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キッズも大人も楽しめる鉄道テーマパーク『鉄道ミュージアムの歩き方』往年の名車両や鉄道グッズなど、豊富な展示が魅力の鉄道ミュージアム。子供から大人まで遊んで学べる“こだわりの歩き方”をご紹介します。(文・写真=南 正時)

vol.2 伊那谷に息づく“昭和の名車”たち 『佐久間レールパーク』

豊橋~辰野駅間を走る人気のローカル線「飯田線」の主要駅・中部天竜駅構内に平成3年4月21日にオープン。歴史的な鉄道車両を中心に展示し、全国でここだけにしかない珍しい客車や電車など、昭和を駆け抜けた名車たちを目当てに訪れる鉄道ファンも多かった。しかし、平成21年11月1日をもって惜しまれつつ閉園。一部の車両は、平成23年3月14日に名古屋市にオープンした「リニア鉄道館」に展示されている。
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「流電」に「ゲタ電」に0系新幹線…懐かしい昭和の名車が並ぶ実車展示

 豊橋駅から飯田線の特急「(ワイドビュー)伊那路」で約1時間10分、中部天竜駅に到着する。「佐久間レールパーク」は元中部天竜機関区の構内と職員施設の建物を利用した鉄道ミュージアムで、入口にある職員手作りの腕木式信号機と車輪のオブジェが懐かしい。かつて中部地区で活躍した車両を中心に展示保存されている。

 屋外展示は団塊の世代にとってはどれもこれも懐かしい車両ばかりで、特に昭和初期にデビューした「流電」といわれたモハ52形は、最後の地がここ飯田線だっただけに、終焉のころに「流電」を追ったことなどが思い出され、懐かしさもひとしおである。展示にあたってはデビュー当時の旧塗装に戻され、戦前に「魚雷形電車」と呼ばれた姿が再現されている。

 飯田線は電化区間だったため、全国からやってきた旧形電車が第二の人生を送っていた。先述の「流電」とともに、もうひとつの貴重な電車が、17mの旧型国電クモハ12形で「ゲタ電」と呼ばれたチョコレート色の電車だ。
 さらに東海道本線電化の際にアメリカから輸入されたED11形は、SLのD51やC57よりも古い電気機関車。重量感のある箱型の車体や田の字型の窓など、今の列車にないデザインが見所である。

 このほか、戦後、アメリカ進駐軍専用として使われた旧形寝台客車や、スニ30形ダブルルーフの客車、果ては0系新幹線など、貴重な鉄道文化財といえる車両ばかりだ。
 飯田線専用の電気機関車ED61形を改造したED62形は、沿線の人たちにもお馴染みの機関車でファンも多い。

 屋内展示場にはNゲージのジオラマや、飯田線の各駅の駅名標が展示されているほか、旧国鉄時代の駅設備が再現されていて、ノスタルジックな雰囲気満点。売店では0系新幹線のバッジなど、思わぬ「お宝」グッズの販売もある。
 SLや華やかな特急電車の展示はないが、ここには日本の鉄道の一片が存在する。それらの名車たちから、鉄道の歴史を振り返ることは鉄道ミュージアムの大きな役割であろう。

鉄道懐かし写真館

ミュージアムに展示されている名車両。その在りし日の勇姿を振り返ります。

0系新幹線
平成11年9月18日をもって東海道新幹線での運行を終了。0系は世界で最初に時速200km以上の超高速運転をした歴史的な電車。その先頭車部分が佐久間レールパークに保存展示されている
モハ52形 電車
昭和12年(1937)、京阪神間の急行電車としてデビュー。独特の流線形から「流電」と呼ばれていたわが国の名車のひとつ。昭和53年に全車が飯田線から引退した
ED11形 電気機関車
ED11形は、東海道本線電化用に大正12年(1923)に輸入した直流用電気機関車。同型機は昭和62年まで西武鉄道で活躍していたが、現在は同社で保存されている


エントランスには腕木式信号機と車輪が展示されどことなく懐かしい雰囲気


屋外展示場には貴重な昭和の名車たちがズラリ展示されている


貴重なED11形機関車はアメリカ製。サンプルとして大正時代に輸入されたもの


モハ52形は独特の流線形。京都?大阪駅間を36分で走った戦前の高速列車で最後の地は飯田線だった


クヤ165形(写真右)は珍しい電車教習用車両。現存する唯一の旧153系電車で大変貴重な1台


ED62形機関車は飯田線用にED61を改造して誕生した直流電気機関車。全国に数台残るのみ


昭和の駅の風景が再現されている屋内展示場。各種模型や実物部品、飯田線の歴史的写真などを展示


Nゲージの鉄道ジオラマの背後には、飯田線の駅名標がずらり展示されている

※掲載されているデータは平成21年8月現在のものです。

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