『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
札幌~青森間479.1kmを結ぶ夜行急行「はまなす」。145度まで倒れるリクライニングシートの「ドリームカー」と寝台券なしで横になって寝られる「のびのびカーペットカー」、上下2段式のB寝台とがある
鮮魚や青果、乾物の店が約60店舗連なる「札幌市中央卸売市場 場外市場」は、札幌市民の台所。隣接するプロが集う卸売市場に負けず劣らぬ活気を見せる。寿司屋や定食屋などの飲食店も充実しており、とびきりの朝食を味わえる
さまざまな雪遊びを楽しめる「滝野すずらん丘陵公園」。そりゲレンデは国内最大級の200mのロングコース。チューブそり・プラスチックそりともに貸出無料、ロープトウも利用料無料(入園料は大人410円、小・中学生80円)
ジンギスカンとビールがお楽しみの「サッポロビール園」。赤レンガの建物も情緒があり、一帯は11月から3月までライトアップされる。サッポロガーデンパーク内には蒸気機関車も展示されている
大倉山の麓にある「札幌ウィンタースポーツミュージアム」。オリンピックなどの世界大会やウィンタースポーツに関する資料を展示。ボブスレー滑走やジャンプのテイクオフ・タイミングを、映像を見ながら実際に体を動かして疑似体験できる
2016年3月26日の北海道新幹線開業により、廃止されることが決定した夜行急行「はまなす」。ブルートレインの面影を色濃く残すJRグループ最後の定期急行に乗車できるチャンスは残りわずかだ。夜行列車の雰囲気に子どもたちは大はしゃぎ。とはいえ夜になれば、すやすや夢の中。札幌でも思い切り遊べることだろう。大人は青函トンネルへの出入りや函館での機関車交換など、ついつい興味が湧いて、寝ずに過ごしてしまいがちだが……。
元気いっぱいの子どもと、少々寝不足だが最後の夜行急行に乗車して充足感いっぱいの親子で、札幌駅着。冬のレジャーに繰り出そう。まずは、「札幌市中央卸売市場 場外市場」で、北海道ならではの海産物などで腹ごしらえ。
12月23日に冬期オープンした「滝野すずらん丘陵公園」は雪遊びの楽園。平均斜度7度の小さな子ども向けスキー・スノーボードゲレンデがあり、スノーシューや歩くスキーも体験可能。無料貸し出しのチューブそりや、プラスチックそりなどもあり、好みに応じてさまざまな雪遊びを満喫できる。
夕方までめいっぱい雪遊びもいいが、鉄道好き親子なら少し早めに切り上げて「北海道鉄道技術館」を訪ねてみよう。夕食はすぐ近くの「サッポロビール園」でジンギスカンを。札幌観光の定番スポットだが、おいしいし、やっぱり楽しい!
翌日、まずは雪の中のオリンピック競技場を見学。1972年開催の冬季オリンピック札幌大会の舞台となった「大倉山ジャンプ競技場」リフトに乗って屋上展望台へと昇ることができる。ジャンプ競技選手と同じ目線で、雄大な景色を眺めてみよう。麓には「札幌ウィンタースポーツミュージアム」があり、競技の疑似体験も楽しめる。
札幌の冬を大満喫したら、函館へ移動。函館市電を利用するか、徒歩で「金森赤レンガ倉庫」方面へ向かい、町並み散策。開港でいち早く西洋文化をとりいれた函館の町は、往時を偲ばせる洒落(しゃれ)たムード。町歩きを満喫したら「津軽海峡フェリー」の発着する函館ターミナルへ向かおう。
明治43年(1910)に建造された赤レンガ造りの建物を利用し、鉄道に関する数多くの資料を展示。もとは、北海道地区の鉄道車両を検査・修理する苗穂工場の用品倉庫だった。北海道初の特急気動車「おおぞら」に使用されたキハ82の運転台や、運転体験できるHOゲージ「振子でトライ」などがある。
アニメ『エヴァンゲリオン』のファンならずとも、鉄道ファンなら、あまりのカッコ良さに釘付けにならずにはいられない「エヴァンゲリオン新幹線」。エヴァ的カラーリングの施された、先端が鋭く尖った山陽新幹線500系は、『エヴァンゲリオン』の世界観そのまま。車体だけでなく、エヴァの展示や実物大コックピット搭乗体験を楽しめる1号車「500 TYPE EVA展示・体験ルーム」(事前予約制)、エヴァ的インテリアにデザインされた2号車「500 TYPR EVA特別内装車」など、車内もエヴァ一色。車内放送でテーマ曲『残酷な天使のテーゼ』が流れると、感涙もの!!
ふつふつと沸き上がる喜びに浸りながら、新大阪駅から乗車した新幹線は博多駅に到着。構内に設置されている「500 TYPE EVA Cafe」「500 TYPE EVA SHOP」も、ぜひ立ち寄ってみよう。博多グルメなら屋台が魅力的だが、今回は子どもがより楽しめるようキャナルシティ博多の「ラーメンスタジアム」へ。博多・久留米・熊本・鹿児島など、九州名店のラーメンを食べ比べてみよう。
翌日は、門司港レトロとして整備されている門司地区を散策。九州で最初に鉄道が敷かれたエリアとして、鉄道ファンの心もそそる港町だ。国指定重要文化財の門司港駅は現在、保存修理工事中だが、九州の代表的鉄道スポット「九州鉄道記念館」へ。展示やミニ鉄道の運転体験を楽しんだあと、洋館めぐりを楽しもう。
門司港レトロでは、年間を通してライトアップイベント「門司港レトロ・ナイトファンタジー」を実施。さらに冬期は辺り一帯を20万球以上のイルミネーションで彩る「門司港レトロ浪漫灯彩」も開催している。
門司港で大正ロマンムードを堪能した翌日は一転、再びエヴァの世界へ。博多駅では「つばめの杜ひろば」に立ち寄り、水戸岡鋭治氏デザインのミニ電車「つばめ電車」に乗車。同じく屋上にある鉄道神社に参拝し、今後も親子一緒に、安全で楽しい列車旅に出かけられるよう、祈念してみては。
JR九州の前身である旧九州鉄道本社は、明治24年(1891)築の赤レンガ建築。「九州鉄道記念館」は、その情緒ある建物を利用し、九州の鉄道の歴史を展示。屋外のミニ鉄道公園では、レール幅450㎜で「つばめ」や「かもめ」など、5つの列車の運転体験もできる。
2017年3月まで運行予定の「エヴァンゲリオン新幹線」。エヴァンゲリオンシリーズ原作・総監督の庵野秀明氏監修、シリーズのメカニックデザイナーである山下いくと氏の車両デザインにより実現
博多の「初代 秀ちゃん」、中州の「麺屋ホウテン」など、九州の名店が集結するキャナルシティ博多の「ラーメンスタジアム」。親子でシェアして食べ、2~3軒はしごするのもいいだろう
門司港は明治22年(1889)に国の特別輸出港として指定され、国際貿易港として発展。周辺には貿易機関や商社、銀行など、往時の建築技術で贅を凝らして造られた洋館が多数。写真は旧門司税関
「門司港レトロ・ナイトファンタジー」では船だまり周囲をライトアップ。故・黒川紀章氏設計の高層マンション「門司港レトロハイマート」31階には、市の展望台「門司港レトロ展望室」があり、ライトアップされた夜景を見下ろせる
JR博多シティ屋上の「つばめの杜ひろば」には旅の安全を祈願する鉄道神社や、博多駅に出入りする列車を見下ろす展望スペースがある。水戸岡鋭治氏デザインの「つばめ電車」で広場を周遊するのも楽しい