『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
ブルーグレーとイエローの外観が美しい旧函館区公会堂。紅葉がさらなる色を添える
見晴公園にある香雪園は明治31(1898)年頃に造成された、豪商・岩船氏の元別荘の庭園。紅葉の絨毯や夜のライトアップが幻想的
海を望む「イマジンホテル&リゾート函館」の展望露天風呂。館内にあるほとんどの浴槽がかけ流しだ
大自然のなか、森林浴を楽しみながら馬の背中に揺られるホーストレッキング。人なつこい馬が多く、初心者でも楽しめる
3つの湖と駒ケ岳を抱く大沼国定公園。湖に浮かぶ小島には橋が渡され、浮島を結んで周遊できる
函館は安政6(1859)年、長崎・横浜とともに日本で初めて対外貿易港として開港された町。異文化が伝わり、函館山の麓から函館港のベイエリア周辺に洋館が建造され、エキゾチックな町並みがつくられた。
まずは母と2人、瀟洒(しょうしゃ)な洋館めぐりを存分に楽しむ。数々の洋館はハイカラな雰囲気自体もすばらしいが、秋は周囲の樹々が色づき、紅葉と洋館のコラボレーションを鑑賞できる。ベイエリアのシンボル「金森赤レンガ倉庫」でショッピングを楽しんだら、いよいよ函館イチの紅葉名所「香雪園」へ。
香雪園が位置する見晴公園は、園内全体が紅葉名所であり、特に道内では珍しい日本庭園と、歴史ある建物、紅葉の樹々との取り合わせが絶妙。10月17日~11月8日には「はこだてMOMI-Gフェスタ」が開催され、16:00~21:00に園内のライトアップも行われる。期間中はミニライブなどのイベントも実施。紅葉ライトアップを満喫したら、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉の湯の川温泉に宿泊。
翌日は北海道らしい体験を楽しもうと、大沼国定公園からほど近い「シャロレー牧場」へ向かい、ホーストレッキング。馬上からの眺めは新鮮で、駒ケ岳や、森から草原へと移りゆく景色に心癒される。
大沼国定公園に戻り、一帯が紅葉に染まる湖畔を散策。前日の洋館と紅葉、庭園と紅葉の取り合わせもすばらしいが、北海道らしい雄大な紅葉の眺めは心をおおらかにしてくれる。駅前の「沼の家(ぬまのや)」で名物の「大沼だんご」を買い、車窓から大沼公園を愛でながらおいしい団子をパクリ。
★1日目
仙台駅→(東北新幹線「はやぶさ」)→新青森駅→(特急「スーパー白鳥」)→函館駅→(市電)→末広町電停→(徒歩)→洋館めぐり→(徒歩)→十字街電停→(市電)→湯の川電停→(徒歩)→湯倉神社前バス停→(バス)→香雪園→(バス)→湯倉神社前バス停→(徒歩など)→湯の川温泉
★2日目
湯の川温泉→(市電)→函館駅→(JR函館本線)→大沼公園駅→(送迎車<要問合せ・予約>)→シャロレー牧場(ホーストレッキング)→ (送迎車<要問合せ・予約>)→大沼国定公園→(徒歩)→沼の家→(徒歩)→大沼公園駅→(特急「スーパー北斗」)→函館駅→(特急「スーパー白鳥」)→新青森駅→(東北新幹線「はやぶさ」)→仙台
・函館国際観光コンベンション協会 TEL.0138-27-3535
・七飯大沼国際観光コンベンション協会 TEL.0138-67-3020
「昇龍観」と呼ばれる傘松公園からの天橋立の眺め。股のぞきをすると、より天に架かった橋のように見えるという
成相寺では「海の京都博」のイベントのひとつとして、11月7・8・14・15日に境内の紅葉がライトアップされる
漁港の近くにある「宮津公設市場」。日本海の荒波に揉まれたおいしい魚が手頃な値段で手に入る
「黒谷和紙工芸の里」のはがき漉き体験は土・日曜・祝日の開催で700円(要予約、入館料別途300円)
「綾部バラ園」では10月中旬から約1カ月間、「秋のバラまつり」が開催される。写真は「春のバラまつり」開催時のもの
宮津市・綾部市など京都府北部7市町では、現在、地域の歴史・文化、海の魅力、まちの魅力、自然の恵などを発信するイベント「海の京都博~さあ、知と遊の冒険へ~」を開催中。母は数十年前に訪れたことがあるという天橋立に私も一度は行ってみたいと、ふたり旅。
天橋立駅から早速、天橋立で一番の展望スポット・傘松公園へ。陸奥の松島、安芸の宮島とともに日本三景に数えられる名景に、やはり感激。天橋立を望む成相山(なりあいざん)の中腹にある成相寺の本尊は、聖観世音菩薩で美人観音として知られ、参拝すれば身も心も美しくなると伝えられている。女性心をくすぐる寺だが、さらに秋は境内の樹々が赤く色づき、紅葉に包まれた五重塔の景観が見ごと。成相寺はなんと成相観音温泉の源泉を所有している。ほかにも天橋立エリアの温泉は複数あるので、温泉にゆっくり浸かって宿泊しよう。
翌朝はひと駅隣の宮津駅で降りて、「宮津市公設市場」で水揚げされたばかりの新鮮な魚介類を物色。冷蔵タイプの宅配便で自宅に送れば、明日の晩も丹後のおいしい魚が味わえる。
京都丹後鉄道からJR直通の特急「はしだて」に乗って、綾部駅へ移動。綾部市の黒谷は平家の落ち武者が生活の糧として始めたと伝わる、800年ほど前から続く和紙の里。「黒谷和紙工芸の里」では常時職人が紙を漉いており、はがきの紙漉き体験もできる。黒谷エリア一帯の紅葉もすばらしく、11月15日には和紙会館周辺で、和紙の特別販売や琴の演奏などが行われる「黒谷和紙ともみじ祭」も開催される。
秋は紅葉の季節であるとともに、春と秋に二度咲くバラの見ごろでもある。約120種1200本のバラが咲く「綾部バラ園」を堪能。同じく「あやべグンゼスクエア」内にある「あやべ特産館」でおみやげを購入し、帰路につこう。
★1日目
名古屋駅→(東海道新幹線「のぞみ」)→京都駅→(特急「はしだて」)→天橋立駅→(観光船)→一の宮桟橋→(ケーブルカー)→傘松公園→(バス)→成相寺→(バス)→笠松公園→(ケーブルカー)→一の宮桟橋→(徒歩など)→成相観音温泉
★2日目
天橋立駅→(京都丹後鉄道)→宮津駅→(徒歩)→宮津公設市場→宮津駅→(特急「はしだて」)→綾部駅→(バス)→黒谷和紙工芸の里→(バス)→綾部駅→(徒歩)→綾部バラ園・あやべグンゼスクエア→(徒歩)→綾部駅→(特急「きのさき」または「はしだて」)→京都駅→(東海道新幹線「のぞみ」)→名古屋駅
菊池川の支流、岩野川上流に位置する岳間(たけま)渓谷。いくつもの滝が流れ、吊橋も架かる遊歩道を散策しながら楽しむ紅葉狩りが最高
細川藩の御殿湯として約370年前に誕生した「さくら湯」。平成24年に日本の伝統工法により復活し、重厚な雰囲気のなかで名湯に浸かれる
馬刺など熊本名物をランチに。八千代座をモチーフにした店舗で馬刺重が食べられる「彩座」など飲食店多数(写真はイメージ)
現役の灯籠師に習って、手のひらサイズの金灯籠作りを体験。約30個の部品を組み立てる
山鹿の旦那衆の尽力によって建てられた八千代座。廻り舞台や枡席、花道もあり、本格的な芝居小屋だ
美肌の湯として知られるアルカリ性単純温泉の山鹿(やまが)温泉。温泉街の散策のみならば玉名駅からバスの利用でもいいが、紅葉の岳間(たけま)渓谷も訪ねようと、九州新幹線新玉名駅から駅レンタカーでドライブ。山鹿温泉まで約30分、岳間渓谷へはさらに30分ほど走らせる。
清流沿いを進むと、次第に川の流れや樹々の様相が渓谷らしさを増し、紅葉がいっそう美しくなる。駐車場から歩き出せば、大きな岩があり、そこから流れる滝、滝壺などに紅葉の樹々が生い茂る。「カッパの寝床」や「人面石」などの奇岩や吊橋もあり、橋の上から様々な景色を楽しめる。
温泉街に戻ったら、宿の温泉で散策の疲れを癒す。夕方や翌朝など、江戸期の建築様式を再現した山鹿温泉元湯「さくら湯」や肌に溶け込むようなぬるぬるの湯がかけ流しの「新町温泉」など外湯も楽しみたい。
山鹿温泉は頭上に灯籠を載せた女性たちが優雅に舞い踊る千人灯籠踊りで知られる「山鹿灯籠まつり」が毎夏、開催される。そこで旅の2日目は、幻想的な祭りの世界を多少なりとも体感すべく、山鹿灯籠民芸館で「ミニ灯籠作り体験」に参加しよう。姉妹と母の3人旅なら、3~12人で受付可能な「山鹿灯籠踊り」も体験できる。レッスンを受けたあと、八千代座の舞台で山鹿灯籠踊りにチャレンジしてみよう。
「八千代座」は明治43(1910)年築の芝居小屋。観劇したい公演にあわせて旅するのもいいし、公演期間以外であれば、江戸時代の芝居小屋の様子がわかる建物内部をぜひとも見学したい。
★1日目
博多駅→(九州新幹線「さくら」)→新玉名駅→(レンタカー)→岳間渓谷→(レンタカー)→山鹿温泉
★2日目
山鹿温泉→(徒歩で散策)→山鹿灯籠民芸館→(レンタカー)→新玉名駅→(九州新幹線「さくら」)→博多駅
・山鹿温泉観光協会 TEL.0968-43-2952