01/13
WATERFALL
養老の滝
養老町のシンボルであり、「孝子伝説」を生んだ滝。高さ約30m、幅約4m。「日本の滝百選」にも選ばれている。
養老公園は、この養老の滝を中心にした総面積78.6haの広大な都市公園。春には桜、秋には紅葉と、養老山麓の大自然が楽しめる。
02/13
関ケ原の合戦で、毛利輝元、石田三成らが率いる西軍の本拠地となった大垣城。
落城間近、籠城していた山田去暦(きょれき)のもとへ「家康様御手習い師匠であった去暦は逃がす」との矢文が届き、去暦は妻と16歳の娘・おあむとともに、たらい舟に乗って逃れることができたという逸話にちなむ。
03/13
永禄元年(1558)、この地の領主となった竹中氏。
豊臣秀吉の軍師として名高い竹中半兵衛は父・重元(しげちか)とともに、現在の垂井(たるい)駅から北西およそ4km先の菩提山に居城を築いた。
菩提山周辺には、当時の白壁の櫓門や石垣が残る陣屋跡、竹中氏の菩提寺である禅幢(ぜんどう)寺が残る。
04/13
BATTLE OF SEKIGAHARA
関ケ原の戦い
豊臣秀吉亡き後、天下をかけ、徳川家康を総大将とする東軍と、毛利輝元を総大将に石田三成が指揮を執る西軍が全面対決した戦い。
関ケ原では毎年、一般参加者が甲冑(かっちゅう)武者となり、関ケ原の戦いを再現する「関ケ原合戦絵巻」のほか、さまざまなイベントが実施されている。甲冑姿で周辺を散策できる「笹尾山で甲冑体験2014」も開催中。11月24日まで。
・詳しくはこちら
05/13
BATTLE OF JINSHIN
壬申の乱
第38代・天智天皇の死後、天皇の弟宮である大海人皇子(おおあまのみこ)と、天皇の御子である大友皇子(おおとものみこ)が皇位継承をかけて戦った、古代史上最大の戦い。この乱に勝利した大海人皇子は、天皇の座についた(第40代・天武天皇。第39代は、大友皇子)。
関ケ原では、大海人皇子と大友皇子が対峙したという関の藤川や、自害した大友皇子の御首を葬った跡に植えられたという「自害峯の三本杉」(写真)など、戦いの足跡をたどることができる。
06/13
MOUNTAIN
伊吹山
第12代・景行天皇の皇子である日本武尊(ヤマトタケルノミコト)は、伊吹山の荒ぶる神を倒しに出かけるが、返り討ちに遭い、衰弱。その後、美濃から桑名を経て、伊勢国に入った尊(ミコト)は、能煩野(のぼの・現在の三重県鈴鹿市北方から亀山市東部周辺)で、故郷を偲びつつ、その生涯を閉じた。
伊吹山は標高1377m、「日本百名山」のひとつ。山頂付近まで登ることができるドライブウェイでは、四季折々の雄大な景色が楽しめる。山頂には、日本武尊像が立ち、ふもとには、高熱に苦しんだ日本武尊を救った「居醒(いざめ)の清水」や、そのときに腰掛けたと伝わる石などが残されている。
07/13
SPRING
菊水泉
養老神社境内にある、第44代・元正天皇が沐(もく)浴された泉。皮膚はなめらかになり、飲めば白髪も黒髪になるほどの効用に天皇が喜ばれ、「養老」と改元されたと伝わる。「孝子伝説」の酒になったという水もこの泉ではないかと考えられている。
養老神社近くには、天皇の行幸跡地として行宮(あんぐう)神社がある。
08/13
TEMPLE
養老寺
「孝子伝説」の源丞内(げんじょうない)が開いた寺と伝わる。永禄年間、織田信長の焼き討ちに遭い、江戸時代初期に再建。本尊は、鎌倉時代初期につくられた寄木造りの十一面千手観音立像で、国の重要文化財に指定されている。源丞内のものと伝わる墓も残されている。
9/13
養老公園から山道を登ることおよそ40分、標高350mのところにある滝。高さ約30m、幅約3m。養老の滝が「男滝」といわれるのに対して、「女滝」ともいわれる。
第45代・聖武天皇が滞在されたとき、同行した騎馬隊が、この滝の付近の山から馬のエサとなる秣(まぐさ)を調達したことから、「秣の滝」と呼ばれるようになったと伝わる。
10/13
世界的アーティストである荒川修作氏と詩人のマドリン・ギンズ氏の共作による体験型芸術庭園。岐阜県の形をした屋根を冠した建物の内部は迷路「極限で似るものの家」や、暗がりを進む「地霊」など9つのパビリオンが点在し、体と五感を使って楽しめるアート空間になっている。
11/13
「養老焼きそば」「天命そば」などの地元グルメや、おみやげにも最適な岐阜の特産品が揃ったレストラン施設。
かつて養老公園内に工場があり、養老のおいしい水を使った日本初の地サイダー『養老サイダー』は今はないが、『養老山麓サイダー』を購入できる。ほか、養老霊水のミネラルウォーター、地ビールなどもある。
12/13
GYOKUSENDO BREWERY
玉泉堂酒造
養老改元1300年記念の日本酒『瀧津瀬(たきつせ)』(720ml、1944円)を発表した玉泉堂酒造は、江戸時代後期の文化3年(1806)創業。
通常、酒造りにはミネラル成分が豊富に含まれた硬水が向くといわれているが、養老の水は「超軟水」。その養老の水を生かした手作りで、小仕込みのきれいな酒が日本酒愛好家から高い支持を得ている。工場見学不可。
13/13
TRAIN
養老鉄道
紅葉の名所・養老公園へ行くなら、大垣駅から養老鉄道の桑名行きに乗車し、およそ25分の養老駅で下車。養老鉄道では10月から運転日限定で、秋メニューで滋味あふれる薬膳列車も運転する(要事前予約)。
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※自動表示のほか、スライド左右にマウスを置くと表示される矢印をクリックすると前後の画像へ移動します。
「養老の滝」と聞いて、何を思い出しますか? 親孝行の昔話? はたまた居酒屋? 実は、この「養老」とは元号。養老元年である717年から、ちょうど1300年にあたる2017年に向け、岐阜県養老町は今、静かな盛り上がりを見せています。養老の滝がある養老公園は、紅葉の名所としても有名なところ。秋の1日をぜひとも、ここで過ごしたい!
そうして地図を眺めてみると、養老町の周囲には素通りできない土地がたくさんあることに気がつきます。
まずは大垣駅。東京駅発の臨時夜行快速「ムーンライトながら」の終着駅として、長らく格安旅行愛好者に親しまれてきた大垣駅ですが、ここは関ケ原の戦いで、西軍の本拠地となった大垣城のある地。合戦中、籠城していた武将がたらいに乗って堀を渡り、難を逃れたという逸話にちなみ、毎年、春と秋にはたらい舟に乗って水門川を下る「水の都おおがき たらい舟」というイベントが開催されています(有料、要事前予約)。
お隣の垂井駅周辺は、豊臣秀吉の軍師であった竹中半兵衛とその一族の拠点であった地。今も陣屋跡や菩提寺などが残ります。
こうなったら、関ケ原に立ち寄らないわけにはいきません。いうまでもなく、関ケ原の戦いに関する史跡が数限りなくあり、関ケ原観光Webを見ると、「決戦コース」「行軍コース」「西軍大好きコース」「東軍大好きコース」など、好みや所要時間に応じて巡れるコースガイドも充実しています。
また、関ケ原は、日本史上もうひとつの「天下分け目の合戦」である「壬申(じんしん)の乱」の舞台でもあります。関ケ原の戦いから遡ること約1000年。皇位継承をめぐっての激しい戦いが繰り広げられたのも、この地でした。古来より交通の要衝であった関ケ原は、この国で起こったさまざまな人間ドラマを見つめてきたのです。
戦いを好む人間はいないと思いますが、戦い抜きに生きられないのも、また人間なのでしょうか。そんな感傷に浸っていると、思い浮かぶのは日本武尊(ヤマトタケルノミコト)です。父宮である第12代・景行天皇に命じられるまま、生涯、戦いに明け暮れた悲劇の英雄。関ケ原からほど近い伊吹山には、そんな日本武尊の足跡が刻まれています。
さて、そろそろ養老町へと向かいましょう。
養老町といえば、「孝子伝説」なしには語れない地。源丞内(げんじょうない)という親孝行の木こりの、父を思う気持ちが通じたのか、滝の近くから酒が湧き出し、それを飲んだ老父がみるみる若返り、元気になったという伝説。
その滝が養老の滝。噂は遠く都にまで届き、第44代・元正(げんしょう)天皇もこの地を訪れ、沐(もく)浴などをされたと伝わっています。そして「醴(れい)泉は美泉なり。もって老を養うべし(若返りの効果がある)」として、「養老元年」と改元されたのが717年のこと。
養老神社境内にある「菊水泉」は、元正天皇が沐浴されたと伝わる泉。養老神社は源丞内が創建したとも伝わり、養老寺には源丞内のものとされる墓があります。
伯母である元正天皇から聞いていたのでしょうか。第45代・聖武(しょうむ)天皇もこの地を訪れ、馬に秣(まぐさ)を与えたことが「秣の滝」の名前の由来となっています。
実は、養老町のこれらのスポットは、すべて養老公園から徒歩圏内にあります。広大な面積を誇る養老公園には、古い時代の歴史を伝えるものから遊園地、キャンプ場、ゴルフ場など、現代のレジャー施設が共存。中でも、世界的アーティストである荒川修作氏と詩人のマドリン・ギンズ氏による身体で感じるアート作品が集まる「養老天命反転地」は、ぜひとも体感したい場所。さらには、養老の名物グルメが揃う「楽市楽座・養老」もあり、なんとも至れり尽くせりなのです。
地元の老舗蔵元・玉泉堂酒造が醸した養老改元1300年記念酒『瀧津瀬(たきつせ)』を手に入れたら、さてどこへと向かいましょうか。まずは、桑名で焼き蛤? 日本武尊の足跡をたどるなら、トンテキ(豚肉のステーキ)で町おこし中の四日市? もちろん、名古屋グルメも捨てがたい……と、戦いの歴史への感傷もなんのその。おいしいものへの欲求が勝るのが生きていることの証なのです。
写真協力:大垣市観光協会、玉泉堂酒造株式会社、関ケ原町観光協会、垂井町観光協会、養老町観光協会
※掲載されているデータは、2014年9月現在のものです。
※イベントや催事等は変更される場合があります。事前にご確認のうえお出かけください。
文= 秦 まゆな(はた・まゆな)
PROFILE
日本文化案内人・文筆家。歴史と伝統文化に裏打ちされた、真の日本の楽しみ方を提唱すべく、日本全国を駆け回り中。その土地ならではの食、酒、温泉、祭りが大好物。
著書『日本の神話と神様手帖 あなたにつながる八百萬の神々』(マイナビ)。
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