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JR奈良駅から土産物店や飲食店などが軒を連ねる三条通を東へ。興福寺の境内に入ったとたん、悠々と草を食む鹿たちを目にする。
まずは、興福寺の寺宝が集まる国宝館をじっくりと鑑賞。注目されている阿修羅(あしゅら)像は天平彫刻の傑作といわれ、愁いを含んだ少年のような顔立ちが印象的だ。10月8日~11月23日は、国宝特別公開として三重塔(国宝)が開扉されるのでお見逃しなく。
奈良公園で愛らしい鹿に鹿せんべいをあげて触れあった後は、「奈良の大仏」で有名な東大寺の盧舎那(るしゃな)大仏を拝観しよう。像高約15mの姿に圧倒されそうだ。
1日目の旅の締め括りは、奈良県庁の屋上広場から奈良公園一帯を俯瞰してみたい。奈良盆地とともに緑の中に点在する世界遺産の堂塔を望めば、1300年の時の流れを感じることができるだろう。
神聖な空気に包まれた朝の春日大社。美しい社殿で行なわれる「癒しのひと時・朝のお参り」に参加してから、斑鳩(いかるが)の里を目指そう。
聖徳太子と推古天皇が607年に建てたといわれる法隆寺の境内は実に広大。国宝の五重塔や金堂を中心とした西院と、八角形の夢殿が建つ東院が広がり、白鳳時代の代表作・夢違(ゆめちがい)観音像などが安置され見応えたっぷり。
近くの中宮寺ではアルカイックスマイル(古典的微笑)として名高い、飛鳥時代の菩薩半跏(ぼさつはんか)像(国宝)と対話を。見るほどに気品と穏やかさが感じられ、いつまでも鑑賞していたくなる。
お昼は気さくな女将さんが切盛りする「北小路(きたこみち)」で小路定食を。田園が広がる道を進んだ先にある法輪寺では、飛鳥時代の薬師如来坐像などを目の前で拝観できるのが嬉しい。東に行くと三重塔が美しい法起寺(ほっきじ)。秋は周辺に咲くコスモスも合わせて楽しみたい。
法隆寺 世界最古の木造建築群と伝わる。秋は様々な寺宝が公開され、9月11日~11月30日は秘宝展(拝観料500円)がある。TEL.0745-75-2555。1000円(西院伽藍内・大宝蔵院・東院伽藍内共通)。8:00~17:00(11月4日~2月21日は~16:30)
文・写真=福島恵美 写真協力=一般財団法人奈良県ビジターズビューロー、奈良県管財課、春日大社、中宮寺
※掲載されているデータは平成23年9月現在のものです。