『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

フルムーン夫婦グリーンパスで行く新幹線の旅|「旬のうまいもの」フルムーン~ブリ、フグ、カニ、タラ、カキ、3900kmの旅~

  • 1日目|新潟へ日帰り旅 寒ブリを味わう
  • 2日目|愛知でトラフグ グルメの島々へ
  • 3日目|太良で温泉三昧 竹崎カニを堪能
  • 4日目|博多で旬の味覚 新幹線で東京へ
  • 5日目|宮城へ日帰り旅 カキも牛たんも

3日目|名古屋から一路、九州は佐賀県へ 太良で温泉に浸り、竹崎カニを食す|東海道・山陽新幹線[名古屋⇒博多]/鹿児島本線・長崎本線[博多⇒多良]

  • 新大阪から博多へはN700系「さくら」グリーン車に乗って行こう。シートは重厚で大人の雰囲気

  • 博多からは885系「かもめ」の旅。普段は通過の多良駅も冬場、上下各2本の特急が臨時停車

  • 長崎本線多良駅、ホームにあった大きなカニの看板。多良駅ホームには「幸せの鐘」もある

  • 漁船が並ぶ太良、竹崎港。あのおいしい竹崎カニは、雲仙も見えるこの有明海で大きく育つ

  • 竹崎カニの太良には温泉もある。「たら竹崎温泉」の貸切半露天風呂に浸り、至福のひと時

  • 冬が旬の竹崎カニのメス。定番の塩茹ででいただく。カニらしい濃厚な味、ぜひご賞味を!

 旬のうまいものを満喫するフルムーン。名古屋で朝を迎えた3日目は、冬にかけて濃厚な味で知られる有明海の幸、竹崎カニを食べに産地の佐賀県・太良(たら)へ。

 なんとなく魚みたいな地名の太良。駅は多良、町は太良と書くのも面白い。ここは魚のタラならぬ、竹崎カニの産地。竹崎カニとは「ガザミ」と呼ばれるワタリガニの一種で、扇状の甲羅を持ち、大きいものでは甲羅の幅が25cmほどにもなるのだとか。

 ワタリガニは日本中に分布しているものの、当地で水揚げされるカニの特別なおいしさ、これも自然の恵みの神秘。竹崎カニは夏場はオスが旬となり、冬場はメスが旬を迎える。なかでも卵の入るメスの人気は高く、味もオスよりも濃厚とされている。普段は特急列車が通過する多良駅も、冬場(2014年2月28日まで)は上下2本ずつの特急列車が臨時停車、JR九州のおいしい配慮がうれしい。

 食べものだけでなく、温泉でも知られている太良。「たら竹崎温泉」は炭酸水素塩泉で疲労回復に効き目があるという。宿によっては多良駅から送迎もあり、臨時停車した特急を下車すれば楽ちんで宿へ行ける。

 さて、こちらもお待ちかねの夕食、竹崎カニがコースで登場。定番の丸ごと塩茹では、宿の方に食べやすくほぐしてもらおう。竹崎カニはズワイガニなどに比べるとやや食べにくいものの、お味は絶品。日本一おいしいカニと称されるのもうなずくばかり。

 竹崎カニの料理は、他にも焼きカニなどがずらりと並ぶ。鮮度の良い産地ゆえ、こそぐように食べる刺身もあればぜひご賞味を。

3日目●乗車距離:905.2km 運賃合計2人分:64,780円
【個別区間(列車)ごとの運賃と乗車距離】
名古屋~新大阪:@8,340円(乗3,260円 特グ5,080円) 乗車距離186.6km
新大阪~博多:@20,380円(乗9,350円 特グ11,030円) 乗車距離622.3km
博多~多良:@3,670円(乗1,770円 特グ1,900円) 乗車距離96.3km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

東京発5日間・後編【旅の3日目】
3

発着駅 時間 メモ
太良で「竹崎カニ」を堪能する旅(たら竹崎温泉泊)
~ N700、700系に乗車 ~
名古屋 発 9:45 東海道新幹線【こだま633号】グリーン車(700系)
新大阪 着 10:50 乗り換え
新大阪 発 10:59 山陽新幹線【さくら553号】グリーン車(N700系)
博多 着 13:34 乗り換え
博多 発 13:55 特急【かもめ25号】グリーン車
多良 着 15:04 「竹崎カニ」を堪能 (たら竹崎温泉泊) ※多良駅臨時停車は2014年2月28日まで

旅のメモ

観光の問合せ
■多良:太良町観光協会 TEL. 0954-67-0065

旬のうまいものコラム(3)カニ(蟹)

 冬といえばカニが食べたいという人も多い国、日本。なかでも代表的なカニは、ずっしりとした食べ応えのある身の「タラバガニ」、上品で繊細な「ズワイガニ」、滋味あふれる味わいの「毛ガニ」、メスの濃厚な味が特徴の「竹崎カニ」など。
 旬は種類や産地によって異なるものの、特に冬場は北陸から山陰にかけて、日本海側で獲れる「越前ガニ」や「松葉ガニ」(いずれもズワイガニ)が猛烈にうまくなる。水揚げされた漁港ごとに色や形の違う“タグ”がつけられ、まさに高価な「ブランドガニ」に。最もおいしい食べ方は、生を焼いてカニ味噌ともども味わう「焼きガニ」だろうか。
 一方、有明海北部、佐賀県の太良、竹崎で獲れる「竹崎カニ」もそれはおいしい。冬場のメスは味が濃く、こちらも一度食べたら忘れられない味だ。

山陰地方の旅館で食べたズワイガニの姿盛り。冬場ならではの幸を豪快に味わってみよう

4日目|多良から博多に立ち寄り旬の味覚 新幹線を乗り継ぎ、一旦、東京へ|長崎本線・鹿児島本線[多良⇒博多]/山陽・東海道新幹線[博多⇒新大阪⇒東京]

  • 白い885系電車による特急「かもめ」。先頭車のグリーン席は1列+2列の3列シートが並ぶ

  • 885系「かもめ」グリーン車、シートは革張りで重役室のよう

  • 玄界灘に面した博多。ここは冬場、地サバも旬に。脂がのってサバとは思えないくらいうまい

  • 博多で食べたタラの白子を炙ったお寿司。さっと炙ることで「ふわとろ」の食感になります

  • 九州のお土産に太宰府名物「梅ヶ枝餅」はいかが。博多駅には九州各地のお土産も一堂に揃う

  • 山陽新幹線と九州新幹線を直通運転する新幹線「さくら」。先頭車のマークも誇らしげに映る

 竹崎カニの町、太良。宿では、朝食のごはんもカニを釜で炊いたものだった。ほんのり香るカニの風味、朝からお腹いっぱい、贅沢な気分でチェックアウト。

 たらふく食べた竹崎カニ。たらふくは漢字で「鱈腹」と書くが、まさに竹崎カニは太良に福をもたらす“太良福”のカニ。そんなことを思いつつ多良駅へ向かえば、冬のシーズン中、1日に上下各2本臨時停車する特急「かもめ」がちょうどやってくる。

 「白いかもめ」と呼ばれる885系電車、まるで重役室みたいな雰囲気のグリーン車に乗り、博多には12時13分到着。ここは九州のうまいものが全員集合する街、ランチかたがた下車してグルメ散歩を。

 博多と聞けば、ラーメンが食べたくなる人もいれば、もつ鍋が食べたいという人も。しかし、目の前には玄界灘が広がる博多、荒波にもまれた魚も美味で知られ、有明海とは一味違う幸を寿司などで食してみたい。

 関東ではあまり生では食べないサバも、こちらでは普通に生で食べられる。地サバは冬にかけて旬を迎え、鮮度も良く脂ののった身を口にすると、まるでサバとは思えないほどおいしい。また、魚へんに春と書くサワラにしても冬場の「寒サワラ」がうまい。一方、魚へんに雪と書くタラは北日本のイメージだが、博多で食べた焼き白子はふわとろで最高だった。

 多良からの帰路、博多でタラも食べ、お土産には太宰府名物の梅ヶ枝餅を。博多駅には明太子をはじめ九州のお土産もずらり。目移りしながら選ぶのも旅の楽しいひと時になる。

4日目●乗車距離:1271.2km 運賃合計2人分:84,880円
【個別区間(列車)ごとの運賃と乗車距離】
多良~博多:@3,670円(乗1,770円 特グ1,900円) 乗車距離96.3km
博多~新大阪:@20,380円(乗9,350円 特グ11,030円) 乗車距離622.3km
新大阪~東京:@18,390円(乗8,510円 特グ9,880円) 乗車距離552.6km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

東京発5日間・後編【旅の4日目】
4

発着駅 時間 メモ
博多で玄界灘の幸を食べ、一旦、東京へ(自宅泊)
~ N700系に乗車 ~
多良 発 11:04 特急【かもめ16号】グリーン車 ※多良駅臨時停車は2014年2月28日まで
博多 着 12:13 博多でうまいものを食べる
博多 発 16:09 山陽新幹線【さくら562号】グリーン車(N700系)
新大阪 着 18:45 乗り換え
新大阪 発 19:13 東海道新幹線【ひかり534号】グリーン車(N700系)
東京 着 22:10 この日は自宅泊

旅のメモ

観光の問合せ
■博多:福岡市観光案内所(博多駅総合案内所) TEL. 092-431-3003

旬のうまいものコラム(4)タラ(鱈)

 魚へんに雪と書き、字を見れば風雅な感じもするタラ。雪の字が示す通り、冷たい海の魚であり、種類は、マダラ、スケトウダラなど。一般にタラといえばマダラを指し、たらこや明太子にはスケトウダラの卵巣が用いられる。
 柔らかい身は雪のように白く、それゆえ鱈の字になったというタラ、ことのほか食いしん坊の魚のようで、「鱈腹」という言葉の由来にも。冬場にかけて旬を迎え、おいしい食べ方は、「鱈ちり」(昆布ダシで煮込む鍋料理)が代表格。タラも人々の暮らしに溶け込んでおり、富山県東部では「たら汁」(ぶつ切りのタラを味噌で豪快に煮込んだ料理)が名物に。また、東北や北海道ではマダラの白子(タツ、タチと呼ばれる)料理もおいしく、「たちぽん」(生の白子のピリ辛ポン酢がけ)や天ぷらでぜひご賞味を。おいしいですよ!

北日本ではポピュラーな「タチ」(マダラの白子)のお寿司。クリーミーな味わいをぜひ!

5日目|旬のカキを味わう、松島日帰り旅“〆”はやはり仙台で牛たん焼き|東北新幹線[東京⇔仙台]/仙石線[仙台⇔松島海岸]

  • 最速320km/h運転の「はやぶさ」はいつも人気者。東京駅では多くの人がカメラを向けていた

  • 仙台から松島海岸へ走る仙石線の電車。松島海岸駅に近づくと車窓には日本三景の海景色が

  • 日本三景、松島の玄関、松島海岸駅。ここから海辺へ歩けば風景が気持ちよく、食事処も多い

  • 松島エリアは日本有数のカキ産地。生食用のカキがあれば生ガキもぜひ。ジューシーですよ!

  • 旅の“〆”はお肉料理で。仙台名物「牛たん焼き」もきっと別腹。炭火焼の香りが食欲をそそる

  • 仙台から東京もE5系「はやぶさ」なら本当に近い。くつろぎの時間を過ごすうちに到着する

 最終日は東北新幹線「はやぶさ」に乗って宮城・松島日帰りの旅。冬にかけて旬となる松島のカキ(牡蠣)を目当てに出かけ、さらには仙台で“〆”に名物の牛たん焼きを味わってこようという食いしん坊の旅。

 最速320km/hで疾走するE5系「はやぶさ」、フルムーンパスで快適なグリーン車が利用でき、なんと東京~仙台間を90分ほどで結ぶ。この「はやぶさ」の登場により、東北地方への旅が一段と楽ちんになった。グリーン車でサービスされるコーヒーを飲み、車窓に目をやれば、もう仙台に到着する。

 仙台で地下ホームの仙石線に乗り換えて松島海岸駅へ。駅を出て海辺を歩けば日本三景の一つ、松島の美しい景色が広がる。当地、松島もカキの産地として知られ、10月下旬より焼きガキ食べ放題の「かき小屋」がOPEN(2014年3月頃まで)するほど。

 さて、松島の海で育ったカキは地元の食事処で食べるのがきっと一番。生食用のカキがあればもちろん生ガキも、そして、焼きガキ、カキめしと、カキの魅力をさまざまに味わってみたい。

 ブリ、フグ、カニ、タラ、カキと、旬の海の幸を食べ巡ってきたフルムーン。せっかく宮城に来ているのだから、旅の締めくくりにお肉はいかが。海の幸とお肉はたぶん別腹、仙台に出て、ここは名物の牛たん焼きを。炭火で焼いたジューシーな牛たん、テールスープや麦めしも食べれば身も心も大満足。再び「はやぶさ」に乗って東京へ帰ろう。

5日目●乗車距離:749km 運賃合計2人分:59,120円
【個別区間(列車)ごとの運賃と乗車距離】
東京~仙台:@14,380円(乗5,780円 特グ8,600円) 乗車距離351.8km ※「はやぶさ」の運賃
仙台~松島海岸:@400円(乗400円) 乗車距離22.7km
松島海岸~仙台:@400円(乗400円) 乗車距離22.7km
仙台~東京:@14,380円(乗5,780円 特グ8,600円) 乗車距離351.8km ※「はやぶさ」の運賃
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

東京発5日間・後編【旅の5日目】

5

発着駅 時間 メモ
松島へ日帰りで「カキ」を食べに行く
~ E5系に乗車 ~
東京 発 9:56 東北新幹線【はやぶさ11号】グリーン車(E5系)
仙台 着 11:33 乗り換え
仙台 発 12:07 仙石線、快速
松島
海岸 着
12:34 宮城、松島の「カキ」を食べよう
松島
海岸 発
15:34 仙石線、快速
仙台 着 16:08 乗り換え。
旅の“〆”に牛たん焼きを
仙台 発 19:32 東北新幹線【はやぶさ16号】グリーン車(E5系)
東京 着 21:08 旅の終わり

旅のメモ

観光の問合せ
■松島海岸:松島観光協会 TEL. 022-354-2618
■仙台:仙台市総合観光案内所(仙台駅2階) TEL. 022-222-4069

旬のうまいものコラム(5)カキ(牡蠣)

 冬場においしくなる貝類といえば、やはりカキが最初に思い浮かぶ。英語では綴りにRがある月、9月から4月までが食用に適しているとされ、そのシーズンはほぼ日本も一致。
 産地は有名どころでは、北海道の厚岸(あっけし)や知内(しりうち)、宮城県の松島や牡鹿半島、佐渡の加茂湖や能登半島、三重県の的矢湾に瀬戸内海、そして、九州では福岡・糸島半島や長崎・九十九島(くじゅうくしま)に有明海北部などなど。産地をリストアップしただけで、カキが本当に広い地域で水揚げされていることがわかる。
 おいしい食べ方も幅広いカキ。生食用であれば生食をはじめ、焼きガキ、蒸しガキに土手鍋、カキフライもあれば、炊き込んだカキめしも美味。ちょっと変わった食べ方では、岡山県日生(ひなせ)の「カキオコ」も。こちらはカキのお好み焼きで、ソースの香りともどもたまりません!

炭火で焼く殻つきのカキ。ぷりっとした身を頬張れば、じんわりと贅沢な気分につつまれる

<東京発 「旬のうまいもの」フルムーンの運賃総額、総乗車距離>
[運賃総額A]:295,560円 (2名分合計 通常期で算出) ※私鉄線(名鉄)分を含む総額です
[総乗車距離A]:4,053km ※運賃計算キロ ※私鉄線(名鉄)分を含む総乗車距離です
JR運賃総額:291,960円(2名分合計 通常期で算出 上記の[運賃総額A]から私鉄分を除いたもの)
JR総乗車距離:3959.2km ※運賃計算キロ(上記の[総乗車距離A]から私鉄分を除いたもの)
お得になった金額:211,460円(JR運賃総額-フルムーン夫婦グリーンパス料金〈5日間用〉)
乗車倍率:3.62倍(JR運賃総額÷フルムーン夫婦グリーンパス料金〈5日間用〉)
※運賃計算キロは、JR東日本のサイト、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示のものです。

● 旅人(著者)紹介 相澤秀仁&相澤京子

写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で4巡している。これまでに120日フルムーンパスでの旅をし、JR路線も約11万km乗車。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。また、英語クロスワードパズルを新聞に17年にわたって連載。
夫婦旅ブログ http://fullmoon.aizawa22.com

 

文・撮影:相澤秀仁&相澤京子
※掲載されているデータは2013年10月27日現在のものです。
※JR時刻表11月号を使用。到着時刻等、一部時刻未掲載のものは、えきねっと「乗換・運賃案内」等で表示の時刻を使用。
※運賃は通常期(11月3日)をモデルに算出しました。

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