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10月1日に新しい駅での営業が始まった川原湯温泉駅。八ッ場ダム建設工事に伴い、温泉街の新たな玄関として生まれ変わった
国指定名勝「吾妻峡」は若山牧水がこよなく愛した景勝としても知られ、「うづまける 白渦見ゆれ 落ち合へる 落葉の山の 荒岩の蔭(かげ)に」といった歌を残している。渓谷の一部は2020年完成予定の八ッ場ダムの底に沈む
川中温泉の一軒宿「かど半旅館」の露天風呂。冷え性や美肌効果のある源泉の名称は、その名も「美人の湯」。露天風呂には泉温34.6度の源泉をかけ流す源泉浴槽と、加温してかけ流す高温浴槽とがある。混浴だが、女性専用時間あり
7月に新温泉街にオープンした川原湯温泉の共同浴場「王湯」。露天風呂からは現在は木々の彩りを、ダムが完成すれば湖面を見下ろせる。旧温泉街の各施設は少しずつ移転しており、新たな町の誕生が楽しみ
紅葉の時期には対岸の山々の紅葉が素晴らしい道の駅「八ッ場ふるさと館」。情報コーナーには八ッ場ダムについての説明展示もある。地元の農産物市場でのショッピングや、農産物を用いた郷土料理などの飲食もできる
母娘2人で“関東の耶馬渓(やばけい)”とも呼ばれる紅葉の名所・吾妻渓谷へ。最寄り駅のJR川原湯(かわらゆ)温泉駅や温泉街、駅付近のJR吾妻線は、平成32年完成予定の八ッ場(やんば)ダムの底に沈んでしまうため、線路が付け替えられ、今年10月1日から新ルートでの運行が開始された。新しい川原湯温泉駅に降り立つと、新しい町の息吹を感じる。
旧駅のほうに降りて、渓谷沿いの国道を歩き始める。国道とはいえ、渓谷の景観を存分に楽しめる。ダム工事により、この国道もいずれ通行止めになってしまうので、今は国道と遊歩道の両方から吾妻渓谷を楽しめるラストチャンスだ。鹿飛(しかとび)橋から遊歩道に入るとすぐ、「八丁暗(はっちょうくら)がり」と呼ばれる景勝地が続く。2~3mほどしかない川幅に対し、両岸の崖は高さ50mにもなる。遊歩道を覆う圧倒的な紅葉の色合いにうっとりとしながら歩くと、終点・見晴台からの渓谷の眺望は息をのむ素晴らしさだ。紅葉を楽しみつつ鹿飛橋へと戻り、川中温泉までさらに40分ほどハイキング。車道ではあるが、それほど往来は多くなく、周囲の紅葉も楽しめる。
川中温泉は古来、和歌山県の龍神温泉、島根県の湯の川温泉とともに、日本三大美人の湯に数えられる名湯。美しい紅葉を見て、美人の湯に浸かると、体の中からきれいになれそうだ。
翌朝は宿の車で川原湯温泉駅へと送ってもらい、共同浴場「王湯(おおゆ)」や道の駅「八ッ場ふるさと館」に立ち寄ってみる。道の駅の横にかかる高い橋の下はまさにダムの底に沈む地で、対岸の紅葉も素晴らしい。6年後にダムができたときにも、また母娘で来てみたい!
★1日目
上野駅→(上越・長野新幹線)→高崎駅→(JR上越線・吾妻線)→川原湯温泉駅→(徒歩)→吾妻渓谷→(徒歩)→川中温泉
★2日目
川中温泉→(宿の送迎車)→川原湯温泉駅→(徒歩)→王湯→(徒歩)→八ッ場ふるさと館→(徒歩)→川原湯温泉駅→(特急「草津」)→上野駅
・週末パス
・長野原町産業課 TEL.0279-82-3013
・東吾妻町観光協会 TEL.0279-70-2110
・群馬の観光情報 心にググっとぐんま
六甲山頂近くの海抜865m地点に位置し、高山植物を中心に世界の寒冷地植物約1500種を栽培する「六甲山高山植物園」。秋には、赤色や日の光にきらめく金色が折り重なり、園内の樹林区は錦の世界へ移り変わる
19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したオルゴールなどの自動演奏器を展示する「六甲オルゴールミュージアム」。所蔵品を実演するコンサートを随時開催し、大きな自動演奏オルガンや自動人形「エクリヴァン」など見応え十分
最新のLED照明を用い、「自然体感展望台 六甲枝垂れ」をライトアップする「六甲山光のアート」。季節ごとに色合いを変え、11月24日までは六甲山の紅葉をイメージした秋バージョン。18:00~21:00に開催
有馬温泉は鉄分を多く含んだ赤色の金泉、透明な銀泉とがあり、各宿はどちらかの湯をたたえる(ごく一部の宿で両方を楽しめる)。写真は共同浴場「金の湯」。狭い坂道が入り組んだ温泉街の雰囲気もいい
豊臣秀吉に愛された有馬温泉で、かつて瑞宝寺があった跡地に残る瑞宝寺公園。秀吉が愛した「石の碁盤」「日暮らしの庭」を巡り、紅葉を愛でたい。秀吉を偲んで、11月2・3日には「有馬大茶会」も行なわれる
宿泊する有馬温泉の宿に荷物を預け、六甲有馬ロープウェーで六甲山頂駅へ。明治時代以降に神戸外国人居留地の欧米人によって開発された山頂エリアには、現在も多くの文化・保養施設やホテルが集まり、とても洒落た雰囲気がただよう。11月24日まで「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2014」が開催中で、山上エリアに数々の現代アート作品が展示され、鑑賞しながら散策できる。山頂周辺の紅葉もなかなかだが、「六甲高山植物園」内の紅葉は赤や黄色など鮮やかで絶妙。
かわいらしい外観の「六甲オルゴールミュージアム」にも入ってみる。クラッシックなオルゴールたちは姿も音色も非常に麗しい。オルゴール組立体験にもチャレンジし、母娘それぞれ、思い思いのオルゴールが出来上がり。
日が暮れ始めた「六甲ガーデンテラス」で明石海峡から大阪平野、関西空港まで広がる大パノラマを一望。神戸セレクト雑貨店「ホルティ」など洒落たショップをめぐっていると周囲はすっかり暗くなり、「自然体感展望台 六甲枝垂れ」がライトアップ。六甲山の紅葉をイメージした、赤や黄色のグラデーションで斬新な形の展望台が浮かび上がる。ガーデンテラスからの1000万ドルの夜景を楽しみ、ロープウェーで有馬温泉へと下った。
金泉と銀泉とがある有馬温泉の名湯を楽しんだ翌日は、温泉街や瑞宝寺公園の散策を存分に楽しもう。瑞宝寺公園は2014年10月7日現在、豪雨被害のため閉鎖中だが、10月中~下旬には開園予定とのこと。モミジが多く、紅葉の見頃には真っ赤な葉が散り敷く公園の様子は圧巻。オシャレなまち神戸でアートと紅葉を存分に満喫でき、感激だ。
★1日目
名古屋駅→(東海道・山陽新幹線)→新神戸駅→(JR高速バス「有馬エクスプレス号」)→有馬温泉バス停→(徒歩)→有馬温泉駅→(六甲有馬ロープウェー)→六甲山頂駅→(徒歩)→六甲山高山植物園・六甲オルゴールミュージアム・六甲ガーデンテラスなど→(徒歩)→六甲山町駅→(六甲有馬ロープウェー)→有馬温泉駅→(徒歩)→有馬温泉
★2日目
有馬温泉→(徒歩)→瑞宝寺公園など温泉街散策→(徒歩)→有馬温泉バス停→(JR高速バス「有馬エクスプレス号」)→新神戸駅→(山陽・東海道新幹線)→名古屋駅
・神戸国際観光コンベンション協会 TEL.078-303-1010
・有馬温泉観光協会 TEL.078-904-0708
九州の数ある紅葉スポットのなかでも人気の高い「御船山楽園」。標高210mの御船山を借景に、ひょうたん形の池の周囲に群生するカエデや樹齢170年のオオモミジが庭園を艶やかに彩る
嬉野温泉「茶心の宿 和楽園」では、特産の嬉野茶を温泉にたっぷりと浸した露天「茶」風呂や、料理に巧みに取り入れた会席料理で客をもてなす。写真は露天風呂付き客室「山茶亭(さざんてい)」の五右衛門風呂
嬉野温泉の名物料理・温泉湯どうふに用いられる豆腐は、地元産大豆「フクユタカ」を100%使用。美肌の湯に浸かり、胃腸に優しい温泉水と栄養満点の豆腐を味わえば、体の外と中、両方からきれいになれる
日本有数のお茶の生産量を誇る嬉野は、山々に囲まれた盆地にある。朱色のトンガリ屋根の建物は、市営公衆浴場「シーボルトの湯」。江戸時代からの湯治場であった「古湯」が、地元の人々に愛されて2010年に復活した
海の神の娘である竜宮城の乙姫(豊玉姫)を祀る豊玉姫神社。豊玉姫は肌が白く美しかったことから、美肌の神様として親しまれている。境内には豊玉姫の使いであり、白磁製のつるんとした白なまず様も祀られている
佐賀県武雄市の「御船山楽園」は、第28代武雄領主・鍋島茂義(しげよし)公が東京ドーム10個分にあたる約15万坪の広大な敷地のなかに、3年の歳月をかけて創設した庭園。春の桜・ツツジ、夏の夜の「竹あかり」など季節ごとに美しい表情を見せる。紅葉の見頃となる例年11月中旬頃からは、500本のモミジが名園を燃えるような深紅に染め上げる。岩肌と緑と赤色の点在する荒々しい御船山と紅葉で縁どられた池の情景、茶屋から望む紅葉景色など、どこを切りとっても、言葉では言い表せない美しさ。
近くに武雄温泉もあるが、今回は母娘2人、嬉野温泉の温泉湯どうふがぜひとも食べたくて、バスで移動。
嬉野温泉は温泉旅行博士の称号をもつ藤田聡氏により、島根県斐乃上(ひのかみ)温泉、栃木県喜連川(きつれがわ)温泉と並んで日本三大美肌の湯に認定されている。ナトリウムを多く含む重曹泉は、確かになめらかで、湯上がりは肌がしっとりする。この美肌の湯を湯どうふに用いると、温泉水がもつ絶妙な成分バランスが豆腐をとろりと溶けさせ、煮汁が豆乳色に変化し、豆腐がとろとろになる。温泉街には湯どうふを食べられる店が多く、宿泊すれば宿の夕食もしくは朝食でゆっくり味わえる。
嬉野川沿いに遊歩道が整備されており、おみやげや特産品を扱う商店が並ぶなど、嬉野温泉街はぶらぶら歩くのが楽しい。足を延ばして眺めに行きたいのが、国の天然記念物「大茶樹」。慶安年間(1648~1651)に嬉野茶の祖・吉村新兵衛が植えたお茶の樹は、推定樹齢350年、枝張り約80㎡、樹高約4.6m。道すがらの茶畑の光景も美しい。町の中心部にある豊玉姫神社には、竜宮城の乙姫を祀る。肥前吉田焼や志田焼、嬉野茶や嬉野紅茶を扱う店をそぞろ歩けば、母娘の会話も最高に弾む。
★1日目
博多駅→(特急「みどり」または特急「ハウステンボス」)→武雄温泉駅→(バス)→御船山楽園→(バス)→武雄温泉駅→(バス)→嬉野温泉
★2日目
嬉野温泉→(タクシー)→大茶樹→(タクシー)→嬉野温泉→(徒歩)→嬉野温泉街散策→(バス)→武雄温泉駅→(特急「みどり」または特急「ハウステンボス」)→博多駅