『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
三方を海に囲まれた山口県。今回の旅は、そのダイナミズムを感じられる観光列車「みすゞ潮彩」に乗ってスタート。
新下関駅と長門市駅、仙崎駅を結ぶ「みすゞ潮彩」の楽しみは、なんといっても雄々しい日本海の景色。荒波に浸食された奇岩や銀色に輝く海、緑と神話の島……。指定席なら、ほとんどの座席が海側に向いているので、のんび~り景色を眺められます。ビュースポットでは列車が一時停止し、案内のアナウンスも入るんですよ!!
さらに、土日祝日の指定席車内では、列車の名前にもなっている童謡詩人・金子みすゞの紙芝居を上演。硬券タイプの乗車記念証も、もらえちゃいます。
座席指定券は乗車日の1ヵ月前から販売。
*平成24年2月1日〜3月14・16日は一般車両に変更して運行。紙芝居、車内販売はありません。
大正末期に「若き童謡詩人の中の巨星」と称賛されつつ、26歳でこの世を去った金子みすゞ。彼女の生まれ故郷・仙崎は、どこか懐かしい風景であふれています。彼女の詩が溶けこんだ町並みを歩いてみよう♪
仙崎駅から海岸に向かう約1kmの「みすゞ通り」を歩くこと約10分、金子みすゞ記念館に到着。本屋だったみすゞの実家の跡地で、当時の暮らしを再現しています。さらに進むと、みすゞが「極楽寺のさくらは八重ざくら、八重ざくら、使いにゆくとき見てきたよ」とうたった極楽寺。遍照寺は、金子家の墓があり、3月10日のみすゞの命日にはたくさんの人が集まります。
通りが海岸にぶつかった防波堤にあるのは、詩碑「瀬戸の雨」。「行ったり、来たり、渡し舟…」。昭和40年まで、ここには青海(おうみ)島への渡し船の発着所があったんだって。現代では橋を渡って王子山公園へ。仙崎港を見下ろす高台で景色がキレイ!! みすゞも「わたしの町はそのなかに、龍宮みたいに浮かんでる」と詠んでいます。
開館時間9:00~17:00。入館料350円、小中高生150円。記念館を中心に、みすゞ通りを案内する「ながとボランティアガイド会」もある(9:00~17:00、無料、1週間前までに要予約)。TEL.0837-26-5155
みすゞが歌った童謡「仙崎八景」のひとつ。
山門をくぐり境内に入ると「こころ」の詩碑がある。入口左手がみすゞの墓所。
「仙崎八景」のひとつ。桜のスポットとしても有名で、3月下旬~4月上旬が見ごろ。長門市観光課TEL.0837-23-1137
約600年前に発見されたと伝えられ、山口県内ではもっとも歴史が古い長門湯本温泉。音信川(おとずれがわ)沿いに旅館が建ち並び、しっとりとした湯の町の雰囲気がステキ♨ さらに!ここは「恋人の聖地」に選ばれているんです。
江戸時代、湯女(ゆな)が秘めた想いを恋文につづり、音信川にそっと流していたという「音信川恋伝説」。この伝説にちなんで、温泉街ではラブ&パワースポットを紹介したり、恋文コンテストを開いたりとラブ・パワーが全開♪ 3月31日まで開催中の「Otozure りばぶりお」では、“Love & Powerで湯本新発見”をテーマに湯本温泉街にある5つのLove & Powerスポットめぐりを実施しています。さらに、温泉ペア宿泊券や山口名物のふくセットが当たる「写メコンテスト」も開催中。
アルカリ性単純温泉。公衆浴場は「恩湯」と「礼湯」がある。
平成24年3月31日まで。湯本温泉旅館協同組合TEL.0837-25-3611
城下町・萩市と瀬戸内海に臨む防府(ほうふ)市を結ぶ全長約53kmの道「萩往還(はぎおうかん)」は、江戸時代に藩主が参勤交代で通った御成道。幕末には、明治維新に向かった志士たちが駆け抜けた街道だ。萩から約4.3kmのミニ・萩往還コースを歩き、吉田松陰ら志士たちに想いを馳せたい。
街道を歩き、はじめの見どころの「涙松跡」。萩を発って、城下が見える最後の場所で、かつて旅人たちは、松並木の間に見え隠れする萩を見返り、別れの涙を流したそう。続いて、松陰記念館のある「道の駅 萩往還」。物産館やレストランもあります☆ 明治15年(1882)着工のトンネル「鹿背隋道(かせずいどう)」を通り、藩主一行が小休止するための「御駕籠建場(おかごたてば)・茶屋跡」へ。藩主の乗った籠を置く台やトイレがあったんだって。
さらに進むと、赤い石州瓦を乗せた古民家が建ち並ぶ明木(あきらぎ)に到着。ここが、今回のミニ・萩往還歩きのゴール。格子戸の町並みなど、宿場町の面影があちこちに残る明木で、志士たちも体を休めたのかも!?
3月17日から萩往還を語り部と歩く、語り部ガイドウォークツアー(500円)を開催。今回紹介したコースのツアーは、3月31日、4月14・28日、5月2・6・20日などの13:00~予定。やまぐち萩往還語り部の会 TEL.083-920-3323
萩市観光課TEL.0838-25-3139
9:00~17:00。無料。記念館の前には高杉晋作や伊藤博文など塾生の銅像が並ぶ。TEL.0838-22-9889
国指定有形文化財。萩市教育委員会旭地域事務所TEL.0838-56-0008
海に囲まれ、自然に恵まれた山口は食材の宝庫。本場下関のふく(ふぐ)料理をはじめ、新鮮な海の恵みをいただきます!
長門、萩エリアに行ったらぜひ食べたいのが、ケンサキイカ。独特の甘みと肉厚の柔らかさから「イカの女王」と呼ばれています。また、たいていはすり身の魚を蒸して作るかまぼこですが、山口では魚のすり身を板に盛り、直火であぶる「焼き抜きかまぼこ」が一般的。鮮度がいいからこそできる製法で、シコシコッとした歯ごたえがサイコー!!
さらに、明治時代に困窮した元武士の暮らしを救うために萩市で栽培が始まった夏みかん。そのまま搾ったジュースのほかにも、中身をくりぬいた皮のなかに白羊羹(しろようかん)を流しこんだり、皮を砂糖漬けにしたり。甘酸っぱい夏みかんスイーツも試してみて。
平成24年3月31日まで。旬の味覚の、あまだい、真ふぐ、しろうおの料理のほか、見蘭牛(けんらんぎゅう)、カフェランチなどが割引になるクーポン。萩市観光協会TEL.0838-25-1750
山口県内には、訪れると幸せになれるとウワサされるパワースポットや、女子にこそ訪れてほしいスポットがたくさん。一挙にご紹介します!!
まずは、県のほぼ真ん中、防府市の防府天満宮。福岡県の太宰府、京都府の北野とともに日本三大天神として知られていますが、いま話題なのが、境内にある石碑「LOVE神社」。市内のご夫婦が奉納したもので、この石碑と一緒に写真を撮ると幸せになれるとか。約1100本の梅の花も見事です。
続いて、瀬戸内海に面した「サザンセト」エリア。サザンセトとは、Southern:南の+Seto:瀬戸から作られた造語。カワイイ☆ このエリアを南下して、瀬戸内海では淡路島、小豆島に次いで大きな島・周防(すおう)大島に渡ろう。周防大島では、4つの奇岩を訪れて幸せを願う「四岩合わせ(しあわせ)奇岩」めぐりがおすすめ。島へは、車で渡れる橋があるので楽ちん♪
日本有数の石油コンビナート地帯として発展した周南市には、「二所山田神社(女子道社)」があります。明治39年(1906)、女性の地位向上をめざし「男尊女尊」を唱える運動が、この地から生まれたんだって。記念碑には大きく「女子道」の文字!! 女子旅を満喫する私たちも「道」を極めたいところ。ちなみに、おみくじは、この運動の資金集めのために作られたとか。今でも二所山田神社は、おみくじ製造日本一で全国の神社に送られています。
周南市内にはもうひとつ、安産とお乳の観音様「川崎観音」もあります。縁日には出産を控えた多くの女性でにぎわいます。
最後に、宇部市の琴崎八幡宮です。平安時代の初めの創建と伝えられる古刹で、応神天皇、仲哀(ちゅうあい)天皇、神功(じんぐう)皇后の三人の女神さまが祭神。安産育児や縁結び、交通安全などにご利益があり、お守りの種類が豊富なことで有名です。お正月には600種類以上が並ぶんだって。きっとアナタの気に入ったお守りが見つかるはず。
交通:防府駅から徒歩15分。TEL.0835-23-7700
周防大島観光協会TEL.0820-72-2134
交通:徳山駅から車で50分。周南市観光協会TEL.0834-22-8372
交通:新南陽駅から徒歩20分。周南市観光協会TEL.0834-22-8372
交通:新山口駅から車で20分。TEL.0836-21-0008
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