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『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
大井川沿いを走る大井川鐵道の蒸気機関車。沿線からSLを見ている人たちがよく手を振ってくれる | |
おでんをつまみに、浜松市の花の舞酒造の日本酒を熱燗でいただける | |
SLにはSL専務車掌、通称「SLおじさん」「SLおばさん」が乗車し、沿線ガイドやハーモニカ演奏などで楽しませてくれる |
大井川鐵道本線の終点・千頭駅から井川線「南アルプスあぷとライン」(写真)を往復する鉄道満喫旅行はいかが? 2本の線路の間に歯車レールのついた日本唯一のアプト式鉄道だ。温泉好きなら、千頭駅から徒歩約15分の日帰り入浴施設「千頭温泉 旬」。音をテーマにした体験ミュージアム「音戯(おとぎ)の郷」で楽器づくりなどを楽しむのもいい。
日本で初めて蒸気機関車の復活運行を始め、現在もほぼ毎日SLが運転されている大井川鐵道。SL自体も十分ユニーク列車だが、冬場にはSLに連結したお座敷列車で静岡名物とお酒を味わえる「静岡おでんと熱燗列車の旅」が実施される。11時38分に金谷駅を普通列車で出発し、新金谷駅でSLに乗り換え、いよいよお座敷列車での“お・も・て・な・し”。
濃口醤油の使われた黒いつゆで煮込まれたおでんは6品。一般的なはんぺんは白色だが、静岡おでんは青魚を主原料にし、灰色の半月形をした「黒はんぺん」。ほかにも卵や牛すじ、コンニャクなどが、静岡おでんの特徴のひとつで串に刺さっているから、列車内でも食べやすい。さらに、数種の副菜付きのおにぎり弁当に、熱燗2本(小人はペットボトルジュース1本)。新金谷駅を出たSLの車窓には茶畑が広がり、やがて大井川に沿って走り、長大な鉄橋を渡るなど、千頭(せんず)駅までの1時間強、眺めも最高の酒の肴となる。
帰路の乗車券もセットされているが、列車は定められておらず、当日フリー。帰りもSLを利用(別途SL急行券が必要)するのもいいし、周辺の観光を楽しんでゆっくり戻るのもいい。
実施日●2014年1月11・13・19・25日、2月1・9・15・16・23日、3月2日
料金●大人5,500円、小人3,800円
問合せ●大井川鐵道 TEL.0547-45-4112
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地元で獲れた野生のしし肉は新鮮。味噌仕立ての鍋でおいしく煮込まれる | |
雪原を走るしし鍋列車。内陸部の樽見鉄道沿線は雪深く、温かい鍋をつつきながら眺める雪景色はオツ | |
列車内で熱々鍋がうれしい。しし肉の脂身はしつこくなく、他の肉の脂身が苦手な人もペロリ |
うすずみ温泉「四季彩館」は温泉だけでなく、「ふるさと体験工房」でろくろや絵付け等の体験も可能。向かいにある「道の駅 うすずみ桜の里・ねお」で県産大豆を使用した「淡墨とうふ」など名物の購入も楽しい。樽見駅のひとつ手前・水鳥駅から歩いてすぐの「根尾谷地震断層観察館」(写真)では明治24年(1891)の濃尾地震の際に生じた断層を真上から観察できる。
樽見鉄道は水都・大垣を出発し、富有柿の里である糸貫駅や、夏の観光やなで名高い木知原(こちぼら)駅などを抜けると、根尾川の流れに沿いつつ山深い自然のなかを走る。春の山菜、夏のアユ、秋の柿など食材に恵まれた沿線の、冬の味覚はなんといってもしし肉。
12時7分大垣駅発の一般列車から本巣駅でしし鍋列車に乗り換え、いよいよしし鍋を味わう。11月中旬~2月中旬が猟解禁のイノシシは脂身が特に美味。寒冷な地方だけにうまみたっぷりの脂がのったしし肉と、ネギ・白菜などの野菜が目の前の小鍋で煮えあがり、熱々を味わえる。もちろん鍋だけではなく、季節料理もつく。本巣市の会席料理店「新山家料理 山びこ」の料理で、地元の季節に応じた食材が多用され、車窓に広がる美しい自然のなかで採れた食材であることをひしひしと感じながら味わえる。
料理や景色を楽しみ、13時12分に樽見駅に着いたら、無料シャトルバスで日帰り入浴券がセットされているうすずみ温泉「四季彩館」へと向かい、そこで解散。しし鍋列車には大垣~樽見間の1日フリーきっぷがセットされているが、四季彩館に宿泊の場合は、翌日の大垣への帰路のきっぷも無料となる。
運行日●2014年1月23日、2月6・13・20・27日
料金●大人5,500円、小人設定なし
※10日前までに要予約
問合せ●樽見鉄道 TEL.0581-34-8039
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和やかな雰囲気が満ちる車内。この日の料理は、行列のできるウナギの名店「しげ吉」のうな釜 | |
ナガラ1形は12両製造されたが、老朽化により廃車にされ、唯一残ったこの車両も今年引退 | |
水曜日運行のコタツ列車で提供される「瓢麓苑」の料理。鮎釜めしは出発直前に炊き上がりホカホカ |
コタツ列車が郡上八幡駅に停車したら、やはり名水の里を散策したい。水路のめぐる街を歩き、日本名水百選の第1号の湧水「宗祇水(そうぎすい)」の清らかさに心洗われる。作家・司馬遼太郎が“日本で最も美しい山城”と讃えた郡上八幡城(写真)が白い雪に包まれるさまも必見。温泉を有する「ホテル郡上八幡(宝泉)」は宿泊のほか、日帰り入浴もできる。
冬の土・日曜・祝日を中心に運行される臨時列車で、関駅発便は郡上八幡駅で折り返し、美濃市駅へと戻る(所要約2時間)。郡上八幡駅発便は北濃駅で折り返し、郡上八幡駅へと戻ったあと、さらに美濃市駅まで運行(所要約2時間50分)。参加料金には美濃太田~北濃の 1日乗車券が含まれており、列車が途中で郡上八幡駅に停車した際には、途中下車して郡上八幡を自由に散策し、通常の定期列車に乗って帰路につくこともできる。
1986(昭和61)年の創業当時から走り、現在唯一残るナガラ1形の車両の中央、向かい合わせのロングシートの間に畳を敷き、高さの高いテーブルタイプの4人掛けこたつ5台を設置。片側はロングシートに座ったまま、こたつに足を入れられる。もう一方は座イスを使用。このナガラ1形は今季限りで引退が決まっており、ナガラ1形でのコタツ列車は乗り納めだ。
関市の「魚末」「しげ吉」、美濃市の「瓢麓苑(ひょうろくえん)」など沿線の料理店のお弁当も味わえる。飲み物は持ち込み自由なので、左党は地酒を調達して乗り込むのもいいだろう。
運行日●2013年12月~2014年3月の水・金・土・日曜・祝日中心(2月の金・日曜は郡上八幡駅発、他は関駅発)
料金●大人5,000円。料理なしの場合小人2,000円、幼児1,000円(0~3歳児を膝の上に座らせる場合は無料)
問合せ●長良川鉄道 TEL.0575-23-3921
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新八代駅を出発した列車は不知火海(しらぬいかい、八代海の別名)へと出て、阿久根市に入ると東シナ海を望んで走る | |
「農園レストラン 三蔵」による昼御膳。熊本のあしきた牛、鹿児島の黒豚、出水の元気鶏など逸品食材が満載 | |
夕御膳のパエリアを仕上げるパーサー。サービスも一流レストラン並みに心地よい |
「おれんじ食堂」の発駅のひとつ・川内(せんだい)駅のある薩摩川内市は魅力的な温泉公衆浴場が多数。また、2014年3月9日まで「きゃんぱく秋冬旅」を開催中。 “一生の旅の思い出”になる体験プログラムが用意されている。川内駅の4つ手前、西方駅から西方海岸までは徒歩10分ほど。海岸風景が素晴らしく、伝説を秘めた人形岩(写真)が印象的。
九州西海岸の八代海や東シナ海の雄大な海景色が車窓に広がる肥薩おれんじ鉄道。車窓の眺めだけでも大きなご馳走なのだが、「おれんじ食堂」は沿線の旬の食材を用い、沿線の名店とコラボした逸品メニューを提供する、所要約3時間の“走るレストラン”。1号車はダイニング・カーで、ホテルのカフェダイニングそのもののような優雅な空間で料理をいただける。2号車はリビング・カーで、海側のテーブル席や半個室など、ゆったりした時間旅行を堪能できる車両で、希望により食事も提供される。
「おれんじ食堂」1号の昼御膳は鹿児島県出水市の「農園レストラン 三蔵」がプロデュース。オーナーが沿線7つの地域をめぐり半年かけて吟味した逸品食材を使用。2号は自家牧場で黒豚を育てている「黒豚みかく亭」の黒豚膳を提供。3号は水俣市の「山あいの詩情 鶴の屋」による夕御膳。環境マイスターの育てた旬の野菜をふんだんに用いた料理や、沿線の山の幸・海の幸を用いたパエリアなどが絶品。
運行日●金~日曜・祝日中心
料金●1号車食事付き大人11,400円~、小人7,700円~。2号車は座席指定席料金大人1,400円、小人700円(運賃別途)
問合せ●おれんじ食堂予約センター TEL.0996-63-6861
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文=大友 康子
写真協力=鹿児島県観光連盟
※掲載されているデータは2013年12月現在のものです。
※掲載のきっぷは、紹介エリア近郊の鉄道利用の利便性を考慮して掲載しています。各ご当地ローカル列車の乗車については、個別の利用条件をご確認下さい。