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ハイブリッド気動車も活躍!『JR各社の新系列気動車』JRの非電化路線で快速・普通列車を中心に活躍する気動車。今回はJR各社の新系列気動車にスポットを当てて紹介します。(文=結解喜幸 写真=結解学)

What's ハイブリッドシステム?

 ハイブリッドシステム(Hybrid System)とは、エンジンと電動モーターの2つの動力源を持ち、それを使い分けて排気ガスの低減と燃費を稼ぐ走行システムとして、自動車に採用されたものです。ガソリン使用料や排気ガスの低減に役立つ21世紀の走行システムとして注目を集めています。

 エンジンの力で発電用モーターを回して駆動用モーターのエネルギーを確保し、走行中は駆動用モーターとエンジンを回転させ、エンジンの負荷を軽減。減速時は駆動用モーターが発電機となって電気を蓄電池に蓄え、発進時の駆動用モーターのエネルギー源となるものです。

 JR東日本では、ディーゼルエンジンで動く気動車の環境負荷低減を目指し、かねてからディーゼルエンジンと蓄電池を組み合わせた動力システムを開発。平成15年から試験車両で実用化の目処が立ったため、量産先行車両としてキハE200形3両を製造しました。動力系統として、発電用のエンジン発電機、エネルギーを蓄積する蓄電池、車輪駆動用の主電動機、そして制御用のインバータ・コンバータ装置が組み合わされています。

 列車が発車する時は、エンジン発電機からの電力と蓄電池からの電力を用いて主電動機をインバータで駆動し、減速時には回生電力を蓄電池に蓄えて有効利用するシステムです。エンジン発電機の起動や停止は、現在の車両の運転状態や蓄電池の充電状態から自動的に行なわれるもので、常に最適な状況で運転できるようになっています。

 排気ガスを低減する効果と電車と同様の乗り心地を実現したハイブリッドシステムの有効性が高まり、平成22年には同システムを採用したリゾート車両としてキハHB-E300形2両編成が登場しました。まさに、風光明媚な車窓を楽しむことができる自然豊かなエリアを走行するのにふさわしい、環境にやさしい車両となっています。

ハイブリッドシステムを搭載した「リゾートビューふるさと」

 小海線のキハE200形で世界初の実用化を果たしたハイブリッドシステムを搭載した新型リゾート気動車が、平成22年10月から12月まで開催される「信州デスティネーションキャンペーン」に合わせて登場するキハHB-E300形2両編成です。同キャンペーン期間中は長野〜松本〜南小谷間を結ぶ快速「リゾートビューふるさと」として運転されるほか、飯山線での運転も予定されています。

 外観はリゾート車両にふさわしい大型窓を採用したステンレス車体で、濃淡の緑色をデザインした中に「RESORT HYBRID TRAIN」のロゴが描かれています。車内は通路面より1段高い位置に回転式リクライニングシートが配置されていますが、一般の車両よりもシートピットが広いので足元が広々としています。両端には運転台後には展望スペースが設置され、前面展望と側面展望を楽しめる椅子を設置。客室内には液晶モニターがあり、前面の走行風景や観光情報などを見ることができます。

 なお、バリアフリーに対応した車両の2号車には、車椅子対応の座席や洋式トイレが設置され、自動ドア式の広いトイレ内にはベビーベッドや簡易洗面所もあります。

【運転情報】
運転日
平成22年10月2日〜11月5・8〜30日
運転区間
長野〜(篠ノ井線)〜松本〜(大糸線)〜南小谷間1日1往復(全車指定席)
運転時刻
《往路》長野発9時3分→松本発10時41分→南小谷着13時29分
《復路》南小谷発14時44分→松本発16時55分→長野着18時23分
途中停車駅
姨捨(往路のみ)、松本、穂高、信濃松川、信濃大町、白馬

JR東日本のハイブリッド気動車の第2弾として登場したキハHB-E300系2両編成

ワイドな窓とリクライニングシートを配置した「リゾートビューふるさと」の車内

JR東日本のローカル線で活躍 キハE200形&キハE130系気動車

 ハイブリッドシステムを搭載した世界初の営業用鉄道車両として登場したのが、平成19年から小海線で運転されているキハE200形気動車です。単行運転も可能な両運転台付きの軽量ステンレス車体を採用したキハE130形と同様のスタイルで、車内にはセミクロスシート・車椅子対応座席&トイレを設置しています。使用される小海線の高原をイメージした青色を基調にしたもので、前面および側面に「HYBRID」のロゴがデザインされています。キハE200形は3両が製造され、登場時から小海線の普通列車に2両編成で運用。小海線を利用するハイカーや観光客の注目の的となっています。

 また、JR東日本ではローカル用気動車として、平成2年からキハ100・101・110・111・112形を非電化の各路線に投入してきました。その間にクリーンな排出ガス性能と低騒音を実現したエンジンの開発などが行なわれており、平成18年にはキハ110系列に代わる最新の技術を搭載したキハE130系が登場しました。水郡線用として3扉・セミクロスシート車の両運転台・車椅子対応トイレ付きのキハE130形、片運転台・車椅子対応トイレ付きのキハE131形、片運転台・トイレなしのキハE132形が製造され、風光明媚な沿線の景観をイメージした車体塗色で活躍しています。

 さらに平成20年にはキハE130系を2扉・セミクロスシート仕様としたキハE120形が登場し、平成21年1月から磐越西線や米坂線で活躍しています。

ハイブリッドシステムを搭載した世界初の営業用車両となるキハE200形「こうみ」

JR東日本が新潟エリアの非電化ローカル線用として開発した片側2ドアのキハE120形

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