『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
世界各地で腕を振るったシェフの感性と地元食材が響き合う | |
列車の外観は「走るレストラン」をイメージした大胆なデザイン | |
床にこぎん刺し、照明に琥珀(こはく)を用いたオープンダイニング車両 |
「TOHOKU EMOTION」の往路と復路の空き時間に久慈(くじ)を観光するなら、駅から徒歩で行ける道の駅くじ「やませ土風館」などに立ち寄るのがちょうどいい。みやげ品ショッピングが楽しめるし、昭和グッズを展示する「レトロ館」(写真)もある。もぐらんぴあ・まちなか水族館は小さいながらも、塩作りなど様々な体験ができる。あまちゃんハウスはドラマで使われた小道具や衣装などを展示。ドラマファンなら、いまもって嬉しくなること請け合いだ。
2013年秋から運転されている東北レストラン鉄道「TOHOKU EMOTION」は、列車内をレストランにしたというより、まるでレストランをそのまま走らせているかのよう。ライブキッチンスペース車両まであり、目の前で臨場感たっぷりに調理が繰り広げられる。車両ごとに福島の刺子織(さしこおり)、青森のこぎん刺し、岩手の南部鉄など東北各地の伝統工芸をモチーフとしたインテリアが施され、まさに上質なレストランの趣。
東北の食材を使ったメニューは、半年ごとに当代の人気シェフが交替して監修。今冬のランチコースは表参道「TWO ROOMS GRILL | BAR」のシェフディレクターであるマシュー・クラブ氏、デザートコースは「ホテルメトロポリタン盛岡」のパティシエ・熊谷崇氏によるものだ。
列車は、海の見えるビュースポットでスピードを落として走行。動くレストランの車内で車窓の美景を眺めながら、美食に舌鼓を打つひととき、極上の時間が流れる。
運転日●土・日曜・祝日中心
運転区間●八戸(11:05頃発)→久慈(12:52頃着)、久慈(14:20頃発)→八戸(16:05頃着)
料金●八戸駅→久慈駅(往路 ランチコース付)7200円、久慈駅→八戸駅(復路 デザートブッフェ付)4100円、八戸駅?久慈駅(ランチコース付・デザートブッフェ付)1万800円。東京発着の1泊2日三陸周遊コース3万5900円?。
問合せ●びゅう予約センター TEL.03-3843-2001など各旅行会社へ
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※上記は、2016年3月運転分までの情報です。
「ろくもん2号」で提供される“茶の湯の心”を基本とした和食 | |
浅間山を背に走る「ろくもん」。列車のデザインは水戸岡鋭治氏 | |
1号車には遊び場の「木のプール」も設置されている |
真田氏をテーマにした「ろくもん」に乗車したからには、真田幸村とゆかりの深い上田を訪ねよう。奇しくもNHK大河ドラマ『真田丸』も始まっている。上田城跡(写真)は真田幸村の本拠地で、城跡公園には信州上田真田丸大河ドラマ館も設置されている。池波正太郎真田太平記館も、プロジェクションマッピング技術を利用して真田幸村が最期まで戦った大坂冬の陣・夏の陣を紹介するジオラマなど、見応えがある。
2014年夏から運転されている「ろくもん」は、信濃国の武将・真田幸村の赤備(あかぞな)え(武具を朱塗りにした部隊編成)をイメージした濃い赤色に、真田氏の家紋である六文銭をゴールドで正面に据え、高原を颯爽と走る観光列車。車内には長野県産の木材がふんだんに使われている。
1日3本運転されており、ろくもん1・2号は温もりあふれる車内で高原の自然を愛でながら食事を味わうこともできる。1号はジャムの専門店「沢屋」が直営する軽井沢のレストラン「こどう」の前菜・スープなどと、東御(とうみ)市にチーズ店とカフェを構える「アトリエ・ド・フロマージュ」のメイン・デザートからなる洋食。2号は小布施(おぶせ)町の名店「鈴花(すずはな)」による和食。ともに地元長野で、丹誠込めて作られた食材自体も魅力だ。
食事付きプラン利用の場合はしなの鉄道1日乗車券が付き、停車駅でのお土産サービスなども受けられる。
運転日●金?日曜・祝日中心
運転区間●ろくもん1号:軽井沢(10:40発)→長野(13:05着)、2号:長野(13:34発)→軽井沢(15:48着)、3号:軽井沢(16:09発)→長野(17:38着)
料金●ろくもん1・2号:1万2800円、3号:1000円(食事なし)
問合せ●しなの鉄道 ろくもん予約センター
TEL.0268-29-0069
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自然薯をすり鉢ですると、気泡が入ってふわっとしたとろろに | |
品数豊富で、とろろご飯がさらに進む | |
ヘッドマークでは袴姿の女の子が自然薯をすっている |
古来、山に自生していたため自然薯(じねんじょ)と呼ばれるヤマイモは、滋養強壮や疲労回復に効果がある、冬が旬の食材。明知(あけち)鉄道の沿線、恵那山麓の東野は自然薯の名産地で、肥沃な土地で採れる芋は粘りが強く、より精がつくと珍重されている。
明知鉄道では、この地元の名産を思う存分味わえる「じねんじょ列車」を運転している。沿線名産の寒天料理など他のおかずも嬉しいが、なんといってもすり鉢で目の前ですっている自然薯をおかわり自由でいただけるのが魅力。食べ過ぎても、消化を助ける働きをもつ自然薯だから安心だ。
乗車料金には「一日フリー切符」が含まれており、明智駅に到着後は沿線観光を自由に楽しめる。
運転日●3月までの月曜(祝日以外)を除く毎日
運転区間●恵那(12:40発)→明智(13:33着)
料金●4000円
問合せ●明知鉄道
TEL.0573-54-4101
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すし職人握りたての鮨5貫と氷見市特産はと麦茶がセット | |
モダンで品格のあるダークグリーンの車体。愛称は「べるもんた」 | |
伝統工芸品の展示や額縁風の窓など、まさに「走るギャラリー」 |
城端線と氷見線の起点駅・高岡駅は国宝の高岡山瑞龍(ずいりゅう)寺、高岡大仏、山町筋(やまちょうすじ)や金屋町の重要伝統的建造物群保存地区など徒歩圏内に見どころ多数。
氷見線側では雪に覆われた立山連峰の雄姿を海越しに望める雨晴(あまはらし)海岸(写真)が素晴らしい。城端線側では終点・城端駅から世界遺産バスで約30分の世界文化遺産・五箇山(ごかやま)が大きな魅力。雪深い合掌集落の光景は昔ばなしの世界のよう。
北陸デスティネーションキャンペーンにあわせ、2015年10月10日から運転開始された城端(じょうはな)線・氷見(ひみ)線観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」。名称はフランス語で“美しい山と海”の意をもち、まさに沿線の特徴を表わしている。
土・日曜限定で、土曜日は新高岡・高岡~氷見間、日曜日は高岡~城端間を、それぞれ2往復運行する。車内では、額縁に見立てた車窓から絵画のような美しい風景を愛でながら、沿線グルメが味わえる。「ぷち富山湾鮨セット」は、“天然の生け簀(いけす)”富山湾の旬の地魚と県産米を用いて、車内に乗り込んだすし職人が握りたてを提供。「ほろ酔いセット」は、沿線の地酒とおつまみ4種が楽しめる。なかなか県外に流通しない造り酒屋の酒を選べるのが嬉しい。車内でも数量限定で販売されるが、3日前までの事前予約が確実。
ちなみに、新高岡~氷見間を走る土曜日の1・2・3号では、高岡駅で城端線と氷見線間のスイッチバックが体験できる。乗客を乗せたまま駅構内の軌道を移動するのはJR西日本管内でここだけとあって、見逃せない。
運転日●土・日曜
運転区間●
[城端線・氷見線]ベル・モンターニュ・エ・メール1号:新高岡(11:12発)→氷見(12:04着)、2号:氷見(12:14発)→新高岡(13:15着)、3号:新高岡(14:58発)→氷見(16:14着)、4号:氷見(16:26発)→高岡(16:56着)
[城端線]ベル・モンターニュ・エ・メール51号:高岡(9:35発)→城端(10:19発)、52号:城端(10:33発)→高岡(11:15着)、53号:高岡(12:52発)→城端(13:42着)、54号:城端(14:14発)→高岡(15:01着)
料金●ぷち富山湾鮨セット2000円、ほろ酔いセット1500円(乗車券・座席指定券別途)
問合せ●
列車については
・JR西日本北陸案内センター TEL.076-265-5655
食のサービスについては
・観光販売システムズ TEL.050-3775-4727
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ケーキ2個、和菓子1個を選択でき、飲み物はおかわり自由 | |
白色の車両「白秋」で運転される「カフェトレイン」 | |
木の温もりあふれるショーケースに人吉球磨の物産品などを展示 |
くま川鉄道の中間地点に位置するおかどめ幸福駅は、岡留熊野座神社の御利益から命名。近くにみやげ物店や幸福グッズを販売する店がある。多良木(たらぎ)駅ホーム脇にあるブルートレインたらぎは、寝台特急「はやぶさ」の車両を利用した簡易宿泊施設。素泊まりで浴室はないが、近くに多良木ふれあい交流センターえびすの湯があるので、心強い。起点駅・人吉温泉の観光の目玉はなんといってもくま川下り(写真)だ。
くま川鉄道に2014年から導入されたKT-500形気動車5台は水戸岡鋭治氏がデザインを担当。人吉球磨(くま)盆地の四季をテーマに春のベージュ、夏の青、秋の赤、白秋の白、冬の茶と、車両ごとに車体の色や内装を変えている。
「人吉球磨は、ひなまつり」期間中の2月の土・日曜には、それらの車両を使用したカフェトレインが運転される。地元産の檜が多用され、ショーケースやソファ、カウンターなどの配された車内はまさにカフェそのもの。BGMのジャズを聴きながら、コーヒーや紅茶とともに、地元の専門店によるケーキや和菓子を堪能できる。
沿線にはのどかで美しい田園風景が広がるため、ベートーヴェンの交響曲第6番『田園』を全車両共通のデザインモチーフとし、車体にはト音記号や音符が描かれている。車窓を眺めながらスイーツをいただけば、誰しもご機嫌、思わず鼻歌を口ずさんでしまうことだろう。利用日の3日前までに予約が必要だ。
運転日●2月の土・日曜
運転区間●人吉温泉(14:29発)→湯前(15:13着)、湯前(15:28発)→人吉温泉(16:13着)
料金●片道2000円(乗車券別途)
問合せ●くま川鉄道
TEL.0966-23-5011
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文=大友康子
写真提供=信州・長野県観光協会、熊本県
※掲載されているデータは2016年1月現在のものです。