『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
軍港として栄えた歴史を持ち、現在でも国内で唯一、現役の潜水艦を見ることができる呉のまち。旧海軍のゆかりのスポットをめぐります。
まずは、駅から徒歩5分、呉で造られた戦艦「大和」の1/10サイズが再現された大和ミュージアムへ。呉の歴史や造船技術、戦闘機「零戦」や人間魚雷「回天」など貴重な大型資料も展示されています。
ドック跡や海を眺めながら、入船山までお散歩。入船山記念館には、大正10年(1921)に旧呉海軍工廠(しょう)造機部の屋上に設置された時計があります。また、旧呉鎮守(ちんじゅ)府司令長官官舎は国の重要文化財。イギリス製のステンドグラスがはめ込まれ、金唐(きんから)紙が張られた天井や壁は、明治のロマンの香りたっぷり♪
旧海軍ゆかりのまち・呉では、明治の海軍の料理教科書や、昭和の海軍の艦艇で出されていたレシピをもとに、「海軍グルメ」を復刻しています。
例えば、戦艦大和のオムライスや海軍カレー、肉じゃが、戦艦霧島の鯨肉カツレツ……。そもそも長期の航海による病気を防ぐ健康食が、海軍グルメのはじまりです。飽きない健康食を求めるのは、現代も一緒☆
ところで、「肉じゃが」の生みの親は、日本海軍の司令塔・東郷平八郎だという説があるんだって。イギリス留学時代に食べたビーフシチューの味が忘れられない東郷さんが、ワインの代わりに醤油を使ってできたのが「肉じゃが」だとか。これはぜひ、呉で食べてみないと!
海軍グルメや呉グルメなど、呉のおいしいお店情報を掲載したグルメマップ。「大和のふるさと呉」グルメキャンペーン実行委員会TEL.0823-25-3311
夏の瀬戸内海は、「凪(なぎ)」と呼ばれる穏やかな波の日が多いんです。そんな静かな海をゆるりと進むのが定期運航クルーズ船。美しい島々が連なる「海の道」をゆく期間限定の観光クルーズを2つ紹介します。
まずは、宮島と広島、呉、江田島をぐるりとめぐる「広島湾宝しまクルーズ」。見どころたっぷりのエリアを便利に結びます。呉港から江田島に渡り、明治26年(1893)に建てられた通称「赤レンガ」の建物が残る旧海軍兵学校を見学。海上自衛隊の現役施設ですが、見学時間とコースが設定されているのでじっくり観光できます。
もう1つは、江戸時代に風待ち、潮待ちの港町として栄えた御手洗港と呉を結ぶ「呉・御手洗宝しまクルーズ」。御手洗町並み保存地区をじっくり散歩するのもGood☆
大地からすこーし離れて、ゆったりとした瀬戸内時間を過ごしてみては?
▽広島湾宝しまクルーズ
運航期間:2013年7月6日~9月29日の土・日曜・祝日(8月11日は運休)。料金(1日乗船券):当日3,500円(前売り3,000円)。
▽呉・御手洗宝しまクルーズ
運航期間:2013年7月20日~8月25日の土・日曜・祝日(8月11日は運休)。料金(1日乗船券):3,000円(当日・前売りとも)。
瀬戸内海汽船トラベルサービス呉営業所TEL.0823-21-5112
見学時間:土・日曜・祝日=10:00、11:00、13:00、15:00から。平日=10:30、13:00、15:00から。所要時間1時間半。開始時間の30~5分前に正門で受付。無料。交通:江田島小用港からバス7分の術科学校前下車すぐ。
交通:呉港から「呉・御手洗宝しまクルーズ」(2013年7月20日~8月25日の土・日曜・祝日運航。8月11日は運休)で約65分。潮待ち館TEL.0823-67-2278
弥山(みせん)を中心とした緑の山々を背景に、海上に朱塗りの本社本殿と大鳥居が建つという独特の景観を持つ宮島。世界文化遺産に指定されている厳島(いつくしま)神社をはじめ、見どころがいっぱいです。
平清盛の援助を受けて整備された厳島神社。平安時代には今のように回廊で結ばれた海上の社殿が整備されました。朱塗りの本殿と海の碧さのコントラストの美しさは、他では見られない絶景です。
宮島でもっとも歴史のある寺院・大聖院は、宮島に渡った空海が弥山で修行し、806年に開基したと言われています。霊火堂では、空海が修法に使った霊火が今も燃え続けています。この火で沸かした大茶釜の霊水は万病に効くと言われているよ。「消えずの火」としてラブスポットでもあるので、宮島ロープウエーでぜひ訪れてみて!
昇殿時間:6:30~18:00(季節によって異なります)。昇殿初穂料:大人300円、高校生200円、小中学生100円。交通:宮島桟橋から徒歩15分。TEL.0829-44-2020
参拝時間:8:00~17:00。無料。交通:宮島桟橋から30分。TEL.0829-44-0011(本坊)
▽霊火堂
交通:宮島ロープウエー獅子岩駅下車、徒歩20分。TEL.0829-44-2071(弥山本堂)
紅葉谷駅と獅子岩駅を結ぶ。営業時間:3月~10月=9:00~17:00(G.W.・お盆は特別運転)、11月=8:00~17:00、12月~2月=9:00~16:30。交通:宮島桟橋から徒歩26分。運賃:往復=大人1,800円、小人900円。TEL.0829-44-0316
江戸時代のメインストリート・町家通りと、昭和期に整備された表参道。宮島桟橋からの行き帰りに通るこの道で、宮島グルメもお土産も揃っちゃいます。
宮島周辺のご当地グルメといえば、明治時代から宮島名物として駅弁にも登場していた、あなご飯。大野瀬戸で獲れる地あなごは、脂がこってり乗ってやわらかいのが特徴です。初夏から夏にかけたこの季節が、ちょうどおいしい時期♪ あなごの頭と中骨を昆布と一緒に煮込んだダシ汁と、醤油で炊いたご飯に蒲焼きのあなごをのせて、秘伝のタレと一緒に召し上がれ。
そして、広島土産の筆頭にあげられる、もみじまんじゅう。誕生したのは、約100年前の明治39年(1906)と言われています。さらに100年余り時代をさかのぼった寛政年間(1789-1801)に生まれたと伝えられるのが宮島杓子(しゃくし)。世界一の大きさを誇る大杓子も一見の価値ありです。
廿日市(はつかいち)市観光課TEL.0829-30-9141
広島の味といえば、「お好み焼き」を思い浮かべる人も多いですよね。戦前は、東京下町の「もんじゃ焼き」と同様に、子供がまちの駄菓子屋さんなどで気軽に食べられる「おやつ」だったお好み焼き。ご当地企業であるオタフクソース株式会社によると、人口10,000人あたりの店舗数が6.2件と全国トップを誇り、まさに広島県のソウルフードなのです。
広島風お好み焼きは、生地と具を混ぜずに焼く「重ね焼き」が基本。お店によって作り方は異なりますが、基本は、小麦粉を水で溶いてクレープのような薄い皮を焼き、その上に野菜類や魚介類、豚肉、少量の生地を順に置いて、いくつもの層を作っていきます。一度ひっくり返してまとめたら、炒めた麺に乗せて押さえ、さらにお好み焼きの大きさに広げて焼いた玉子の上に乗せ、玉子が焼けたらひっくり返して出来上がり。食べやすい大きさに切って、ソースや青のりをかけたら完成です。何ともすごいボリューム!!
その歴史をひも解けば、江戸時代の終わりに、小麦粉を水で溶いた生地を鍋で薄く焼きあげたものに味噌をぬり、巻いて食べたのがはじまりだとか。ほかにも、安土桃山時代に千利休が考案した、うどん粉と水、酒を練った生地を薄くのばして焼いた茶菓子「ふの焼き」がルーツという説もあります。また、中国では古来より小麦粉を水で溶いて平らに焼いた「煎餅(せんびん)」という主食もありました。
昭和初期には、生地にネギや干しエビ、紅ショウガなどを入れて焼いた現代のスタイルに近いお好み焼きが登場。洋食文化の象徴だったソースをぬって食べることから、「一銭洋食」の名で子供たちのおやつとして好まれました。これが、戦後の食糧難の時代に「お好み焼き」と名前を変えて、大人の食欲も満たす食べ物となったそうです。
広島市内の中心部にある「お好み村」は、戦後の復興をめざして新天地広場に集まったお好み焼きを中心とした屋台を、ビルのなかに再現したもの。当時とかわらぬ活気と親しみやすさで地元の人や観光客に人気です。
広島で「お好み焼き」といっても、挽き肉を使う「府中焼き」、砂ずり(砂肝)が入る新名物「尾道焼き」など、レシピごとご当地色が濃い。"広島風”は実に多彩で奥が深い!
交通:広島電鉄八丁堀電停下車、徒歩3分。TEL.082-241-2210
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