『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

東日本 西日本
Course1 東日本|今春誕生の特急「しらゆき」や「越乃Shu*Kura」を狙う

青い海や夕焼け空を走る
ドラマチックトレイン

撮影ポイント

JR信越本線
米山~笠島

日本海に飛び出た小さな岬「聖が鼻」の付け根にある展望広場(駐車場あり)から南西を見ると、眼下に日本海が広がり、海沿いには米山駅から続く信越本線が走っている。軒寄せ合うように佇む米山の集落を一緒に画面に入れ込もう。

 日本海の海際を走る、信越本線の柿崎~鯨波(くじらなみ)間には鉄道写真撮影の好ポイントが点在している。夏空の下、深い青に染まった日本海の海原を背景に、行き交う列車を撮影できる。2015年3月のダイヤ改正で誕生した、特急「しらゆき」のほか、国鉄形の115系電車を使用した普通列車、コンテナ車を連ねた貨物列車などが撮影できる。金・土曜・休日ならば、観光列車「越乃Shu*Kura」もやって来るので要チェックだ。
 撮影地は、作例の米山~笠島間のほか、青海川(おうみがわ)駅周辺、青海川~鯨波間などにポイントが多数あり、レンタカーを利用すれば複数の撮影場所を巡る事も可能になる。
 列車が海岸沿いを走る線路区間では、西側を向いての撮影となるため、晴天ならば午前中が順光で、青い海がひときわ映えた写真となる。また夕方には、水平線に沈みゆく夕日、日没後の夕焼け空など、ドラマチックなシーンに出合えれば格別だ。

水平線を画面中央にしない

 海の写真を撮る場合に気を付けたいことのひとつが「水平線の位置」だ。画面のなかで水平線の位置をどこに置くかに、注意が必要だ。上下方向のセンターに水平線を置いてしまうと、画面が大きく二分されてしまい、感動が伝わりにくい写真になってしまう。列車の位置や、大きさのバランスを考慮しながら、海原を大きく画面に取り込むとよい。もし夏空に入道雲が湧き上がっているなど、空が印象的ならば、逆に空を大きく入れて撮影すれば、より夏らしい写真になるだろう。

レンタカーで巡ろう! オススメ周辺スポット
日本百名山・雨飾(あまかざり)山麓の
極上秘湯「雨飾山荘」
ホームが地下200m前後に位置する筒石駅
ヒスイ峡からヒスイが流れ着く糸魚川海岸
 日本海を背に走る信越本線をカメラに収めたら、海沿いを糸魚川市へ向かい、姫川河口から国道148号や県道を上り、雨飾温泉の一軒宿「雨飾山荘」へ。今回の撮影列車は海景色との取り合わせだが、宿泊は一転、見事な山景色。秘湯ムード満点で、野趣あるれる露天風呂、周囲の山深い自然など、どれもすばらしい。
 翌日は宿から下る途中、大糸線根知駅の手前で「フォッサマグナパーク」に立ち寄り。日本列島を二分するフォッサマグナ(糸魚川-静岡構造線)の断層露頭などを見学。さらに下り、美山公園の「フォッサマグナミュージアム」でフォッサマグナについて学ぶ。ヒスイの知識を得て、姫川の支流・小滝川ヒスイ峡から産出されるヒスイが流れ着く糸魚川海岸でヒスイを探そう。
 えちごトキめき鉄道の筒石駅に入場し、地下200m前後にあるホームの不思議な雰囲気を満喫。糸魚川駅でレンタカー返却後、「糸魚川ジオステーション ジオパル」でジオラマや大糸線キハ52の休憩室でしばし寛ぎ、帰路につこう。
1日目
●東京
↓ 上越新幹線
●長岡駅
↓ JR信越本線
●柏崎駅
↓ 駅レンタカー
●撮影ポイント
[JR信越本線 米山~笠島]
↓ 駅レンタカー
●雨飾温泉泊
2日目
●雨飾温泉
↓ 駅レンタカー
●フォッサマグナパーク
↓ 駅レンタカー
●フォッサマグナ
   ミュージアム

↓ 駅レンタカー
●糸魚川海岸
↓ 駅レンタカー
●筒石駅
↓ 駅レンタカー
●糸魚川駅
↓ 北陸新幹線
●東京駅
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Course2 西日本|入り組んだリアス式海岸にかかる鉄橋を走る山陰本線を激写する

日本屈指の青い海を背に
青浦鉄橋を渡る山陰本線

撮影ポイント

JR山陰本線
岡見~鎌手

橋長52mの第一青浦橋りょう、通称「青浦鉄橋」を列車が走る名場面。橋を見下ろすアングルのほか、橋の下を通り抜け、海岸から橋を見上げるアングルもある。撮影ポイントの周囲はスペースが狭いので、駐車する際は十分に配慮しよう。

 全長673.8kmあり、最長路線の山陰本線。沿線は海岸の自然が豊かに残され、日本海の美しい海岸風景を車窓に映す区間が多く存在する。白砂の続く砂浜や、断崖の連なる野趣あふれる岩場の風景を望む。
 島根県西部、石見(いわみ)地方の海岸線は入り組んだ地形で、断崖の向こうに海原が広がる。そんな入り江に列車が顔を覗かせる場所が撮影ポイントとなる。険しい岩場越しに見える、日本屈指といわれる海の青さが印象的だ。
 撮影可能な列車は、普通列車や快速「アクアライナー」、特急「スーパーおき」「スーパーまつかぜ」など。ステンレス製の車体を輝かせながら走っている。
 作例の岡見~鎌手間は、鉄橋が良いアクセントになる。列車の速度が速いうえに、橋の長さが約2両分しかないので、シャッターチャンスを逃さないように注意しよう。
 画面には洋上に遠く浮かぶ高島をぜひ入れ込みたい。高島は、以前は人が暮らしていたが、現在は無人島になっている。

偏光フィルターを使ってみよう

 偏光フィルター(PLフィルターとも呼ばれる)は反射光の光量を調節することが可能なフィルター。海面や青空の光の反射を抑えて海をより青く見せたり、空の青さをより深く見せたりすることができる。ファインダーやモニター画面を見ながらフィルターを回転させ、最も効果的な位置を探してセットしよう。海岸沿いを走る鉄道風景撮影におすすめしたい。

レンタカーで巡ろう! オトナの撮り鉄スポットin 北海道
大国主命が病気のウサギを救った
温泉津(ゆのつ)温泉
日本神話のヒーローや鬼が舞う石見神楽
最盛期には世界の銀の3分の1を
産出した石見銀山
 今回の撮影ポイント最寄りの駅レンタカー営業所はJR津和野駅。土休日を中心に運転されるSL「やまぐち」号の運転日に営業されるので、新山口駅からSL「やまぐち」号を利用するのもいいだろう。お目当ての撮影後は海沿いを走り、温泉津温泉へ。開湯およそ1300年の歴史を誇り、風情ある旅館が並び、「元湯温泉」「薬師湯」といった外湯の雰囲気もいい。毎週土曜夜には、龍御前(たつのごぜん)神社で石見神楽が上演される。
 翌日は世界遺産・石見銀山を探訪。石見銀山はパーク&ライド方式のため、「石見銀山世界遺産センター」にレンタカーを停め、バスで大森バス停へ。600を超える間歩(坑道)の跡が点在する銀山地区の片道約2.3kmある遊歩道を歩き、龍源寺間歩へ入坑する。坑道は約600mに及び、壁面にはノミで掘った跡が残るなど、採掘当時がしのばれる。もと来た遊歩道を石見銀山公園まで戻り、その先の町並み地区を歩く。石見銀山の政治経済の中心地だったところで、武家や商家、寺社仏閣などが情緒ある古い町並みを形づくっている。大森代官所跡バス停から駐車場に戻り、出雲市駅の営業所で駅レンタカーを返却しよう。
1日目
●新大阪駅
↓ 山陽新幹線
●新山口駅
↓ JR山口線
●津和野駅
↓ 駅レンタカー
●撮影ポイント
[JR山陰本線 岡見~鎌手]
↓ 駅レンタカー
●温泉津温泉泊
2日目
●温泉津温泉
↓ 駅レンタカー
●石見銀山世界遺産センター
↓ バス
●大森バス停
↓ 徒歩
●龍源寺間歩
↓ 徒歩
●大森代官所跡バス停
↓ バス
●石見銀山世界遺産センター
↓ 駅レンタカー
●出雲市駅
↓ 特急「やくも」
●岡山駅
↓ 山陽新幹線
●新大阪駅
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山形県天童市生まれ。広告写真家・安達洋次郎氏、鉄道写真家・真島満秀氏に師事の後、フリーランスとなる。鉄道と人の結びつきをテーマに日本と世界の鉄道を撮影。著書に写真集『I LOVE TRAIN –アジア・レイル・ライフ-』(ころから)、近著に『鉄道一族三代記』(小社)など。(公社)日本写真家協会会員。
写真集『I LOVE TRAIN−アジア・レイル・ライフ−』の版元「ころから」Webサイトにて、新連載『亜細亜人生鐵道』がスタート。アジアで人とともに生きる鉄道の様子を、写真と文章でお届けしますのでご覧ください。
●詳しくはコチラ
写真・執筆:米屋こうじ
写真提供:島根県観光連盟
※掲載されているデータは2015年8月現在のものです。

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