『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
北海道新幹線開業により、青森と道南間の津軽海峡は新幹線で結ばれ、ぐっと行き来しやすいエリアに。青函トンネルが結ぶ両エリアの食、歴史・文化、自然美はなんとも色鮮やかで、訪れる人をひと旅、ふた旅と楽しませてくれます。今回は極楽浄土を感じさせる仏ヶ浦や恐山(おそれざん)、日本に渡ってきたと伝わるキリストの墓がある新郷村(しんごうむら)、三沢基地航空祭など、ほかではなかなか出合えないユニークな観光を楽しみましょう!
鬼の仕業のような奇勝
まるで極楽浄土の眺め
白緑色の凝灰岩が約2キロメートルにわたって連なる奇勝。歌人・大町桂月(おおまちけいげつ)はその自然美に驚嘆し、「神のわざ 鬼の手づくり 佛宇陀(ほとけうた) 人の世ならぬ 処(ところ)なりけり」と詠んだ。奇岩の群は羅漢の連なりのようでもあり、海からの眺めは「仏ヶ浦」の名にふさわしい極楽浄土のようでもある。佐井港から仏ヶ浦を遊覧する定期観光船が出航する。
三途の川を越え
地獄から極楽浄土へ
境内から薬湯が湧き出し、荒涼とした岩場が広がる様は、地獄そのものに見える。しかし岩場を越えると、景色は一転。その先に広がる宇曽利山(うそりやま)湖は、エメラルドグリーンの湖水が白砂の浜辺に打ち寄せ、極楽浄土のよう。7月20~24日の恐山大祭と10月上旬の3連休(平成28年は10月8~10日)に行なわれる秋詣りでは、境内でイタコが死者の魂を宿して言葉を伝える「口寄せ」を行なう。
文豪に愛された
北の果ての名湯
昭和の文豪・井上靖が著書『海峡』のなかで、漁火(いさりび)の見える温泉として紹介。白濁した大湯系、透明に近い新湯系、海辺地から湧く浜湯系という3種の源泉が湧き出し、大湯と新湯は公衆浴場で堪能できる。とくに写真の大湯は湯殿と浴槽が下北のヒバで造られており、昔ながらの湯小屋を思わせる。
ピチピチの活きイカを
泳がせて勝敗を決する
イカ釣り漁船の漁火が情緒ある下風呂温泉郷では、新鮮なイカ料理も楽しみ。「活イカ備蓄センター」では、7月中旬~10月末に1周20メートルの水槽で活きイカを泳がせ、勝敗を競うレースを開催。イカのオーナーとして、またはイカの順位を予想する投票者としても参加できる。 出走したイカはオーナーへプレゼントされる。
日本一のマグロが揚がる港町で
生マグロを堪能したい!
例年8月~1月頃に大間崎前沖5キロメートル付近で釣れる大間のホンマグロは、外国産の冷凍マグロが1キログラム当たり数千円前後なのに対し、数万円以上の値がつく“津軽海峡の黒いダイヤ”。ほとんどが東京の築地市場などの大市場へ直送されてしまうが、地元で食べる生マグロの旨さは格別。マグロ店に在庫を確認して、ぜひ食べに行きたい。
イサバのカッチャと交渉し
好みの朝めしを作ろう
八戸の台所として親しまれ、飲食店関係者や市民、観光客で賑わう。市場の一角「八戸市営魚菜小売市場」には食事コーナー「朝めし処魚菜」が設けられ、温かいご飯や日替わりの汁物が販売されている。朝市でイサバのカッチャ(魚売りのお母さん)から買った刺身や焼き魚、お総菜などと組み合わせれば、自分好みのオリジナル朝めしが完成。
めくるめく港の眺めと
八戸の魚介料理を楽しむ
東北初の本格屋形船で、貸切運航のほか、乗合運航も行なわれる。八戸の漁港風景やウミネコの繁殖地・蕪島(かぶしま)を眺めたり、昼間の工業地帯の活気ある眺めや工場の夜景、造船所や商業施設のネオンなど、さまざまな景観を楽しめる。食事付きプランは八戸の旬の魚介料理も楽しみ。
海辺の天然芝生地での
朝ヨガで爽やか気分
種差海岸のほぼ中央に位置する一帯には、波打ち際まで天然の芝生が生え揃う。そんな開放的で爽やかな芝生地で、毎週土曜の7~8時に朝ヨガが開催されている(雨天時は南浜公民館にて開催)。誰でも参加できるよう難しいポーズはなく、ゆったりと呼吸しながら海の匂いや波の音、空を感じよう。種差の自然と一体になり、心身ともにリラックスできそうだ。
八戸線とのコラボも
見どころの白亜の灯台
緑の草原に突き出した白亜の灯台は、種差海岸屈指のビュースポット。周辺は三陸復興国立公園に指定され、美しい海岸線と四季折々に変化する風光明媚(めいび)な景色が広がる。鉄道ファンにとっては、眼下を走る八戸線とのコラボレーションも魅力。10月30日までの土・日曜・祝日の9~16時には、灯台内部が一般開放されている。
ウミネコが飛び去った秋
静けさが戻る信仰の島
蕪島はウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されており、3~8月頃には3~4万羽のウミネコが飛来して子育てをする。また、漁業安全や商売繁盛、芸能などにご利益がある蕪嶋神社が祀られている信仰の島として、人々の崇敬を集める。神社の社殿は平成27年秋の火災で焼失したが、現在は島の入口に仮の社殿が設けられている。
北東北有数の繁華街で
港町のもてなし料理を味わう
古くから港町として栄えた八戸には、漁から戻った漁師たちをもてなす飲食店街が形成された。昭和20~30年代から続くハーモニカ横町・五番街・たぬき小路などに加え、比較的新しい八戸昭和通り・みろく横丁(写真)など、どの通りも魅力たっぷり。8つの横丁を一周して、お気に入りの通りで飲食を楽しみたい。
郷土の魅力がたくさん
八戸の観光はここから
建物は八角形の中庭を中心に、八戸の中心街の特徴である路地や横丁をめぐるように、各所で観覧やイベント、ショッピングや飲食を楽しめる施設。南部裂織(さきおり)や南部菱刺(ひしざし)(写真)など、八戸の伝統文化を紹介する展示(内容は季節により変化)があり、郷土の魅力を知ることができる。
イエス・キリストの
墓が伝わる神秘の里
青森県新郷村戸来(へらい)地区には「キリストの墓」と伝わる史跡がある。ゴルゴダの丘で磔刑になったキリストが実は密かに日本に渡った、というのだ。当地の地名・戸来は「ヘブライ」から来ており、この地で子どもを初めて屋外に出すときは、額に墨で十字を書くという。墓の近くの「キリストの里伝承館」では、村に伝わる古文書や風習などの伝承を集め、展示している。
ブルーインパルスの
アクロバット飛行を堪能
三沢基地は航空自衛隊唯一の日米共同使用航空作戦基地。平成28年9月11日(日)開催の三沢基地航空祭では、日本の自衛隊機はもちろん、米軍の航空機や海軍機も見ることができる。目玉はブルーインパルスのアクロバット飛行。青と白にカラーリングされた6機の機体が大空で展開する一糸乱れぬフォーメーション、ダイナミックなソロ演技は圧巻。
さまざまな飛行機に触れ
大空への夢が広がる
大空と飛翔をテーマにした科学館。航空ゾーンでは戦後初の国産旅客機YS-11実機や青森県にゆかりの深い実機、復元機を展示。パイロットの世界を疑似体験できる装置などもある。科学実験工房にはインストラクターが常駐し、サイエンスショーや科学原理を使った手作りのおもちゃを体験することができる。