、全国の熊野神社の総本宮となる。

瀞峡(どろきょう)

奈良県・三重県・和歌山県の3県にまたがる国特別名勝の大峡谷。切り立つ断崖と巨岩が織りなす美しい風景を観光船から楽しむことができる。

めはり寿司

熊野地方の山仕事や農作業で食べるお弁当として用いられた郷土料理。高菜の浅漬けの葉が巻かれたおにぎりで、南紀の名物として人気がある。

鉄道写真作家 結解喜幸の特急「ワイドビュー南紀」○得利用術

特急「ワイドビュー南紀」を利用して南紀・熊野の観光を楽しむには、紀勢本線熊野市~新宮~紀伊勝浦間のJR線フリー区間が乗り降り自由となる「南紀・熊野古道フリーきっぷ(中辺路コース)」(名古屋市内からおとな9,780円、こども4,890円・有効期間3日間)が便利でおトク。
発駅からの往復に特急「ワイドビュー南紀」の普通車指定席が利用できるほか、指定された路線バス(新宮~志古~本宮大社前・発心門王子・川湯温泉間、勝浦~那智山間など)にも乗車できる。

文:結解喜幸 
写真:SONIC RAIL GARDEN、和歌山デスティネーションキャンペーン推進協議会、裏辺研究所、交通新聞サービス
※掲載されているデータは2015年5月現在のものです。

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