和の伝統美と最新技術の機能美を体現
伝統的な意匠を取り入れたグリーン車
色彩豊かで楽しさの感じられる普通車
『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
和の伝統美と最新技術の機能美を体現
伝統的な意匠を取り入れたグリーン車
色彩豊かで楽しさの感じられる普通車
昭和39年、東京オリンピック開幕を目前に控え、日本に新幹線が誕生してから約50年。今春また新たに、満を持して「北陸新幹線」が登場。新規開発されたW7系は、シンプルな流線形の先頭形状。「ワンモーションライン」と呼ばれるその形状は、トンネルに突入した際に出口で発生する音を抑える。アームの形状が工夫されたパンタグラフも騒音を軽減するなど、環境に配慮。デザインコンセプトが「和の未来」であると同時に、技術・性能的にも最新の「日本の未来」を体現している。
グランクラスの本革プライベートシートの設備は、最新かつうっとりするほどのゴージャスさだが、普通車も全座席分のコンセントを備えるなど、今までの新幹線にはない一面を加えている。シートには、毛氈(もうせん)や和傘など「和」のイメージの強い赤色を用い、日本の伝統文様である格子柄を施している。グリーン車は気品あふれるジャパンブルーが基調。リクライニングシートは背もたれと座面が連動し、ゆりかごのように動き、絶妙な寛ぎを与えてくれる。
最新設備を備え、日本の伝統美を取り入れた車内で、山々や日本海を望む。目的地に着く前から、最高の旅時間を味わえる。
立山連峰や田園風景を望みながら走る「あいの風とやま鉄道」。 「あいの風」とは、日本海沿岸で春から夏にかけて沖から吹く北東の風 |
|
ホタルイカの生態や富山湾について学ぶことができる「ほたるいかミュージアム」 | |
砺波市はチューリップ球根の名産地。市の花でもある |
立山連峰や海景色を眺めながらJR富山駅に到着し、新幹線と同時に開業した並行在来線「あいの風とやま鉄道」で滑川駅へ。まずは、「ほたるいかミュージアム」でホタルイカの生態を学ぶ。春の時期だけの人気プログラムが、活きたホタルイカの発光ライブショーだ。特殊水槽の中を泳ぐホタルイカが発光する様子を間近で見ることができる。隣接する「深層水体験施設タラソピア」で海洋深層水のジャグジープールやヒーリングメニューを楽しみ、ホタルイカの泳ぐ海の深層水を自分の体でも体験してみよう。
4月下旬~5月上旬の漁獲シーズン中なら、事前予約すれば「ほたるいか海上観光」で漁業見学も可能。定置網を揚げる際、ホタルイカは青白く発光し、夜明け前の日本海が一瞬にして幻想の世界に変わる。残念ながら2015年の春は、観光船の欠航で実施されなかったが、次シーズンには神秘的な発光を見られる幸運をぜひとも願う。
そして、もうひとつの富山名物・チューリップ探訪へ向かう。あいの風とやま鉄道とJR城端線を乗り継ぎ、砺波駅へ。駅から徒歩約15分の「チューリップ四季彩館」では、砺波市特産のチューリップを1年中見ることができる。メインスポット「チューリップ公園」の大花壇では、5月上旬まで、20万本のチューリップを用いて地上絵が描かれる。今年の絵柄は北陸新幹線! チューリップタワーから眺める、美しい花で描かれた北陸新幹線を目に焼きつけよう。
おとぎの国のようなチューリップの花園を存分に楽しんだら、JR新高岡駅に出て、帰路につく。時刻によっては、富山駅で停車駅の少ない新幹線「かがやき」に乗り継ぐことができ、より早く首都圏へ到着する。
朝獲れのホタルイカでしか味わえない刺身は水揚げ地ならではの贅沢。定番の酢みそ和えはもちろん、天ぷらなど、どれも美味。「ほたるいかミュージアム」内のパノラマレストラン「光彩」など市内レストラン、料理店で。
滑川竜宮グルメガイド事務局
TEL.076-475-0321
明治45年(1912)に販売開始の名物駅弁。定番「源のますのすし」1400円はもちろん、他県ではなかなか買えない「特選ますのすし」1800円や、北陸新幹線の限定パッケージの「特選小丸」1300円も要チェック!
ますのすし本舗 源
TEL.076-429-3100
新幹線開業とともに、新幹線高架下に富山じゅうのうまい物が集まる「きときと市場 とやマルシェ」が誕生。ホタルイカや白エビ、ロールケーキのような形をした蒲鉾など海産物加工品や銘菓が勢揃い。
とやマルシェ
TEL.076-471-8100
漫画家藤子不二雄Ⓐ氏の故郷を走るJR氷見線・城端線に「忍者ハットリくん列車」が運行。運行時間は日により異なるが、4種の車両がそれぞれ1日に複数回ずつ運行されるので、出合うチャンスは多い。
JRおでかけネット
JR西日本 北陸案内センター
TEL.076-251-5655
輪島市白米町にある棚田「白米千枚田」。一面あたり約20㎡の小さな田んぼが重なり海岸まで続く。 日本初の世界農業遺産に認定されている |
|
能登の青い海そのもののような色合いの、のと鉄道観光列車「のと里山里海号」は土・休日に運転。 観光案内や車内販売を行なうアテンダントも乗車 |
|
傷ついた足を癒すシラサギの姿により発見されたと伝わる和倉温泉。 無料で浸かれる足湯「妻恋舟の湯」は七尾湾を一望し、最高の気分 |
北陸新幹線金沢駅に下車し、まずは、新幹線開業と同時にデビューした新特急「能登かがり火」に乗車し、七尾駅から、のと鉄道の観光列車「のと里山里海号」に乗り継ぐ。七尾湾沿いを走る列車の車窓を十分楽しめるように普通列車よりゆっくり走り、ビュースポットでは最徐行し、専任アテンダントが随時沿線を案内。能登中島駅では保存されている鉄道郵便車の見学時間も設けられ、郵便仕分け作業室など往時のままの車内を目の当たりにできる。
穴水駅に着いたら、「能登丼」で腹ごしらえをし、七尾湾沿いの「潮騒の道」を散策。春の七尾湾は穏やかで、どこまでも青く美しい。かつてボラ漁のために設置された「ボラ待ちやぐら」がより趣を添える。
穴水駅から、のと鉄道の普通列車に乗り、行きの列車でアテンダントから聞いた見どころを反芻しながら和倉温泉駅へと向かい、1200年の歴史を誇る和倉温泉に宿泊。
翌日は和倉温泉バスターミナル8:25発の定期観光バス「のとフライト号」で能登半島めぐり。輪島朝市、輪島漆器会館、キリコ会館、白米千枚田(しらよねせんまいだ)など、能登半島の名だたる名所をめぐることができ、あちこちで大感激。特に猫の額ほどの田んぼが山の斜面に段々に続き海まで迫る「白米千枚田」の光景は圧巻。帰路、金沢駅から乗車した北陸新幹線の車内でも、ふと目を閉じるとその光景がまぶたに浮かび、旅の満足感がふつふつとこみ上げてくる。
穴水駅から徒歩15分ほど、内浦の集落から七尾湾沿いに約2kmの遊歩道「潮騒の道」が続く。櫓の上でボラの群を待つ漁の行われた昔を偲んで設置された「ボラ待ちやぐら」が、春の海の美景をより盛り上げる。
穴水町政策調整課
TEL.0768-52-3790
能登といえば、輪島の朝市があまりにも有名だが、和倉温泉でも毎週日曜日7:00~11:00に朝市が立つ。格子戸の美しい木造の総湯前に朝採れ野菜や果物、名産品がずらりと並び、雰囲気も抜群。地元の人との会話も楽しい。
和倉温泉観光協会
TEL.0767-62-1555
奥能登の珠洲市・輪島市・能登町・穴水町の飲食店が海の幸や能登牛、能登豚など地元素材を使って作るオリジナル丼。「のと里山里海号」で訪ねる穴水町には、写真の「能登地物丼」を提供する滝川食堂など6軒。
能登丼事業協同組合
TEL.0768-52-2632
開館20周年や北陸新幹線開業を記念し、「七尾美術館」では5月10日まで「長谷川等伯展」を開催。等伯の手になる日本障壁画の最高傑作、国宝『楓図壁貼付』(京都市智積院蔵)など、名作を生誕の地で鑑賞できる。9~10月には等伯の水墨画を中心に特別展示も開催予定。
七尾美術館
TEL.0767-53-1500