冬の道東では、趣の異なる2つの列車が、幻想的な世界へ誘ってくれる。
まずは、雪と氷の世界に変貌した釧路湿原をひた走る「SL冬の湿原号」。レトロな制服に身を包んだ車掌と記念撮影したり、車内限定グッズをゲットしたり。地元ガイドによるネイチャー講座や、だるまストーブでスルメを焼いて食べるのもお楽しみ。お腹に響く汽笛の音色がドラマティックだ。
そして、流氷が埋め尽くすオホーツク海沿いをのんびり走る「流氷ノロッコ号」。番屋をイメージした車内は、北の冬の大地にいる気分を盛り上げてくれるはず。車内販売でスルメが手に入るので、だるまストーブで炙って食べたい。ノロッコレディーによる車窓の見どころ案内もあり、列車旅は歓喜の連続だ。
JR北海道では、「冬のひがし北海道周遊紀行」キャンペーンとして、これら2つの観光列車と接続するJR利用客専用の「ツインクルバス知床号」も運行。3日前までの事前予約制だが、川湯温泉や知床へのアクセスも至便。ダイナミックな道東の冬景色をお気軽に体感しに出かけよう。
★「SL冬の湿原号」
運転日:2月18~21日、25~28日
運転区間:JR根室本線釧路駅~JR釧網本線標茶(しべちゃ)駅間(1日1往復)
料金:大人1890円(JR釧路駅~標茶駅、片道乗車券1070円+指定席券820円)
※全車指定席のため、乗車前に指定席券の購入が必要。
・詳しくはJR北海道サイトへ
★「流氷ノロッコ号」
運転日:~2月28日
運転区間:JR釧網本線知床斜里駅~網走駅間(1日2往復)
料金:大人1150円(JR知床斜里駅~網走駅、片道乗車券840円+指定席券310円)
・詳しくはJR北海道サイトへ
白い釧路湿原を巡る旅は釧路から。まずは、「SL冬の湿原号」に乗車する前に腹ごしらえを。釧路ラーメンやスパカツなどのご当地グルメに、メヌケやホッケなど、旬の鮮魚も多彩。迷ったら、JR釧路駅近くの市場へ向かうべし。
SLの旅を満喫した後は、一路、川湯温泉へ。湯の川から湯けむりが立ち上り、硫黄の香りがほんのり。源泉かけ流しの湯にのんびりつかれば、冷えた身体が温まり、心がほどけていく。
また厳冬には、「御神(おみ)渡り」といわれる、ばりばりと音を立てて迫り上がる氷上現象も見られる屈斜路(くっしゃろ)湖、結氷した湖面が神秘的な青さを見せる摩周湖などを巡るのもいい。さらに白銀の世界を水上から眺めるカヌーなど、冬のアクティビティも豊富。神々しさをまとう大自然を五感で体感しよう。
冬の北海道では、厳冬の知床、オホーツク海が必見。例年、3月上旬頃まで流氷が接岸し、ダイナミックな絶景が広がる。他では見られない、壮観な美しさは見逃せない。ゆったり湯宿から眺めるのもいいけれど、毎夜、夜空を彩る幻想的なイルミネーションや、流氷を空から眺める気球、流氷の上を歩くウォーキングなどで、アクティブに思う存分楽しんで。アザラシやオジロワシなど、流氷とともに生きる動物たちにも出会えるはず。
また、「流氷ノロッコ号」に揺られて網走へと向かうのも一興。
流氷観光はもちろん、網走監獄など、見逃せないスポットの珍しい体験も旅の忘れがたき記念となる!
文・構成=佐藤さゆり
写真協力=摩周湖観光協会、釧路和商市場、アトレーユ、川湯観光ホテル、
知床グランドホテル北こぶし、知床斜里町観光協会、摩周气船、博物館 網走監獄
※掲載されているデータは2016年2月現在のものです。