いつも時間に追われている日常で、気が向くままに歩けることはめったにない。だから、そぞろ歩きは旅の特権。そして広島・竹原は、そぞろ歩き特区といってもいい。町を歩けば、虫籠窓(むしこまど)や武者窓(むしゃまど)と呼ばれる塗格子など、意匠を凝らした建物が続く。さらに酒蔵がワタシを招き入れる。今回の旅で、そぞろ歩き特区がもうひとつ。橋のない大崎上島。島時間にリセットし、浴衣に着替えてそろりそろり。美酒佳肴(びしゅかこう)のもてなしで酔うほどに、瀬戸内の風景がワタシに馴染んでいく。
旅館の部屋の窓から見た、一幅の絵のような瀬戸内の海。その海が足元に広がって、シーカヤックの下でちゃぷちゃぷと音を立てている。顔にかかった水しぶきが塩っ辛い。そして、真っ青な空の下に広がる碧い海が、夕暮れになると真っ赤な空に染め出され、漆黒の海へと変わる。海を眺め、海に遊び、海の幸を味わう。そして海と共に生きてきた人々とも交わりながら、2日目はたっぷり五感を使った海の旅。おいしくって楽しい海へGO!
広島の瀬戸内海沿いを縫うようにして走る「瀬戸内マリンビュー」。客船のキャビンをイメージした車内には羅針盤や地図が装飾され、気分はすっかりクルージング。とくに呉線忠海(ただのうみ)駅~安芸幸崎(あきさいざき)駅間は海岸沿いを走り、丸窓からは多島美を堪能できる。海を真正面に座る1号車指定席のゆったりとしたソファもうれしい。
平成28年11月27日(日)までの土曜・休日と8月30日(火)・31日(水)運転
広島駅~三原駅
1号車は全席指定席、2号車は自由席です。1号車に乗車の際は乗車券のほかに座席指定券(320円または520円)が必要です。