『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
鎖国時代に唯一、海外に開かれた窓口として発展した長崎の町には、日本の「和」、中国の「華」、オランダやポルトガルなど西洋の「蘭」がミックスされた「和華蘭(わからん)文化」が息づきます。教会や中国・西洋伝来の名物、元寇(げんこう)の歴史を伝える史料館などの歴史的な名所に加え、ウチワエビや九十九島かきといった海の幸など、多彩な魅力に溢れています。長崎のさまざまな表情に出合いに、さあ、「旅さきは、ながさき」へ。
幻の豪華列車で大村湾の
絶景と極上スイーツを堪能
明治時代に九州鉄道がアメリカに発注し、納品されたものの運転されることのなかった幻の客車が蘇った。JRKYUSHU SWEET TRAIN「或(あ)る列車」として、平成29年3月まで佐世保(させぼ)駅~長崎駅間を走る(運転区間は時期により異なる)。大村湾の絶景を望みながら、九州産の旬のフルーツなどをたっぷり使ったスイーツや軽食を堪能できる。乗車には、JR九州ほか各旅行会社企画・実施分によるツアー商品の購入が必要となる。
色彩豊かで
エネルギッシュな祭典
今や長崎の冬の一大風物詩として全国的に知られる「長崎ランタンフェスティバル」だが、もともとは長崎新地中華街の人たちが、中国の旧正月(春節)を祝う行事。平成29年1月28日~2月11日の開催期間中、長崎の町じゅうに飾られる約1万5000個の極彩色のランタン(中国提灯)と、明かりが点(とも)された動物や人型の大小さまざまなオブジェが一帯を幻想的に彩る。
山並みと、海の闇と
きらめく光が好対照
夜景観光コンベンション・ビューロー主催の「夜景サミット」において、2012年度に「世界新三大夜景」、2015年度に「日本新三大夜景」に認定されている。長崎ロープウェイで上る稲佐山からその絶景が望め、漆黒の山々に囲まれた長崎の町は、まさに宝石をちりばめたように光り輝く。長崎港の海面に周囲の光が映り込むさまも印象的。
市内5つのホテルを循環します。乗車には乗車整理券が必要です。
多くの著名人も味わった
発祥店の長崎名物
中国大陸から長崎へと渡り、「四海樓」を創業した陳平順(ちん へいじゅん)氏が考案。中国から渡航してくる華僑や留学生の食生活を改善するため、安くてボリュームがあり栄養満点の「ちゃんぽん」を、皿うどんとともに編み出した。多くの人に食べてもらえるようにと商標登録をしなかったため、長崎の一大名物となった。発祥の店で食べるちゃんぽんの味わいは格別だ。
島特産の御影石を多く
用いたレンガ造りの教会
佐世保の名勝・九十九島のひとつである黒島は、江戸時代後期に潜伏キリシタンが多く住んだ島。慶応元年(1865)、長崎の大浦天主堂で「信徒発見」された後、黒島の信徒20人が大浦天主堂で信仰を打ち明けた。そして明治35年(1902)にマルマン神父のもと、黒島天主堂が建造された。祭壇下には1800枚の有田焼磁器タイルが敷き詰められている。見学は長崎の教会群インフォメーションセンターに事前連絡が必要。
写真提供=長崎県観光連盟
記載・掲載に当たってはカトリック長崎大司教区の許可をいただいています。
教会は信者の方にとって大切な祈りの場です。マナーを守って見学しましょう。
平戸藩の御用窯として
400年の歴史を伝える
平戸藩主・松浦鎮信(まつら しげのぶ)が慶長3年(1598)に連れ帰った朝鮮陶工のひとり・巨関(こせき)は、平戸の中野で最初の窯入れを行なった。だが良い陶石に恵まれなかったため、息子の今村三之丞(さんのじょう)とともに陶石探索の旅を続け、最後に三川内で開窯。現在16の窯が存在し、レンガ造りの煙突がやきものの里の風情を伝える。
平戸瀬戸を見下ろす高台に
建つレンガ造りの教会
佐世保市黒島や長崎市出津(しつ)地区から移住してきたキリスト教徒が造り上げた教会。五島列島出身の建築家・鉄川与助(てつかわ よすけ)によるレンガ造り教会の最高峰といわれる。司祭館や門柱、石段、石垣などが残り、周囲には墓地や畑が広がるなど、歴史的環境がよく保存されている。多彩なレンガ積み手法、ススを塗った黒レンガによる装飾などがみごと。見学は長崎の教会群インフォメーションセンターに事前連絡が必要。
写真提供=長崎県観光連盟
記載・掲載に当たってはカトリック長崎大司教区の許可をいただいています。
教会は信者の方にとって大切な祈りの場です。マナーを守って見学しましょう。
藩主の私邸「鶴ヶ峯邸」で
藩の歴史を語る史料を展示
鎌倉時代から続いた平戸藩主・松浦家に伝来した史料を保存・公開する博物館。平戸は古来、海外交流が盛んな地で、対外貿易やキリスト教関連の史料が多く残されている。藩主も個性豊かであったため、興味深い美術品も多い。とくに江戸時代後期の9代藩主・松浦静山のコレクションは見ごたえがある。
伊勢エビに負けぬ逸品
プリプリの身を味わいたい
平たく頭が団扇(うちわ)に似ていることから名付けられた「ウチワエビ」。「伊勢エビ」にも似たプリプリとした身と食感、そして上品な味が特徴の高級食材だ。平戸市内の飲食店では、シンプルな塩茹でのほか、刺身、天ぷら、ラーメン、味噌汁などさまざまな調理法で提供される。殻だけを用いた味噌汁でさえ、わずかに残った身や内臓から良質のダシがとれ、食通を唸らせる。冬場が漁獲の最盛期。
ポルトガルから伝来した
黄金色の上品な菓子
ポルトガル商船が出入りしていた平戸に伝来した南蛮菓子。他所にはその製法が門外不出だった平戸藩主のお留め菓子として、松浦家の御用菓子司であった「蔦屋(つたや)」に伝えられた。一口大のカステラを卵黄にくぐらせ、熱した糖蜜でコーティングして表面の卵黄に火を通し、最後に砂糖をまぶしたもの。現在は平戸の銘菓となり、市内の菓子店で扱っている。
北松浦半島をぐるりと回る
ローカル鉄道
佐世保線佐世保駅と有田駅から発着し、北松浦半島をぐるりと回るローカル線。2本のレールを使用した鉄道としては日本最西端を走る。たびら平戸口駅構内には日本最西端の鉄道博物館がある。また、たびら平戸口駅の東隣の中田平(なかたびら)駅周辺では、海沿いに広がる棚田の光景がすばらしい。
海底に沈んでいた
元寇の遺物を展示
弘安4年(1281)、2度目の蒙古襲来となった弘安の役。その際、暴風が起こり、総勢4400隻の船と14万人ともいわれる元軍の大半が、鷹島周辺の海底に沈んだという。昭和55年(1980)から調査が行なわれ、数多くの元寇遺物が発見されている。資料館では、海底から発見された貴重な遺物や、考古学・民俗学の資料を収集・展示。元軍の将校が持っていたと思われる「管軍総把印(かんぐんそうはいん)」などが興味深い。
空と海、棚田が赤く
染まる幻想的な夕景
玄界灘に向かい、狭いエリアに約400枚の田んぼが段々に連なって斜面を形成。農林水産省「日本の棚田百選」にも認定されており、数ある棚田のなかでも指折りの美しさと評判。とくに夕暮れ時は、空と島影が浮かぶ海と、斜面を覆う棚田が真っ赤に染まり幻想的。ここで生産された「コシヒカリ」は棚田米としても評判だ。
波穏やかな伊万里湾に
浮かぶ島の温泉宿
長崎と佐賀の県境に広がる伊万里湾。その波穏やかな湾に浮かぶ福島の温泉宿。木立の向こうに海が広がる大浴場には、ナトリウム・マグネシウム-塩化物泉の湯が満ちる。また3階テラスからの伊万里湾の眺めは、えもいわれぬすばらしさ。福島特産の車エビや和牛陶板焼きなど、地元の旬の幸が並ぶ夕食も楽しみ。
小粒ながら殻いっぱいに
身がつまり、プリップリ
入り組んだ海岸線に迫る山々から流れ出た大地の養分をたっぷり吸収した「九十九島かき」は、プリプリで濃厚な味わい。11・2月の土・日曜・祝日には「九十九島パールシーリゾート」で「九十九島かき食うカキ祭り」も開催。海に隣接する開放的なロケーションで、自分で焼いて食べるカキの味わいは最高!
幻の豪華列車で大村湾の
絶景と極上スイーツを堪能
明治時代に九州鉄道がアメリカに発注し、納品されたものの運転されることのなかった幻の客車が蘇った。JRKYUSHU SWEET TRAIN「或(あ)る列車」として、平成29年3月まで佐世保(させぼ)駅~長崎駅間を走る(運転区間は時期により異なる)。大村湾の絶景を望みながら、九州産の旬のフルーツなどをたっぷり使ったスイーツや軽食を堪能できる。乗車には、JR九州ほか各旅行会社企画・実施分によるツアー商品の購入が必要となる。
幻の豪華列車で大村湾の
絶景と極上スイーツを堪能
JRKYUSHU SWEET TRAIN「或(あ)る列車」は、平成29年3月まで佐世保(させぼ)駅~長崎駅間を走る(運転区間は時期により異なる)。大村湾の絶景を望みながら、東京・南青山のレストラン「NARISAWA」オーナーシェフ・成澤由浩(なりさわ よしひろ)氏監修による、極上のスイーツコース5品をいただこう。実際に九州各地の生産者たちを訪れ、厳選された質の高い食材で作られたコースは、木箱に入った軽食のNARISAWA“bento”からはじまる。続いてカクテルグラスに盛り付けられたスイーツ、存在感のあるスープ皿でいただくスープスイーツ、ケーキなど少しボリュームのあるメインスイーツへと続く。旅の最後は、一口サイズのミニャルディーズ(お茶菓子)を。「或る列車」だけで提供されるスイーツコースで、至高のティータイムを過ごしたい。
スイーツコースの写真はイメージです。メニューは季節により変更します。