『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
獅子ヶ鼻湿原 ブナの原生林に囲まれた面積約26haの湿原。鳥海山の伏流水がいたるところから湧き出ていて、水底には世界的にも希少種の苔が密生している。「森の巨人たち百選」に選定された巨大ブナ・あがりこ大王は必見。TEL.0184-38-4305(にかほ市産業建設部観光課)。散策自由
元滝伏流水 鳥海山の伏流水が集まり、幅約30mの岩肌一帯から豪快に流れ落ちているところ。岩を覆う苔と白い飛まつのコントラストが美しく、マイナスイオンも豊富。周辺には天然のブナが密生していて、11月中旬まで紅葉が楽しめる。TEL.0184-38-4305(にかほ市産業建設部観光課)。見学自由
二ノ滝渓谷 鳥海山山頂に至る二ノ滝登山道の入口付近に広がる渓谷美。溶岩層の新旧の境界が断面になって現れたところで、一・二ノ滝や間ノ滝、三ノ滝など大小の美しい滝が点在している。冬は二ノ滝が完全凍結し、氷柱が見られる。駐車場から二ノ滝まで片道約20分。TEL.0234-72-5886(遊佐町企画課)
道の駅鳥海「ふらっと」 国道7号線沿いにある道の駅。吹浦漁協女性部が運営する鮮魚直売所では焼きたて、おろしたての地魚が買える。11月は秋鮭やハタハタ、銀ガレイがおいしい。食堂ではいくら丼1000円やカキフライ定食900円が人気。TEL.0234-71-7222。8:30~18:00(直売所9:00~17:30)、1月1日休
鳥海温泉「遊楽里」 客室から日本海に沈む夕陽を眺められる全室オーシャンビューの温泉ホテル。美肌効果に優れたメタケイ酸を豊富に含んだ自家源泉を完全かけ流しした大浴場のほか、宿泊客は隣接する日帰り温泉「あぽん西浜」(入浴350円、6:00~22:00、第2・4月曜休)も無料で利用できる。TEL.0234-77-3711。1泊2食8700円~。39室
牛渡川鮭採捕場 箕輪鮭漁業生産組合が運営する孵化場で、遡上する鮭の捕獲シーンが迫力たっぷり。ピークは11月上旬~12月中旬。鳥海山の伏流水である牛渡川は透明度が高く、日本海沿岸の孵化場では指折りの遡上数を誇る。卵を採ったあとの生鮭や新鮮なイクラも買える。TEL.0234-77-2275。8:00頃~9:00頃、4~9月休、見学無料
山居倉庫 明治26年(1893)に米の保管倉庫として建てられた木造倉庫。ケヤキ並木に沿って12棟が並ぶ景観は庄内のシンボル。庄内米歴史資料館(9:00~16:30、年末年始休、入館300円)や、人形作家・辻村寿三郎氏の作品を展示する酒田夢の倶楽(9:00~18:00、1月1日休、入館300円)もある。TEL.0234-24-2233(酒田観光物産協会)。外観見学自由
本間家旧本邸 豪商・本間家の三代光丘が庄内藩主酒井家のため、幕府の巡検使宿舎として明和5年(1768)に建築。武家屋敷と商家造りが一体になった珍しい建築に注目。玄関前の赤松は樹齢約400年。TEL.0234-22-3562。9:30~16:00、12月中旬~1月下旬・展示替え日休、入館700円
旧鐙(あぶみ)屋 酒田を代表する廻船問屋として繁栄した旧池田家の商家。弘化2年(1845)の大火後に再建された建物で、石置杉皮葺の屋根や広大な座敷が往時の繁盛を物語っている。TEL.0234-22-5001。9:00~16:30、月曜(祝日の場合は翌日)と12月29日~1月3日休、入館310円
本間美術館 酒田藩主が領内巡視をする際の別荘として本間家が建てた「清遠閣」を中心に、鳥海山を借景にした幽遠な庭園・鶴舞園が広がる。宮大工が心血を注いで細工を施した建築美が見もの。TEL.0234-24-4311。9:00~16:30、12~2月の火・水曜(祝日の場合は翌日)・年末年始休、入館900円
土門拳記念館 酒田出身の写真家・土門拳の全作品約7万点を収蔵・展示する日本初の写真美術館。建物の設計を担当した谷口吉生氏はこの作品で日本芸術院賞を受賞した。TEL.0234-31-0028。9:00~16:30、月曜(祝日の場合は翌日)・年末年始休、入館420円
日和山(ひよりやま)公園 酒田市街を一望する高台にあり、日本海に沈む夕陽を望める絶景ポイント。1/2スケールで復元された千石船や日本最古級の木造六角灯台、方角石、河村瑞賢と松尾芭蕉の銅像などがある。TEL.0234-26-5745(酒田市都市計画課)。入園自由
蔵探訪館(初孫酒造資料館) 「初孫」の銘柄で知られる東北銘醸の歴史と酒造りを紹介する資料館。原料や醸造工程を写真やパネルで紹介している。純米酒や吟醸酒、絞りたての原酒を飲み比べできる利き酒コーナーが人気。TEL.0234-31-2320。10:00~16:30、月曜・年末年始休、入館無料
城輪柵(きのわさく)跡 昭和6年(1931)に発見された面積約52haの遺跡。平安時代にこの地方を治めた出羽国の国府跡といわれている。国の史跡に指定され、政庁南門や東門、建物の礎石などが復元されている。TEL.0234-24-2994(酒田市教育委員会)。見学自由
映画『おくりびと』ロケセット(NKエージェント) 平成20年に公開され、翌年アカデミー賞外国語映画賞を受賞して話題になった映画『おくりびと』のロケセットを公開。主人公が入社した事務所や社長室、納棺シーンを撮影した部屋がそのまま残されている。TEL.0234-23-2446(酒田ロケーションボックス)。9:30~16:30、無休、清掃協力金100円
秋田・山形・新潟と日本海に沿って続く羽越エリアは、「日本海きらきら羽越観光圏」と呼ばれ、高峰が海際まで迫る独特の自然地形をはじめ、北国ならではの風土や鮭に代表される食文化が古くから根付き、日本の原風景が残る魅力いっぱいの観光周辺エリアだ。その中でも秋田と山形にまたがる標高2236mの鳥海山は、はるか昔から人々の守り神として崇められてきた名峰。山懐に蓄えられた大量の伏流水が田を潤し、人々の暮らしに恩恵を与え、日本海に注ぐ豊かな栄養分は天然の好漁場を維持してきた。
そんな母なる鳥海山の北西山麓に位置し、巨大な天然ブナと湧水の森に囲まれた獅子ヶ鼻湿原を訪ねる紅葉ウォーキング。2時間半ほどで1周でき、木道が整備されている上にアップダウンも少ないので、誰でも気軽に壮大かつ神秘の自然に浸れるスポットとして人気が高い。
湿原の入口にあたる中島台レクリエーションの森の管理棟でにかほ市象潟観光案内人協会会長の伊藤良明さんと合流し、さっそく森の中へ。砂利道を200mほど歩くと木道になり、同時にブナやカエデ、ナラなど葉を色付かせた木々が両側から迫ってきた。鮮やかな黄色に染まるブナの葉、オレンジ色のカエデなど、頭上を覆う枝葉が陽光に照り、まるで万華鏡を覗いているような美しさに息を呑む。
「ブナの黄葉に始まっで、そのあとでカエデが色付くので、長い期間紅葉が楽しめます。ブナの新緑とミズバショウがきれいな6月中旬にもぜひ来てみで」と伊藤さん。そして「ここのブナはみんなおがすな(おかしな)形していると思わねか?」と続けた。
確かにまわりに林立する大きなブナは、根から少し垂直に伸びたかと思うと、そこから急に直角に曲がったり、大きくねじれたり、奇形というほかない。「一説には炭焼用に枝を伐採し、その切り株から芽が育つでこういった形に成長したといわれています」。伊藤さんの言葉を裏付けるように、森の中には50以上の炭焼き窯の跡が残っているという。
そんな奇形ブナの代表格が、40分ほど歩いたところにある「あがりこ大王」と呼ばれる巨樹。樹齢約300年、幹周り7.62mの日本一太いブナである。大小のコブを複雑に盛り上がらせ、まるで花が咲いたように太い枝を四方に伸ばす姿は、大王の名にふさわしい貫禄だ。
少し木道を戻って分岐点を奥へ。水底からこんこんと伏流水が湧く出壺(別名は熊の水飲み場)から鳥海マリモと呼ばれる、ボール状の苔が密生する湧水群と回る。この湿原だけで11カ所もの湧水地があるとか。澄みきった川面に影を落とす赤黄の木々が幻想的な風景を楽しませてくれる。
すばらしい紅葉と大いなる自然の神秘を満喫した獅子ヶ鼻湿原。雪に覆い尽くされる前に、もう一度巨大ブナに会いに来ようと、心に決めた。
寿司・割烹・鰻 笹乃井(にかほ市)
地魚を使った寿司や創作料理が人気の店。中でも近海で1本釣りされた鮮度抜群のサバは「鳥海サバ」と呼ばれ、関サバや松輪サバを凌ぐ味と評判だ。握り1カン150円~。TEL.0184-35-2331。11:30~13:30・16:30~22:00、木曜休
海鮮どんや とびしま(酒田市)
安くてボリューム満点の海鮮定食を目当てに長い行列ができる超人気の食堂。豪華な刺身盛合せが付く舟盛膳がナント1050円。写真の海鮮丼も1050円。TEL.0234-26-6111。7:00~9:30・11:30~18:30、不定休
さかた海鮮市場(酒田市)
漁港に隣接し、庄内浜産の地魚や加工品がずらりと並ぶ。高級魚ノドグロや名産の鮭も格安で買えるとあって地元客も多い。飛島のいか塩辛は1050円~。TEL.0234-23-5522。8:00~18:00、不定休
雄大な日本海、水平線に沈む幻想的な夕陽を車窓に、JR羽越本線を走る全車指定席のジョイフルトレイン「きらきらうえつ」は2011年11月23日で運行1周年。
これを記念し、沿線各駅では11月12日・19日・23日・26日に芋煮や村上牛スジ煮込み、地酒などの振る舞いイベントを実施。23日当日に乗車した方には、地元で募集された子供による一日車掌や土産品のプレゼントのお楽しみも。
また、2012年2月26日まで、車内にあるハガキに沿線各所に設置したスタンプを押して応募すると豪華特産品が当たる「きらきらスタンプラリーキャンペーン」も開催。詳細はホームページで。
文・写真=五十嵐英之 写真協力=裏辺研究所(きらきらうえつ)
※掲載されているデータは平成23年11月現在のものです。