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JR中央本線
藪原(やぶはら)~奈良井
中山道34番目の宿場である奈良井宿。鳥居峠へつづく山中からは宿場町に沿って走る中央本線を俯瞰(ふかん)することができる。足場の悪い斜面からの撮影なので、くれぐれも気を付けて撮影してもらいたい。木と木の間を抜く感じでフレーミングをする。
今年は豪雪のニュースがとても多いのだが、少々落ち着いたら雪国へ出かけてみてはいかがだろう。こういう時期にこそ旅に出かけるということが、その地域を盛り上げるためにも大切だと思うのだ。まずはJR中央本線、大糸(おおいと)線。そしてちょっと寄り道して小海(こうみ)線の撮り鉄旅のご紹介。
東京から名古屋を結ぶ中央本線。塩尻から東京寄りを中央東線、名古屋寄りを中央西線という呼び方があり、呼称だけでなく風景もかなり違った様相を呈する。今回紹介する中央西線は、中山道に沿った路線で、宿場町を走り抜ける列車を撮影できる。雪に包まれた宿場と街道の風景は、日本ならではの美しさを感じることができるだろう。
塩尻から北へ向かえば大糸線。北アルプスの秀峰をバックに撮影できるポイントが多く、晴天の日に照準を合わせて出かけたいものだ。普通列車のみならず、1日1往復のみ大糸線に入線する特急「あずさ」や、週末を中心に運転されている快速「リゾートビューふるさと」もぜひ狙いたい。
東京からならば行きがけに、名古屋、長野からならば帰りがけに立ち寄りたいのが小海線。日本一標高の高い所を走る高原列車として有名だ。大糸線と同じく、甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳といった秀峰とともに撮影できるのが一番の魅力。小淵沢付近の通称「大カーブ」にて、黄昏時のイメージ写真を撮影するのはオススメだ。
JR大糸線
白馬~信濃森上
大糸線といえば、美しき北アルプスに囲まれた風光明媚(めいび)な路線。やはりアルプスは雪化粧をした冬がいい。さらには青空にそびえ立つ雄姿を撮影したいものだ。ここでは、北アルプスを背景に松川の流れとともに撮影できる有名ポイントを紹介。岩場に雪が積もってできた雪坊主をモチーフにして構図をとりたい。ただ、雪が積もっている時は、くれぐれも足元に注意してほしい。積もった雪の下が川だったなんてこともあり危険だ。この時期なかなか快晴とはいかないが、好天を狙って出かけてほしい。
冬の撮影は想像以上に厳しいものがある。寒さはもちろんだが、自動車運転や歩行時の転落、滑落などくれぐれも注意して撮影してもらいたい。「せっかく休暇を取ったのだからたくさん撮影したい!」という気持ちの中でも、少しでも危険と感じたり、体力の限界を感じたりしたら、無理をせずに撮影を中止しよう。そこでの判断が生死を分けることになってしまうかもしれないのだ。また、暴風雪の時は無理に移動せず、安全な場所で待機するよう心がけよう。
JR釧網本線
浜小清水(はまこしみず)~止別(やむべつ)
網走から止別駅にかけては、オホーツク海に沿うように列車は走る。なかでもここは、知床連山を背景にした名撮影地。2月に入れば、流氷が海岸線まで押し寄せた絶景が広がる。早朝のドラマチックなシーンを狙いたい。
冬の撮影行で真っ先に思いつくのが北海道での撮影。北海道と言っても広く、道央・道北と道東では全くといってよいほど天候が違う。西高東低の冬型の気圧配置になれば、道央・道北は荒れた天候となり、道東は好天となる。雪深い道央・道北の撮影は魅力的だが、天候のリスクが大きいので、短期間の撮り鉄旅であるならば道東撮影がオススメだ。
今回は道東エリアの釧路を起点とした、JR釧網本線、根室本線の撮影地を紹介しよう。釧網本線は、釧路寄りは釧路湿原の中を走る列車、網走寄りはオホーツク海に沿って走る列車を狙う。また根室本線では、花咲(はなさき)線と呼ばれる日本最東を走る列車を、太平洋とともに狙う撮影地を紹介しよう。今回紹介する根室本線・別当賀(べっとが)~落石(おちいし)間の撮影地は、私にとって日本の全路線の中で一番お気に入りのポイントでもある。
冬の北海道、それも道東地方は、マイナス10度はあたり前、マイナス20度近くになる日も多く、強力な防寒対策は必須だ。服装のみならず、スノーブーツやスノーシュー(かんじき)等の準備も必要となる。撮影は寒いし身動きもとりにくく、正直苦しいことの方が多いが、それに耐えて撮った1枚はいつも以上の感動があるはずだ。
JR釧網本線
茅沼(かやぬま)~塘路(とうろ)
塘路駅近くにあるサルボ展望台からは、釧路湿原の中をのんびり走る列車を俯瞰撮影できる。遠くには雄阿寒岳・雌阿寒岳が望め、気持ちのよい風景写真が撮れるだろう。サルボ展望台へのアプローチの途中から、サルルン展望台への分かれ道がある。サルルン展望台からの大パノラマもオススメだ。また、冬の名物列車となった「SL冬の湿原号」の撮影もぜひこの展望台から狙ってみたい。
鉄道風景撮影は、メインは美しい風景で、列車はサブ的存在となる。だが「鉄道写真」なので、サブであっても列車の存在感を出さなければ鉄道写真とは言えない。構図内で列車の位置を工夫するだけで、たとえ列車の大きさが小さくても存在感を出す方法がある。画面を十字に4分割にしたのち、4マスのうちのどれかに列車を入れて、その他の3マスに風景のメインとなるものをドンと入れてあげるのだ。さらに、山や森、太陽など風景のキーとなる部分と列車を対極に配置すると、さらに列車の存在感を出すことができるだろう。
[JR釧網本線・浜小清水~止別]
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