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51回目を迎える今冬の「京の冬の旅」キャンペーンは「大政奉還150年記念」がテーマ。武家政権から近代国家へ転換する契機となった「大政奉還」ゆかりのスポットで、通常非公開の文化財が特別公開されます。今回は洛東・洛南エリアを中心にご紹介。さあ、志士たちの魂が宿る京都へいざ!
会津藩士と新選組の
活躍を支えた浄土宗寺院
幕末期、京都守護職に任命された会津藩主・松平容保(かたもり)が本陣を構えた寺院。浪士組から離脱した近藤勇が容保に謁見して新選組が誕生した地であり、再建された大方丈の「謁見の間」(写真)では金の襖が鮮やかに輝いている。
きらびやかな寺宝の数々が
格式の高さを物語る門跡寺院
光格天皇が政務を行なった「上段の間」(写真)があり、ときに仮御所ともなった格式高い寺院。上段の間がある宸殿内部には、絢爛豪華な『花鳥図』『老松図』など約170面に及ぶ狩野派の障壁画が残る。塔頭・積善院(せきぜんいん)に安置されている「弁才天尊」は今回初公開。
公武合体派の中心人物
薩摩藩・島津久光も宿所とした
江戸幕府の庇護を受け、壮大な伽藍(がらん)が整えられた知恩院。特別公開の大方丈は、金碧障壁画で飾られた豪壮華麗なたたずまい。また、大方丈とは対照的に淡彩の落ち着いた水墨画が描かれた小方丈や、僧・玉淵(ぎょくえん)が作庭したと伝わる方丈庭園も拝観できる。
尊攘派の志士でもあった
絵師が描いた長篠合戦図も必見
久昌院は、徳川家康に仕えた奥平信昌が菩提寺として創建。長篠の合戦における信昌の活躍を宇喜多一蕙(うきたいっけい)が描いた襖絵が残っている。二段に刈り込まれた生垣の奥に、東山を借景として臨む池泉鑑賞式庭園が秀麗。本堂から眺める庭園はまさに一幅の絵画のよう。
冬季公開は初めて
寺宝の絵図で無常を悟る
平安時代の葬送の地・鳥辺野(とりべの)の入口にあたり、あの世とこの世の境と信じられてきた轆轤(ろくろ)町に立地。特別公開の『檀林皇后九相図(だんりんこうごうくそうず)』は、美貌で知られた嵯峨天皇の妃・檀林皇后が死を迎え、朽ちて土に還るさまを9つの段階に分けて描いたもの。『地獄絵図』(写真)などの寺宝も展示。
秀吉とねねの坐像を納めた
厨子の蒔絵を間近で見学
豊臣秀吉の正室・ねねが建立。今回は、秀吉とねねを祀る霊屋(おたまや)(写真)内部の美しい装飾「高台寺蒔絵」を特別に近くで見ることができるほか、開山堂と霊屋をつなぐ「臥龍廊(がりょうろう)」も開放され、境内の最も高所に位置する展望台も公開される。
伏見城遺構の庭園、御所の旧殿を
移築した大書院など見どころ豊富
代々皇族から住職を迎えた門跡寺院のひとつ。幕末、クーデターを起こそうとして失脚した尊王攘夷派の公家と長州藩士が妙法院に集って軍議を行ない、再起を図る決意をする様子を描いた『七卿落図(しちきょうおちず)』を特別展示。国宝の「庫裏(くり)」、重要文化財の「大書院」など見どころが多い。
古都のシンボル・五重塔の
初層内部で金剛界の四仏を鑑賞
平安京造営時に国家鎮護のために創建された東寺に建つ、国宝・五重塔の初層内部を特別公開。極彩色の文様で彩られ、密教の根本仏・大日如来に見立てた心柱を囲む金剛界の四仏と八尊の菩薩がみごと。密教美術の宝庫といわれる諸堂の拝観も楽しみ。
一子相伝で守る京野菜の
海老芋と棒鱈の炊合せ
江戸中期、初代・平野権太夫が海老芋と棒鱈(ぼうだら)を炊き合わせる「いもぼう」(写真中央)を考案し、一子相伝で継承。シンプルでありながら、他店には真似のできない味わいはさすが。知恩院や聖護院などをめぐる「京の冬の旅」定期観光バス「みやびコース」の昼食処にもなっている。
LED電球を使用した
露地行灯の灯りといけばなが
京都の夜を彩る
世界遺産の社寺や町並みが灯りと花で彩られ、日本情緒豊かな陰影のある路が出現し、夜の町歩きに心華やぐ。期間中、青蓮院(しょうれんいん)から清水寺までの道を地元小学生が練り歩く「火の用心・お囃子組」や八坂神社での「舞妓による奉納舞踊」といったイベントも開催される。平成29年3月3~12日開催。
地下鉄の駅から
歴史的名所を市民ガイドと歩く
知られざる史跡や見どころを歩いてめぐる散策ガイドプラン。京の冬の旅「大政奉還イベント」のひとつとして、「大政奉還150年記念 二条城と幕末の史跡をぐるり」コースも登場。ほかにも、毎週土曜に歴史ファン好みのさまざまなコースが開催される。
◎コースにより集合場所が異なります