『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
JR大湊線下北駅から路線バスに揺られ、本州最北端の大間崎にようやくたどり着く。津軽海峡の向こうに北海道を望み、風が荒々しく吹き抜ける岬には「こゝ本州最北端の地」の碑が立っている
大間で食べた「マグロ丼」。大間のマグロは例年8月頃から翌年1月頃がシーズン。おいしいマグロを味わいにお出かけの際は、事前に漁の状況や食事処の営業時間等を確認しておきたい
大間の海を行く漁船。海岸線に沿うように家々が並ぶ大間は、マグロをはじめ、イカやウニ、昆布など海の幸に恵まれている。北海道も思った以上に近く、バックの山並みは道南の恵山(えさん)だ
おみやげに買った地物のスルメ。大間ではマグロ漁にイカもエサに使うそうだが、サッと炙って食べるスルメは旨い。本州最北端の空にスルメをかざすと、カモメがふらりと飛んできた
本州最北端の村、風間浦村にある下風呂温泉は硫黄泉。2つある共同浴場の一つ「大湯」も立ち寄り湯が楽しめる。7:00~21:00(11~3月は8:00~)、月曜休。一般300円
「青春18きっぷ」に今シーズン新しい“ルール”が加わった。東北新幹線の新青森延伸開業により青森~八戸間も青い森鉄道となったが、普通列車または快速列車に乗車し、青い森鉄道線の青森~八戸間、青森~野辺地間および八戸~野辺地間を通過利用する場合、別途運賃を支払わなくてよいというもの。「青春18きっぷ」の旅人には本当に嬉しい限りだが、これでいつか訪ねてみたかった下北半島への旅もかなりおトクになる。
新青森から奥羽本線で青森へ。快速「しもきた」に乗って下北へ向かう途中、それまで東北本線だった区間が青い森鉄道線になり、浅虫あたりで見える海もなんとなく違った印象になるかもしれない。下北駅からは下北交通で路線バスの旅。かつては大畑まで鉄道(大畑線)が延び、もっと以前には大間まで鉄道が計画されていたという。バスの車窓を流れる景色も鉄道と同様、旅情に満ち、冬の海は潮騒さえも演歌調だ。
下北駅からバスに揺られること2時間弱、ようやく本州最北端の大間崎にたどり着く。地元の人は「風が強い大間は積もる雪さえ吹き飛ばす」という。ネックウォーマーなど防寒対策は忘れずに、そして、帽子なども飛ばされぬよう注意したい。
そんな厳しい気候の中、大間ではマグロ漁が行なわれ、大間崎からも沖の漁船を見てとれる。東京・築地市場でも高級なマグロとして名高い大間産のマグロは、付近の食事処で2000円前後から食べられる。漁の状況や時期により、産地の大間でも食べられない時があるので、事前に食事処の冬場の営業時間等も含め確認をお忘れなく。例年では8月頃から翌年1月頃がマグロのシーズンとされている。
本州最北端の風に立ち向かった後、冷えた身体を本州最北端の村、風間浦村にある下風呂(しもふろ)温泉でほぐしたい。大間崎から下風呂へはバスで30分ほど。共同浴場も2ヵ所あり、一般300円で入浴できる。硫黄泉の効果か、肌がスベスベになって生き返った気分になることだろう。
本州最北・下北半島周遊の旅。平日であればバスを1本遅らせて大間をもっと堪能できる。その場合、大間崎16時13分発のバスで下風呂16時42分着。ひと風呂浴びて下風呂18時12分発のバス(最終便、土休日運休)で下北駅19時20分着。同駅19時55分発の最終列車に乗車し、野辺地、青森で乗り換えて、新青森駅に22時過ぎには帰着できる。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
---|---|---|---|
1日目 | 新青森発 | 8:49 | JR奥羽本線で青森へ |
青森着 | 8:56 | 青森で快速「しもきた」に乗り換え | |
青森発 | 9:22 | 青い森鉄道を経由して野辺地からはJR大湊線 | |
下北着 | 10:52 | ||
下北駅発 | 11:00 | (下北交通バス 1930円) | |
大間崎着 | 12:47 | ここが本州最北端の地。荒々しい風を実感 | |
大間崎発 | 13:58 | (下北交通バス 950円) | |
下風呂着 | 14:27 | 下風呂温泉でのんびり立ち寄り湯 | |
下風呂発 | 16:42 | (下北交通バス 1190円) | |
下北駅着 | 17:50 | JRに乗り換え | |
下北発 | 18:21 | JR大湊線 野辺地~青森間は快速「しもきた」として運転 | |
青森着 | 20:04 | 野辺地~青森間は青い森鉄道 | |
青森発 | 20:39 | JR奥羽本線に乗り換え | |
新青森着 | 20:44 | 通常運賃より、1940円もお得な旅でした! |
下北半島の先端、大間にはかつて海峡を守る要塞があり、物資輸送のための鉄道建設が進められた。しかし、戦時中に工事は中断。鉄道は開通しなかった。下風呂にも未成線の遺構があり、この鉄道橋(アーチ橋)もその一つ。現在では遊歩道として整備されている。
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは平成22年12月現在のものです。