『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

列車でGO!冬こそ行きたい絶景湯
【旅のテーマ】空気澄む冬にこそ入りたい絶景温泉と、大河ドラマで話題の地などを訪ねる PLAN1 [大阪発]萩へ|大河ドラマ新作の舞台と雄大なる海沿い露天へ PLAN2[東京発]会津へ|ローカル線に揺られ会津の冬景色と絶景露天をはしご [博多発]別府へ|貴重な乳白湯と懐かし町で日々の疲れをリフレッシュ

1月10日~12月31日まで萩市内で提供中の「ふみ御膳」2592円~と「ふみ弁当」1620円。「ふみ御膳」は萩焼や萩ガラスなどの萩の器と9マスの萩桐箱で、「ふみ弁当」は6マスの器で味わう。写真のイタリアンレストラン「トラットリア・アッカ」ほか割烹や居酒屋など市内の人気店が参加

「花燃ゆ大河ドラマ館」では松下村塾をセットで再現し(写真)、アニメーションで文(ふみ)と松陰が松下村塾の授業風景を解説。ほかにも受付でもらったカードを機械に入れると『花燃ゆ』ゆかりの人物の自己紹介を聞けるコーナーなど見どころ多数。入館料500円

手すりなど視界を遮るものもなく、日本海を広々と見渡せる「萩観光ホテル」の露天風呂。夕景や街の灯りがキラキラ光る夜景もぜひ湯あみしながら眺めてみたい。冬はフグチリやフグ刺しを味わえるプランがおすすめ。

明治23年(1890)に吉田松陰を祀り建てられた松陰神社境内には、写真の松下村塾をはじめ、松陰の生き様を蝋人形で解説した「吉田松陰歴史館」、松陰の遺品などを展示する「松陰神社宝物殿 至誠館」などが点在。両館は入館料各500円

「萩城下の古き雛たち」では、旧久保田家住宅をメイン会場に、地元の家庭で受け継がれてきた雛飾りを萩城城下町を中心に市内各所で展示。御殿雛や享保雛をはじめ、手作りの“さげもん”など江戸期から現在のお雛様約1200体を観賞できる。2月3日~4月3日まで開催

萩へ|PLAN1[大阪発]大河ドラマ新作の舞台と雄大なる海沿い露天へ(1泊2日)|<山口県萩市・長門市>山陽新幹線・JR山陰本線・美祢線
新大阪~博多間を最短2時間22分で結ぶ。新大阪から今回下車する新山口までは、最短で1時間52分。1972年に新大阪~岡山間が、1975年に岡山~博多間が開業した。車窓風景では、西明石~姫路間の淡路島を含む瀬戸内の海景色や、徳山駅付近のコンビナートの夜景がおすすめ。写真は500系「こだま」。
この列車で温泉へGO!|山陽新幹線
新作大河ゆかりの地元グルメや歴史散策、さらにオーシャンビュー風呂で今旬の“萩”を満喫

 年も明け、遂に始まった平成27年の大河ドラマ『花燃ゆ』。ここでは、作品のメイン舞台となる萩で、同作ゆかりの地を訪ねる旅へご案内。

 山陽新幹線で新山口に着いたら、便利な高速バスで一気に山陽から山陰へ。萩バスセンターで市内をめぐる萩循環まぁーるバスに乗り継いで、まずは市内12軒のお店や宿で展開する「ふみ御膳」&「ふみ弁当」で腹ごしらえ。吉田松陰の妹で大河ドラマの主人公である杉文(すぎふみ)にちなみ、萩沖の魚介250種の中から女性にゆかりのある旬の魚介を食材に選び、郷土料理の手法を駆使してご提供。地元の漁師が「べっぴんさん」と呼ぶアマダイなどを使い、山陰の海の幸をたっぷり味わえるのは嬉しい限り!

 ランチを満喫後、萩循環まぁーるバスで向かいたいのが「花燃ゆ大河ドラマ館」だ。1月11日にオープンしたばかりの同館では、ドラマで使われた小道具や衣装の展示、メイキング映像などを紹介。『花燃ゆ』の世界観を、たっぷり堪能しよう。

 JR東萩駅まで萩循環まぁーるバスで向かったら、定時送迎バスで今宵の宿「萩観光ホテル」へ。2013年にリニューアルされた展望露天風呂は、眼下にドーンと日本海を見渡せると評判だ。筋肉痛などに効くという温泉で旅の疲れを癒したら、フグや瀬つきアジなど四季折々の旬の味で最高の夕餉(ゆうげ)を。

 翌朝は送迎バスで東萩駅に戻り、萩循環まぁーるバスで移動して松陰神社を参拝しよう。境内には松陰が明治維新の志士たちを教えた私塾・松下村塾が、神社の隣には松陰が蟄居(ちっきょ)していた吉田松陰幽囚ノ旧宅が今なお往時の姿で残る。ここに高杉晋作や文(ふみ)の夫だった久坂玄瑞が実際に通っていたと想像すると、幕末ファンには堪らない!

 最後に忘れちゃいけないのが、萩の街歩き。萩城城下町には土塀や凛々しい武家屋敷、木戸孝允旧宅や高杉晋作誕生地など見どころが多く、ぶらり歩きにもってこいなのだ。帰りは東萩駅からJR山陰本線と美祢線を乗り継いで、長門湯本(ながとゆもと)駅で下車。駅から徒歩10分のレトロな湯本温泉市営公衆浴場「恩湯(おんとう)」に立ち寄り湯。地元の人に交じり、ひとっ風呂浴びて帰ろう。

1泊2日 旅のスケジュール

★1日目
新大阪駅→(山陽新幹線)→新山口駅→(直通バス)→萩バスセンター→(萩循環まぁーるバス)→トラットリア・アッカなど「ふみ御膳」提供店→(萩循環まぁーるバス)→花燃ゆ大河ドラマ館→(萩循環まぁーるバス)→東萩駅(定時送迎バス <要予約> )→萩観光ホテル

★2日目
萩観光ホテル→(定時送迎バス)→東萩駅→(萩循環まぁーるバス)→松陰神社→(萩循環まぁーるバス)→萩城城下町めぐり→(萩循環まぁーるバス)→東萩駅→(JR山陰本線・美祢線)→長門湯本駅→湯本温泉市営公衆浴場「恩湯(おんとう)」→(徒歩)→長門湯本駅→(JR美祢線・山陽本線・山陽新幹線ほか)→帰宅

おトクなきっぷ&列車情報

やまぐち幕末ISHINきっぷ

観光の問合せ

萩市観光協会 TEL.0838-25-1750
長門市観光コンベンション協会 TEL.0837-22-8404

JR猪苗代駅からタクシー10分ほどの長瀬川の河口で出合える、氷の芸術“しぶき氷”。国内でこの現象が見られるのは珍しく、樹氷のような美しさが旅人の目を引き付ける。例年1月中旬~2月中旬に発生しやすい

戊辰戦争で新政府軍の猛攻にも1カ月耐え抜いた名城・鶴ヶ城(若松城)天守閣。天守閣内では城の変遷や戊辰戦争などを解説する常設展示も。最上層から見晴らせる会津若松市街の風景も必見だ。天守閣入場料410円

昼から頬を赤らめていても後ろ指をさされることはなく、羨ましがられるという土地柄の会津。写真の「鶴乃江酒造」(見学は要予約)や會津酒造歴史館を備える「宮泉銘醸」などで、蔵見学やみやげ選びを楽しもう

鶴ヶ城の南東に湧き、約1300年の歴史を誇る東山温泉。「庄助の宿 瀧の湯」では渓谷美を楽しめる大浴場や露天風呂に加え、写真の「星空の湯」など、会津若松市街を見渡す屋上貸切露天風呂も自慢

弱アルカリ単純泉で肌さらさらになると評判の湯野上温泉。写真の「えびす屋」ほか渓谷沿いというロケーションを活かした絶景露天を備える宿も多いので、渓流を眺めながらの長湯を楽しみたい

会津へ|PLAN2[東京発]ローカル線に揺られ会津の冬景色と絶景露天をはしご(1泊2日)|<福島県猪苗代町・会津若松市・下郷町> 東北新幹線・JR磐越西線・会津鉄道会津線
福島県中通りの郡山駅から会津若松を経て日本海側の新津駅を繋ぐ、東西に伸びるローカル線。上戸(じょうこ)駅から臨時の猪苗代湖畔駅では雄大な猪苗代湖が、関都駅を越えたあたりからは屹立する磐梯山を車窓から眺められる。2015年4月下旬以降には、福島県フルーツを用いたスイーツを楽しめる“走るカフェ”がコンセプトの観光列車「フルーティア」が、郡山~会津若松間を走行予定!
この列車で温泉へGO!|磐越西線
雪化粧美しい湖や名城を楽しんだら2つの絶景温泉で芯までぽっかぽか

 「PLAN1」とは一転、こちらは平成25年の大河ドラマ『八重の桜』の舞台となった会津若松など、雪化粧の会津地方を訪ねる旅。郡山駅で東北新幹線からJR磐越西線に乗り換えると、細い山あいを健気に走る列車に、ローカル線風情もグッと増す。車窓に猪苗代湖が一瞬現れては消え、しばらく進むと最初の降車駅・猪苗代だ。

 冬の猪苗代湖には、その時期ならではの絶景がふたつあるのをご存じだろうか? ひとつは強い西風にあおられ、湖水が天神浜周辺の樹木に氷着する独特の現象“しぶき氷”だ。枝先や木々が氷を纏(まと)った自然の芸術作品は、寒くてもずーっと見ていたいほど美しい。もうひとつは、毎年11月頃にやってくる白鳥たちの愛らしい姿。猪苗代湖畔の長浜や白鳥浜、さらには天神浜からほど近い志田浜などで羽を休める白鳥たちと出会うことができる。

 磐越西線をさらに下り、会津若松駅で降りたら、同地のシンボル・鶴ヶ城へ。2011年に幕末時代の赤瓦に戻った名城は、雪化粧のなかに赤い瓦のラインを浮かびあがらせ、先ほど見た白鳥のように麗しい。

 日本酒党なら、酒どころ会津の酒蔵巡りも楽しみたいところ。市内には「鶴乃江酒造」など蔵元が9つあり、その一部では蔵見学や試飲もOKだ。

 銘酒で気持ち良くなったら、会津若松から路線バスや無料送迎バスなどで東山温泉に向かい「庄助の宿 瀧の湯」に投宿。2012年にリニューアルした大浴場「伏見の湯」や「瀧美の湯」からは、白糸のように流れる滝をすぐそこに一望可能!

 2日目は会津若松中心部の七日町に昨年オープンした地元スーパー「河内屋」で奥会津の民芸品などのみやげを購入し、会津鉄道会津線で再びローカル線の旅へ。真っ白になった田園や渓谷美を車窓で楽しみながら、湯野上(ゆのかみ)温泉駅で下車。駅前の「えびす屋」をはじめ日帰り湯OKの宿も点在するので、ここで旅の仕上げの湯を。毎分3000Lといわれる驚きの湧出量を誇る山里の湯で、冷えた体を芯まで温めて。

1泊2日 旅のスケジュール

★1日目
東京駅→(東北新幹線・JR磐越西線)→猪苗代駅→(タクシー)→猪苗代湖天神浜→ (タクシー)→鶴ヶ城→(タクシーまたは徒歩)→会津の酒蔵見学→(タクシーまたは徒歩)→会津若松駅→(バスまたは無料送迎バス <要予約> )→庄助の宿 瀧の湯

★2日目
庄助の宿 瀧の湯→(バス)→会津若松駅→(徒歩)→河内屋→(徒歩)→会津若松駅→(JR只見線・会津鉄道)→湯野上温泉駅→(徒歩)→湯野上温泉 えびす屋→(徒歩)→湯野上温泉駅→(会津鉄道・JR只見線・磐越西線・東北新幹線ほか)→帰宅

おトクなきっぷ&列車情報

週末パス

観光の問合せ

猪苗代観光協会 TEL.0242-62-2048
会津若松観光ビューロー TEL.0242-23-8000
湯野上温泉観光協会 TEL.0241-68-2920

真っ赤な湯が煮えたぎる血の池地獄(写真)や摂氏98度もあるのに涼しげなコバルトブルーの海地獄など、計4つが国の名勝に指定されている別府の地獄。路線バスやタクシー、1日3本の定期観光バス(所要時間2時間半ほど)などでめぐろう

「明礬 湯の里」の大露天岩風呂は、明礬大橋や高崎山などを見渡す特等席。湯船には酸性の硫黄泉がこんこんと注がれる。大人600円。湯の花小屋を模した藁葺き屋根の家族湯も全4棟用意。こちらは1時間2000円~

天然の入浴剤「薬用 湯の花」の製造直売所でもある「明礬 湯の里」。江戸時代から引き継がれるその製造工程を見学できるほか、「薬用 湯の花」ほかその成分を配合した湯の花コスメや湯の花シャンプー(写真)などはみやげに人気

県内最古の商家や蔵屋敷が建ち並ぶ豆田町は、国の重要伝統的建造物群保存地区。ご当地グルメの店や見学可能な酒蔵、工芸品の販売店なども多く、半日歩いても飽きがこない。2月中旬~3月末には「天領日田おひなまつり」を開催

日田市北部にある小鹿田焼の里。狭い山の斜面に窯元が寄り添うように並ぶ風景は文化庁の重要文化的景観に、陶土を挽く唐臼の音は「残したい日本の音風景100選」に選ばれた。窯元から陶器を直接購入できる。日田駅からタクシー30分、バス40分ほど

別府へ|PLAN3[博多発]貴重な乳白の湯と懐かし街で、日々の疲れをデトックス(1泊2日)<大分県別府市・日田市> JR鹿児島本線・日豊本線・久大本線
博多から別府までは、JR鹿児島本線と日豊本線を経由して最短1時間51分でたどり着ける特急「ソニック」が便利。白い885系とブルーの883系があり、前者は普通車でも革張りのハイバックシートを備え、後者はグリーン車乗客専用のパノラマキャビンを設置。車窓からの眺めは、暘谷(ようこく)駅を通過したあたりから見えてくる別府湾や別府の温泉街がハイライト!
この列車で温泉へGO! 特急「ソニック」
乳白色の湯、天領の町並みに焼き物の里。日本の伝統的な美しさにふれる旅

 絶景湯を満喫する旅、まずはJR博多駅から特急「ソニック」にライドオン! 豊後豊岡駅を過ぎ、車窓に鶴見岳や別府温泉の湯けむりが現れる頃、列車は別府駅に到着する。

 別府からはバスなどを駆使して楽しむ地獄めぐりへ。250~300mの地底から噴き出る熱湯、噴気の様子などを地獄と呼び、8つの地獄が別府駅や亀川駅周辺に点在。30~40分間隔で約20mも熱湯を噴き上げる「龍巻地獄」ほか、どこも“地獄”の名にふさわしい迫力だ。「海地獄」の蒸し焼きプリンや各地獄で味わえる温泉たまごなど、“地獄グルメ”も満喫あれ。

 地獄で大地のパワーを感じたら、やはり入りたくなるのが温泉。別府駅からバスでいける「明礬(みょうばん) 湯の里」は、温泉好きならテンションUPの乳白色の湯は、健康増進や美肌効果があると評判だ。高台にあるので、男女の各大露天岩風呂からは明礬大橋や鶴見岳などを一望。

 宿泊は「明礬 湯の里」から200~300mとほど近い「岡本屋」で。明治8年(1875)創業の老舗旅館で青磁色の温泉に肩まで浸かり、旅の疲れを湯に溶かそう。

 翌日は別府駅から大分駅まで下ったら、JR久大本線に乗り換えて日田をめざす。山里をゆくこの久大本線、のんびり派はそのまま普通列車で、時間重視なら大分から直行の特急「ゆふ」が便利。

 日田で降りたら、中心部の豆田町をお散歩。江戸時代には幕府直轄の天領地だった城下町・日田で、商家が集中していたのが豆田町。今も古い町並みや土塀、酒蔵が残っており、散策していると江戸時代にタイムスリップしたかのよう。

 日田駅からバスの本数は少ないが、ぜひ立ち寄りたいのが日田の山奥にある「小鹿田焼(おんたやき)の里」。開窯は江戸中期で、今も約10軒の窯元が素朴な焼き物を作り続けている。川の流れを利用し陶土を挽く唐臼の「ギコンギコン」という音が静かな陶器の里に響き、得も言えぬ風情を感じさせるのだ。

1泊2日 旅のスケジュール

★1日目
博多駅→(特急「ソニック」)→別府駅→(バス)→地獄めぐり→(バスまたはタクシー)→別府駅→(バス)→明礬 湯の里→(徒歩)→岡本屋

★2日目
岡本屋→(バス)→別府駅→(JR日豊本線・久大本線)→日田駅→(徒歩)→天領・日田市豆田町の町並み→(徒歩)→日田バスセンター→(バス)→小鹿田焼の里→(バス)→日田駅→(JR久大本線・鹿児島本線・九州新幹線ほか)→帰宅

おトクなきっぷ&列車情報

ゆふいんのんびりきっぷ
旅名人の九州満喫きっぷ
・アラウンド九州きっぷ

観光の問合せ

別府市観光協会 TEL.0977-24-2828
日田市観光協会 TEL.0973-22-2036

文・撮影(小鹿田焼の里)=鈴木健太
写真提供=萩市観光協会、会津若松観光ビューロー、鶴乃江酒造、庄助の宿 瀧の湯、湯野上温泉観光協会、別府市観光協会、明礬 湯の里、日田市観光協会、交通新聞サービス
※掲載されているデータは2015年1月現在のものです。
※掲載のきっぷは、紹介エリア近郊の鉄道の利便性を考慮して掲載しています。各列車の乗車については、個別の利用条件をご確認下さい。



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