車窓に広がる日本海、白神山地に抱かれた十二湖、そして青々と茂るブナの木々。湖の透明な水は奥底に秘密を隠し持っているかのように青く輝く。青森がワタシをブルーに染めていく。「ブルーになる」って、なぜネガティブな表現なんだろう。こんなに素敵なコトなのに。朝は喧噪(けんそう)のなかにいて、今は森にいる不思議。さすが“ブルーフォレスト(青森)マジック! ――なんて、冗談に笑い転げながら、新鮮な空気をいっぱい吸い込もう。
十二湖駅から路線バスに乗り、気がつけば森深いブナの森へ。事前に注文しておいたあきた白神駅のご当地弁当「あわびめし」を自然のなかでいただいたら、いざ、十二湖ウォーキングに出発! 眠気が残るワタシを励ますように鳥たちのさえずりを聴きながら、青池(写真)に到着。そして、ゆっくりと深緑の世界が開いていく。青い森は懐が深い!
エメラルドグリーンに輝く沸壺の池。その畔にコンコンと湧き出る“沸壺池の清水”。「平成の名水百選」に指定されている天然水は、ひんやりと冷たくて甘い。休憩所「十二湖庵」では、この湧き水で入れた抹茶のサービスがある。日頃の運動不足を実感したころに、休息と抹茶とお菓子のごちそう! 足も心も軽くなり、心憎いもてなしに感謝、感謝。
「リゾートしらかみ」の車窓から、日本海に突き出た岩浜が見えてくる。津軽藩の殿様が千の畳を敷いて宴会したという千畳敷海岸。10月に入れば、ちょうどこの辺りで日の入りを迎え、「日本の夕陽百選」にも選ばれた絶景を望めるという。この時間帯はまばらに見える観光客が、かえって旅情を誘う。ふとした寂しさも、列車旅ならでは。海はいろいろな感情を呼び起こす。
海に面した高台の露天風呂。日本海の絶景と、塩分濃度が高く保温と保湿に優れた “天然のタラソテラピー”と評判の温泉にまず、とろける。そして料理にも! 旬の素材を使った季節料理は凄腕料理長の心意気が感じられる。さらに「あおもり地酒と料理のマリアージュ」のオプションプランを追加し、地元の珍味と3種の地酒で満腹&ホロ酔い。
○五能線鰺ケ沢駅から無料送迎バス5分(要予約)
見上げてみて、歩いてみて、初めて“大きさ”を実感する。メジャーではなく、自分の足で、目で大きさを計る。自分を見下ろす巨大な立佞武多(たちねぷた)、全長300メートルもの日本一長い木造三連太鼓橋。自然も奥深いけど、東北人がつくるものは大きい! そして、大きいって、スゴイ! やはり、旅に出て、実際に見てみないと分からない。ココに来れば、普段は穏やかな青森県民のアツイ一面も見えてくる。さぁ、青森気質と気概をたくさん体感するぞ!
高さ約23メートル、重さ約19トン。数字で言われてもピンとこなかったが、目の前にそびえる立佞武多を見てその大きさを実感。この巨大な立佞武多が「ヤッテマレ!ヤッテマレ!」の掛け声のもと町中を練り歩く――そう想像しただけでワクワクする。館内では製作過程の見学ができる「立佞武多製作所」があり、期間限定で立佞武多の紙貼り体験もできる(平成28年度は6月12日までで終了)。
駅から少し離れているが、市民の憩いの場となっている菊ケ丘運動公園。木々の間からは、とんがり帽子のように頭を突出している岩木山が見える。晴れた空と花菖蒲の気品ある紫色によく合う。ここの花菖蒲は東京の明治神宮から譲り受け、株を増やしたものだとか。69品種、3万株の花菖蒲が可憐に咲き誇る。見頃は7月上旬。
○五能線五所川原駅から徒歩25分
幸せとはおいしいこと。そう、思わせてくれるのがココ。少し歩いても行く価値がある。おススメは料理2品を選べるランチコース(パン・コーヒー付きで1200円)。スイーツやスープも280円で追加できるのもうれしい。味はもちろん、盛り付けも美しく、贅沢な時間を過ごせる。気にいったら、併設のショップで料理パイのおみやげも買ってしまおう。
津軽富士見湖に架かる、全長300メートルもの日本一長い木造三連太鼓橋。それが鶴の舞橋だ。橋脚には樹齢150年以上の木を使い、直径は30センチもある。ぜいたくに青森ヒバの一等材が使用されているという。アーチを描く橋をゆっくり歩き、湖に映る姿を見たり、岩木山を仰ぎ見たり。日の入り前ならきれいな夕焼けが見られることも。陸奥鶴田駅からは期間限定で特別料金のタクシー・バスも運行。
8月2~7日、高さ5メートル、幅9メートルの大型ねぶたが約20台出陣し、青森駅前の県道約3.1キロのコースを練り歩く。ハネト衣装と呼ばれる踊り子衣装(正装)を着れば、誰でも参加可能だ。1日には前夜祭、7日の夜には青森花火大会とねぶた海上運行も行なわれる。
今も人気を誇る小説家・太宰治。彼の生家である「斜陽館」のほか、自伝的な作品『思ひ出』をもとに金木地区にある太宰治ゆかりの地をめぐる。太宰治疎開の家で銘菓の試食もある2時間コースは大人1名2400円(2名から受付、3日前までに要予約)。