『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
勝田~阿字ヶ浦(あじがうら)間の14.3kmを結ぶ「ひたちなか海浜鉄道」。那珂湊(なかみなと)駅にふらりとやってきて居着いた「駅猫おさむ」や妹分の「ミニさむ」も人気。鉄道の存続を応援するため、地域住民による「おらが湊鐵道応援団」が結成されている
約200haに及ぶ園内各所に大規模な花畑が広がる「国営ひたち海浜公園」。太平洋を望む「みはらしの丘」は4月下旬から5月中旬にかけてネモフィラの花が丘一面に咲き誇り、青い空、青い海、青い丘の絶景に包まれる
太平洋の鹿島灘を望む高台に位置し、客室の広い窓から雄大な水平線を見渡すことのできる、いそざき温泉「ホテルニュー白亜紀」。大海原を一望する露天風呂や大浴場にはナトリウム-塩化物泉が満ちる。海の幸たっぷりの夕食も楽しみ
特徴ある9つのゾーンからなる「アクアワールド茨城県大洗水族館」。水族館のシンボルマークにもなっているサメは、日本で最多の45種を展示。マンボウ専用水槽も日本最大で、5尾のマンボウがのんびりと泳ぐ
太平洋を望み、買い物や食事ができる「那珂湊おさかな市場」。目の前の海から毎日水揚げされ、競り落とされた魚がすぐに店に並び、他にはない鮮度の良さ。各店で配送も頼める
東京駅からJR常磐線特急「ひたち」「ときわ」に乗車して、勝田駅で下車。阿字ヶ浦駅を目指し、ひたちなか海浜鉄道に乗車する。車窓には水田や、干し芋の名産地だけにサツマイモ畑など、のどかな美しい光景が広がる。殿山~平磯間の踏切通過時に一瞬望める海景色も印象的だ。
阿字ヶ浦駅からバスで訪ねる 「国営ひたち海浜公園」 は季節ごとの花の名所。4月下旬~5月中旬が見ごろのネモフィラをはじめ、ポピーやリナリア、ラベンダーなど次々と花の見ごろをむかえる。レンタサイクルやシーサイドトレインで広い園内を満喫するといい。
宿泊は周辺地域で数少ない天然温泉が湧く、いそざき温泉 「ホテルニュー白亜紀」 へ。露天風呂からは太平洋を一望でき、塩分を含んだ温泉の質の良さと相まって、心も体もリラックスさせてくれる。すぐ隣にある酒列磯前(さかつらいそさき)神社は斉衡3年(856)創建と伝わる古社。ヤブツバキが参道の両側から枝をのばし、鬱蒼とした樹木のトンネルが圧巻。宝くじが当たるなど、金運アップのご利益もあるという。磯歩きとともに、夕方や朝の散策にぜひ加えたい。
2日目は那珂湊駅からバスで 「アクアワールド茨城県大洗水族館」 へ。80種2000匹の魚たちが出迎えてくれる「出会いの海ゾーン」、クラゲや深海魚に出合える「暗黒の海ゾーン」、イルカやアシカのショーがある「オーシャンゾーン」など9つのゾーンからなり、見応え満点。水族館の裏側を体験できる「水族館探検ツアー」などのイベントも見逃せない。
水族館を満喫したら、那珂川の河口にかかる海門橋を渡って 「那珂湊おさかな市場」 で海産物のショッピングを楽しむ。これからの季節はアワビ・イセエビ・カツオ・カレイ・タイなどが旬。おいしい旅の思い出をたくさん持ち帰りたい。
★1日目
東京駅→(JR常磐線特急)→勝田駅→(ひたちなか海浜鉄道)→阿字ヶ浦駅→(バス)→国営ひたち海浜公園→(バス)→阿字ヶ浦駅→(ひたちなか海浜鉄道)→磯崎駅→(徒歩)→ホテルニュー白亜紀→(徒歩)→酒列磯前神社など→(徒歩)→ホテルニュー白亜紀
★2日目
磯崎駅→(ひたちなか海浜鉄道)→那珂湊駅→(バス)→アクアワールド茨城県大洗水族館→(徒歩)→那珂湊おさかな市場→(徒歩)→那珂湊駅→(ひたちなか海浜鉄道)→勝田駅→(JR常磐線特急)→東京駅
・ ひたちなか市観光協会 TEL.029-273-0116
大垣~樽見間の34.5kmを結ぶ樽見鉄道。車窓には名産の富有柿の畑、根尾川の美しい流れ、線路に覆い被さる緑のトンネルなどを楽しめる。5~11月(8月を除く)の木・金曜にはイベント列車 「薬草列車」 も運転
福井県との県境に位置する能郷白山は標高1617mで奥美濃の最高峰。泰澄(たいちょう)上人によって開山されたと伝えられ、白山信仰の霊山として知られる。水鳥駅北の河原からは前山の後ろに山頂部が望める
本巣市では昭和47年にホタルの保護条例を制定し、地元の中学生が用水の掃除などの保護活動を行なっている。ほたる公園内の席田用水ではゲンジボタルが自然発生し、ホタルが舞う絶景を楽しめる
十一面観世音菩薩を本尊とし、観音信仰の霊験あらたかな寺院として千二百余年の歴史を誇る谷汲山華厳寺。山号と寺号は醍醐天皇によるもので、その後も朱雀天皇、花山法皇、後白河法皇などの帰依を集めた
川の中に足場を組み、上流から泳いできたアユを捕まえる簗場(やなば)。根尾川沿いの観光やなで、川を眺めながらアユ料理に舌鼓を打ちたい。駅から近くに簗場のある店は少ないが、8月以降ならタクシーなどで訪れ、アユの手づかみにチャレンジしてみたい
名古屋から快速または新快速で30分強と便利な大垣駅は、JR東海道本線支線や樽見鉄道、養老鉄道が発着するターミナル駅。今回は樽見駅へと至る樽見鉄道に乗車。終点のひとつ手前、水鳥(みどり)駅で下車したら北へ進み、樽見鉄道が根尾川を渡るポイントへと歩く。根尾川の清流と樽見鉄道の立橋の向こうに雪を抱いた 能郷(のうごう)白山 の山並みが望める。河原をいろいろ歩いて、自分好みの絶景アングルを探したい。
水鳥駅へと戻り、さらに少し南にある 「地震断層観察館・体験館」 で明治24年(1891)に濃尾地震でできた根尾谷断層などを見学し、地震の威力を体感する。
樽見鉄道で本巣(もとす)駅へと向かい、薄暮の 「本巣ほたる公園」 へ。席田(むしろだ)用水沿いの公園はホタルの名所で、5月下旬~6月上旬には無数のホタルが淡い光を放ちながら飛び回る。いつまでも眺めていたい絶景だが、列車とタクシーを乗り継いで谷汲山華厳寺近くの宿(「立花屋」「松本屋」「えのきや」など)へ向かう。ホタルの絶景を心ゆくまで楽しむためには、1泊朝食付きプランを利用するのもいいだろう。
翌日はまず、延暦17年(798)創建の古社、「谷汲山華厳寺」を参拝。西国三十三番満願霊場で、満願を果たした者が巡礼中にまとった着物を納める笈摺(おいづる)堂や、本堂の柱にかかる青銅の鯉に触れて精進落としをするなど、独特の雰囲気が漂う。
谷汲山華厳寺からバスに乗り、「谷汲ゆり園」へ。3haの檜林にスカシやオリエンタル系のユリ約30万球が植えられており、6月上旬~7月下旬に見ごろをむかえる。
臨時バスで谷汲口駅に戻り、駅から徒歩15分の「岡部やな」などの観光やなで鮎料理に舌鼓を打ち、帰路につこう。
★1日目
名古屋駅→(JR東海道本線)→大垣駅→(樽見鉄道)→水鳥駅→(徒歩)→白山能郷眺望スポット→(徒歩)→地震断層観察館・体験館→(徒歩)→水鳥駅→(樽見鉄道)→本巣駅→(徒歩)→本巣ほたる公園→(徒歩)→本巣駅→(樽見鉄道)→谷汲口駅→(タクシー)→谷汲山華厳寺近くの宿
★2日目
谷汲山華厳寺→(バス)→谷汲ゆり園→(バス)→谷汲口駅→(徒歩またはタクシー)→観光やな→(徒歩またはタクシー)→谷汲口駅→(樽見鉄道)→大垣駅→(JR東海道本線)→名古屋駅
・ 樽見鉄道
八代~川内間の116.9kmを結ぶ肥薩おれんじ鉄道。瀟洒(しょうしゃ)な車内で地元の美食を味わえる写真の観光列車「おれんじ食堂」が人気(金~日曜・祝日を中心に運転)。土・日曜・祝日運転の「ゆうゆうトレイン」は平均時速35kmと普通列車よりもゆっくり走るので、海景色をより満喫することができる
牛深海中公園のサブマリン号は、半潜水型の水中展望船で、日中は展望窓から珊瑚や魚たちを鑑賞できる。夕暮れには2名以上の予約で「夕陽クルージング」を体験できる。赤く染まった空に島々や船が浮かび上がる
静かな漁村にたたずむ「﨑津天主堂」。尖塔の上に十字架を掲げた重厚なゴシック様式で、堂内は畳敷き。近くの小高い丘の上にある「教会の見えるチャペルの鐘展望公園」から望む教会と海の景色もすばらしい
下田温泉は700年ほど前に白鷺が傷を癒していたことから発見されたと伝わる名湯。宿泊はもちろん、日帰り入浴施設の「下田温泉センター白鷺館」や宿の外来入浴を楽しむのもいい。写真は 望洋閣 。
天草はイルカウォッチングのメッカで、五和町二江を出航する船が多い。乗船後に帰路につくなら松島町の「シークルーズ」が便利。イルカの愛らしい姿はもちろん、天草五橋や有明海、天草の島々の眺めも楽しみ。
九州新幹線新八代駅からJR鹿児島本線で八代駅に移動し、いよいよ肥薩おれんじ鉄道に乗車。出水(いずみ)まで新幹線ならあっという間だが、ローカル線は海岸に沿ってのんびり走る。その分、八代海や天草灘の絶景を心ゆくまで楽しめる。
出水駅からシャトルバスで蔵之元港へ行き、三和フェリーで牛深港へ向かう。宿に荷物を預けたら、「夕陽クルージング」に乗船。東シナ海に沈む夕陽は、水平線に近づくにつれ周囲を次第に濃い赤色へと染め、鼓動がドキドキと早くなるほどの感動をもたらす。
翌日はバス便の少なさを考え、なるべく早めに宿を出発。牛深エリアからは、運動公園前(河浦)でバスを乗り換えて﨑津教会入口へ。“海の天主堂”と呼ばれる「﨑津教会」の美しさは感慨ひとしおだ。バスを待つか、頑張って歩くか、交通の状況にもよるが、もうひとつ「大江教会」もめぐりたい。本渡へのバスの乗り換え地点である下田温泉でバスの出発時間をチェックし、足湯や日帰り入浴を楽しもう。
本渡からバスで松島へと向かい、「シークルーズ」のイルカウォッチング最終便(15:00)に乗船。イルカとの遭遇率は95%以上で、クルーザーと並んで泳ぐ姿や目の前でジャンプする姿に感激。
本数の多くはないバスを乗り継いで、教会めぐりやイルカウォッチングまで楽しむのはギリギリではあるが、満足感は非常に大きい。その両方をめぐるコースはないものの、多くの見どころをめぐることができる「天草ぐるっと周遊バス」も運行されており、便利だ。
★1日目
博多駅→(九州新幹線)→新八代駅→(JR鹿児島本線)→八代駅→(肥薩おれんじ鉄道)→出水駅→(シャトルバス)→蔵之元港→(三和フェリー)→牛深港→(徒歩)→夕陽クルージング
★2日目
牛深港→(バス)→﨑津教会→(バスまたは徒歩)→大江教会→(バス)→下田温泉→(バス)→本渡→(バス「快速あまくさ号」)→イルカウォッチング(シークルーズ)→(バス)→三角駅→ (JR三角線・九州新幹線)→博多駅
・
九州ネットきっぷ
・
肥薩おれんじ鉄道
・
三和フェリー
・ 天草宝島観光協会 TEL.0969-22-2243