銀山温泉とおいしい食べ物――さらに、みちのく文化に触れられる体験があれば、今回の東北の旅はほぼ完ぺき。だって、川沿いにうつくしい銀山温泉の町並みが続いているのだから。自然を愛でることの多いワタシだが、温泉街がこれほど風流なものだとは知らなかった。そこに吹く新しい「モダンクラシック」の風も、温泉街のなかに溶け込んで違和感がない。木造建築はクラシックな重厚さも、モダンなエッセンスもすべて吸い込んで、銀山温泉は独自の個性にしてしまうのだ。ああ、ここにいられる幸せ。みちのく温泉、ありがとう。
上杉伯爵邸でランチを食べて日本庭園を歩き、米沢藩上杉家御用酒屋の日本酒を飲んでいるうちに元気になってくる。人の話を聞き、舌で味わい、手で触れて、米沢文化が近づいてくる。でも一番湧いてきたのはワタシの意欲。きっと米沢人すべてのココロには、米沢藩9代藩主・上杉鷹山(ようざん)の言葉が行き届いているに違いない。「なせばなる なさねばならぬ 何事も ならぬは人の なさぬなりけり」。伝統を守ってきた人々の気概は、きっとここから生まれている。ワタシもやるぞ! 米沢よ、勇気をありがとう。