特急「ワイドビュー南紀」はその名の通り、大きな窓が魅力的。車窓から眺める川、山、海のダイナミックな景色は、伊勢へと向かう旅路を盛り上げてくれる。
JR名古屋駅を出発すると、フルスピードで駆け出し、やがて青く満々と水をたたえた木曽三川へ。爽快な景色を渡る途中で三重県へと入る。のどかな田畑や集落を越え、三瀬谷駅を過ぎれば鉄道ファンなら思わずカメラを構える撮り鉄ポイント、宮川鉄橋を走る。さらにトンネルを越え、峠を下ると、熊野灘が眼前に姿を現わす。
特急「ワイドビュー南紀」は、JR関西本線から伊勢鉄道を経由してJR紀勢本線へ向かう、キハ85系のディーゼル特急。横4列の座席配置でくつろぎながら、伊勢路をゆったり眺めたい。
★特急「ワイドビュー南紀」
運転日:毎日
運転区間:名古屋~新宮・紀伊勝浦間
特急「ワイドビュー南紀」が停車する多気駅からJR参宮線に乗り換えれば、伊勢までは1本だ。伊勢市駅を降り立ったら、まずは外宮へ向かいたい。伊勢神宮では、祭典の順序と同じく、参拝も外宮から内宮へと巡るのが昔からのならわしだ。また、伊勢市駅周辺や、外宮と内宮の間にも別宮が点在し、ゆっくり巡り歩けば、厳かなる神々の息吹を感じられるに違いない。
もちろん、参道には数々のお店が建ち並び、こちらも見逃せない。レンタル着物に着替え、お伊勢参りの後に立ち寄りたい名物グルメや、伊勢伝統の技が光る小物や雑貨など、ゆるりと歩きながら、お気に入りを見つけて。
伊勢探訪の後は、JR紀勢本線に戻り、足を延ばして県南へ。小島や入江が複雑に連なる熊野灘が目の前に開けたら、紀伊長島だ。今宵はこちらで疲れを癒して。海を望む温泉や、種類豊富な海の幸を味わえば、身も心もじんわり、充ちたりていく。
また翌朝は、世界遺産の熊野古道や、清流銚子川、漁師町を探訪してみよう。なかでも、太古から神々の気配をまとう古道は、初心者でも歩きやすい峠道だ。漁港の朝市や、道の駅を訪ねれば、紀伊長島の穏やかで素朴な気質にも触れられるはず。この地に伝わるユニークな郷土料理も必食だ!
文・構成=佐藤さゆり
写真協力=伊勢志摩観光コンベンション機構、帯結、伊勢角屋麦酒、勢乃國屋、
ホテル季の座、紀北町観光協会、道の駅 紀伊長島マンボウ
※掲載されているデータは2016年1月現在のものです。