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伝統 自然 建築 風土 食|日本人なら行ってみたい あの場所へ|THE定番・極上旅|vol.11 知れば知るほど奥深い! 夏祭りでたどる福島・再発見の旅[福島県福島市]
FESTIVAL
相馬野馬追(そうまのまおい) 
FESTIVAL
伊佐須美神社 御田植祭
HOT SPRING
飯坂温泉
MOUNTAIN
信夫山
FESTIVAL
福島わらじまつり
STONE
文知摺(もぢずり)石
GOURMET
川俣シャモ
TEMPLE
医王寺
REPOSE OF THE SOULS
阿武隈川の灯籠流し
WOOD
千貫森(せんがんもり)
LAKE
五色沼(ごしきぬま)
GOURMET
桃「あかつき」
TRAIN
山形新幹線「つばさ」
01/13

FESTIVAL
相馬野馬追(そうまのまおい) 

中村相馬氏が祀った相馬太田神社、相馬小高(おだか)神社(ともに南相馬市)、相馬中村神社(相馬市)が一体となって行なう神事。中村相馬氏の始祖である平将門が、野生の馬を放し行なった軍事訓練に起源を見る。騎馬武者に扮した氏子たちの出陣式や甲冑(かっちゅう)競馬など、時代絵巻が繰り広げられる。7月26日(土)~28日(月)開催。

02/13

FESTIVAL
伊佐須美(いさすみ)神社
御田植祭(おたうえまつり)

第10代・崇神(すじん)天皇の御代の創建と伝わる会津の総鎮守である伊佐須美神社。会津の地名の由来にもつながる歴史をもつ。「伊勢(神宮)の朝田」「熱田(神宮)の夕田」に並び、「高田の昼田」と呼ばれ、「日本三田植」に数えられている御田植祭。
毎年7月12日に行なわれ、中世の名残を残す田植え歌は福島県で最も古いといわれている。

03/13

HOT SPRING
飯坂温泉

第12代・景行(けいこう)天皇の御子であるヤマトタケルが東征の折、病にかかったが飯坂温泉の「佐波子湯(鯖湖湯・写真)」に入り、みるみる回復したと伝わる。鳴子温泉、秋保(あきう)温泉(ともに宮城県)と並ぶ「奥州三名湯」。
信夫佐藤氏が居城とした大鳥城(奥州征伐の折、落城)はこの地にあった。「ファイヤー祭」はその山門で焚かれていたかがり火をイメージして名付けられ、今年で14回目の開催となる。
8月22日(金)・23日(土)開催。

04/13

MOUNTAIN
信夫山(しのぶやま)

信夫山は熊野山、羽黒(はぐろ)山、羽山(はやま)の三山からなり、それぞれの山に湯殿山(ゆどのさん)神社、羽黒神社、月山(がっさん)神社が、山形の出羽三山(でわさんざん)より勧請されている。古くから信仰の山とされ、修験の場でもあった。山中には怪石、巨岩が数多くあり、それぞれに伝説が。江戸時代につくられた磨崖仏(まがいぶつ)の岩谷観音、愛猫家が多く訪れる西坂稲荷(ねこ稲荷)など、興味は尽きない。

05/13

FESTIVAL
福島わらじまつり

毎年2月に、信夫山の羽黒神社に日本一の大わらじ(長さ12m、重さ2トン)を奉納する「暁まいり」。伝統あるこの祭りに呼応し、「大わらじを対にしよう」と昭和45年(1970)に始まったのが「福島わらじまつり」だ。当初は、福島市出身の作曲家、古関裕而(こせきゆうじ)氏が作曲した『わらじ音頭』が踊られていたが、近年ではヒップホップ調の『ダンシングそーだナイト』が祭りの夜を彩る。8月1日(金)・2日(土)開催。

06/13

STONE
文知摺(もぢずり)石

奈良時代の高僧、行基の作と伝わる聖観世音菩薩像(文知摺観音)。この地の長者の娘だった虎女(とらじょ)は源融(みなもとのとおる)の帰りを文知摺観音に祈願し、「鏡石」とも呼ばれる文知摺石にその面影を見たと伝えられている。文知摺観音は現在、安洞院(あんとういん)に祀られ、境内には文知摺石、源融と虎女の墓も。

07/13

GOURMET
川俣シャモ

江戸時代より、絹織物で富を築いた絹長者のための娯楽として闘鶏が行なわれ、そのためのシャモを飼育していた川俣町。食用として味を追求し、アメリカ産の「ロード・アイランド・レッド」「レッドコーニッシュ」などと掛け合わせて誕生したのが「川俣シャモ」(写真は雛)だ。広く、ストレスのない屋内で平飼いし、乳酸菌などが入った専用飼料をエサに成長するため、弾力があり、かみしめるほどに美味。

08/13

TEMPLE
医王寺

信夫佐藤氏一族の菩提寺。松尾芭蕉は、源義経の忠臣である佐藤継信、忠信兄弟をはじめ、虚しく滅んでいった佐藤一族を思い、「笈(おい)も太刀も 五月に飾れ 紙幟(のぼり)」と詠んだ。その笈が今も宝物殿に安置されている。
江戸時代に書かれた歌舞伎の演目『義経千本桜』のなかでも人気の演目『狐忠信』は、この忠信がモデルとされている。

9/13

BUDDHIST CEREMONY
阿武隈川の灯籠流し

毎年8月17日に、福島県庁の南側を流れる阿武隈川の河川敷で行なわれる。読経の中、川岸に並べられた約6000個の灯籠が先祖の霊を慰める。夜空には花火も上がり、行く夏を惜しむ。

10/13

WOOD
千貫森(せんがんもり)

飯野町(福島市南西部)に鎮座する古社・小手(おて)神社の御神体でもある千貫森。その姿はピラミッドにも例えられている。周辺は飛行する発光物体の目撃情報が多いことから「UFOの里」として知られ、千貫森のふもとには「UFOふれあい館」があり、山頂には「UFOコンタクトデッキ」が設置されている。信夫山と同様、千貫森にも巨石が多く残り、その謎を深めている。

11/13

LAKE
五色沼(ごしきぬま)

磐梯朝日国立公園にある五色沼。正式には五色沼湖沼群と呼ばれ、毘沙門沼、赤沼、弁天沼など複数の沼で構成されている。刻々と水面の色を変えることから「魔女の瞳」と呼ばれる。飯坂町にある東屋沼神社(あずまやぬまじんじゃ)の御神体でもある。

12/13

GOURMET
桃「あかつき」

8月が旬の福島の桃。その中でも代表品種である「あかつき」は、白鳳と白桃の交配によって改良された品種。羽黒神社の「暁まいり」にちなみ、その名がつけられた。他の品種とくらべて、特に糖度が高く、皇室にも献上されている。

13/13

TRAIN
山形新幹線「つばさ」

東京から福島へ向かうなら、外観デザインが新しくなった山形新幹線「つばさ」で。山形の県鳥おしどりの飾り羽根をモチーフにした深い紫色のラインが印象的。彩り豊かな南東北の旅を、福島から始めたい。
ちなみに福島駅の新幹線、在来線ホームの発車メロディーは福島出身の作曲家・古関裕而氏によるもの。

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ヤマトタケルに源義経、果てはUFOまで!? 福島は歴史と神秘のワンダーランド

 
 東北が祭りに燃える夏。福島県でも、平将門に起源をもつ相馬野馬追(そうまのまおい)や「日本三田植(にほんさんたうえ)」に数えられる伊佐須美(いさすみ)神社の御田植祭(おたうえまつり)など、全国的に有名な祭りが行なわれます。祭りを楽しみに行くなら、あわせて県内も旅したい。となると、会津? 喜多方? 磐梯山(ばんだいさん)? ……県庁所在地でもある福島市内はちょっぴり影が薄いのですが、とんでもない。知れば知るほど、歴史と味わいのあるエリアなのです。

 その歴史は縄文時代から。大規模集落跡などが残るほか、ヤマトタケルも立ち寄ったと伝わる市内の飯坂温泉も、縄文時代にすでに湧いていたという説があるのだとか。飯坂温泉では毎年8月、「ファイヤー祭(さい)」を開催。飯坂小唄の流し踊りや飯坂太鼓が楽しめます。

 福島市のシンボルといえば、信夫山(しのぶやま)。古代名は「岑越(みねこし)山」といいます。それはそのまま、福島市一帯が古代は「岑越」と呼ばれていたこと、奈良時代に陸奥国に編入され「信夫郡」となったことと重なるもの。信夫山には、湯殿山(ゆどのさん)神社、羽黒神社、月山(がっさん)神社の「信夫三山(しのぶさんざん)」が鎮座しており、羽黒神社では夏は「福島わらじまつり」、冬は「信夫三山暁参り」で、大わらじが奉納されます。

 大和朝廷が現在の宮城県多賀城市に、蝦夷(えみし)制圧の軍事拠点として多賀城を置いたのは、奈良時代初期、神亀元年(724)のこと。それ以前より、大和と陸奥は東山道(とうさんどう)により結ばれ、福島(当時は「石背国(いわせのくに)」など)は馬を乗り継ぐ駅として重要な地点となっていました。

 『源氏物語』の光源氏のモデルであるとも考えられている源融(みなもとのとおる)の有名な和歌。
「みちのくの しのぶもぢずり たれゆえに みだれそめにし われならなくに」
 ここに歌われている「信夫文知摺(しのぶもぢずり)」は、養蚕が盛んだったこの地で作られていた絹織物に模様をつけた摺り衣(すりごろも)のこと。自然の石(綾形石)を利用して植物の色素を摺り付ける摺り染めは、平安時代には宮中に献上され、天皇、貴族たちに愛されたと伝えられています。この地を訪れた源融の悲恋も語り継がれており、大和とこの地を、人も物も行き交っていたことがわかります。
 絹織物による隆盛は近年まで続き、江戸時代には絹長者も現れました。彼らが娯楽としたのが、闘鶏。そのため、川俣町で軍鶏(シャモ)が飼育されるようになり、現在、福島ブランドとして注目を集めている「川俣シャモ」につながっています。

 平安時代後期には一転、源頼朝による奥州征伐の舞台ともなりました。平泉の奥州藤原氏の家臣として、この地を守っていたのが、信夫佐藤氏。平家討伐に尽力し、義経を命がけで守った忠義の臣として名高い佐藤継信、忠信兄弟はこの一族です。一族の菩提寺である医王寺には、兄弟の墓碑と言われる石塔が残り、ここを訪れた松尾芭蕉が佐藤一族に思いを寄せた句を詠んでいます。

 その後、伊達氏、蒲生(がもう)氏などの統治の時代を経て、江戸時代初期の延宝7年(1679)、本多忠国が15万石の領主として福島城に入封、福島藩を立藩します。現在の福島市はこの城下町として発展。福島城跡は現在、福島県庁となっています。
 県庁そばを流れる阿武隈(あぶくま)川の河川敷は、隈畔(わいはん)と呼ばれ、年貢米を運ぶ舟の起点となっていました。毎年、夏には灯籠流しが行なわれ、花火とともに幻想的な光景を作り出しています。

 自然を満喫するのなら、磐梯山や猪苗代湖ももちろんいいですが、「UFOの里」として知られる千貫森(せんがんもり)、「魔女の瞳」と謳われる五色沼など、ちょっと気になるスポットも。
 そしてフルーツ王国・福島は、これから桃が旬。福島で品種改良された「あかつき」をはじめ、糖度が高く濃厚な味わいの桃が、たわわに実って待っています!

写真協力: うつくしま観光フォトライブラリ、福島商工会議所、福島市観光コンベンション、川俣町産業課、交通新聞サービス
※掲載されているデータは、2014年7月現在のものです。
※イベントや催事等は変更される場合があります。事前にご確認のうえお出かけください。
THE定番・極上旅

文= 秦 まゆな(はた・まゆな)

PROFILE
日本文化コンシェルジュ、文筆家。歴史と伝統文化に裏打ちされた、真の日本の楽しみ方を提唱すべく、日本全国を駆け回り中。その土地ならではの食、酒、温泉、祭りが大好物。
著書『日本の神話と神様手帖 あなたにつながる八百萬の神々』(マイナビ)。
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