『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
東京駅のホームに並ぶ700系新幹線。今回の旅で最初に乗車するのは700系「ひかり501号」だ
700系新幹線のグリーン車。リクライニングシートに身をゆだね新大阪までくつろぎの旅を
尾道の海を前にした山陽本線尾道駅。新幹線の新尾道駅からは路線バスが結ぶ。本数も多い
尾道で食べた和食のランチ。尾道といえばラーメンも知られている。おやつに食べてみよう
“尾の道”だけに尾道の風景には猫がよく似合う。坂の町からは家並みや尾道水道が広がる
三原駅の名物駅弁「元祖珍辨(ちんべん) たこめし」。新尾道駅や福山駅、岡山駅などでも購入可能
夫婦の合計年齢が88歳以上で利用できるフルムーンパス。ただ、仕事等で忙しく、なかなかフルムーン旅行ができないペアもいると聞く。しかし、実は多忙な夫婦にこそ、フルムーンパスをおすすめしたい。もし、土日の週末2日間、また、そこに1日休みを追加して、金土日か土日月の3日間時間ができれば、フルムーンパスでおトクな旅が満喫できる。
今回は5日間用フルムーンパスを用い、2日間コース(前編)、3日間コース(後編)に分けてご紹介。夫婦の都合に合わせ、週末以外でも時間を見つけてフルムーン旅行に出かけてほしい。コラムでは、残りの有効期間の活用法などをあわせてご紹介。
さて、フルムーンパス最大の特徴は、一部列車を除き、東海道新幹線も含めグリーン車に乗り放題のところ。高速の新幹線だから、日帰り可能エリアがダイナミックに広がり、快適なグリーン車ゆえ、思いのほか疲れ知らずの旅ができる。2日間コースでは、宿泊費が不要な「日帰り2日旅」としたい。
初日は東海道新幹線と山陽新幹線を乗り継ぎ、瀬戸の穏やかな風そよぐ坂の町、尾道を日帰りで訪ねてみよう。朝、東京を発てば昼前にはもう新尾道駅に到着。新幹線の新尾道駅と山陽本線の尾道駅は路線バスで結ばれ、本数も多く、尾道の観光にはこの両駅が起点となる。思い思いに坂道を散策し、“尾の道”らしく時折出会う猫たちに遊んでもらえば、きっと心癒されるだろう。
尾道では6時間も滞在でき、この日の運賃は合計112,680円(通常購入時)。なんと1日でフルムーンパスの元が取れた計算になる。
1日目●乗車距離:1622.6km 運賃合計2人分:112,680円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
東京~新大阪:@18,390円(乗8,510円 特グ9,880円) 乗車距離552.6km
新大阪~新尾道:@8,070円(乗4,310円 特指3,760円) 乗車距離258.7km
新尾道~岡山:@3,470円(乗1,280円 特指2,190円) 乗車距離78.4km
岡山~新大阪:@8,020円(乗2,940円 特グ5,080円) 乗車距離180.3km
新大阪~東京:@18,390円(乗8,510円 特グ9,880円) 乗車距離552.6km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
「週末2日間フルムーン」 |
|||
---|---|---|---|
2 日 間 コ | ス 1 日 目 |
発着駅 | 時間 | メモ |
坂の町、尾道へ(日帰り)
~ 500系、700系、N700系に乗車 ~ |
|||
東京 発 | 6:26 | 東海道新幹線【ひかり501号】グリーン車(700系) | |
新大阪 着 | 9:30 | 山陽新幹線に乗り継ぎ | |
新大阪 発 | 9:38 | 山陽新幹線【こだま737号】普通車4人用個室(700系) | |
新尾道 着 | 11:41 | 坂の町、尾道を散策 | |
新尾道 発 | 17:47 | 山陽新幹線【こだま752号】普通車指定席(500系) | |
岡山 着 | 18:25 | 乗り換え | |
岡山 発 | 18:31 | 山陽新幹線【さくら562号】グリーン車(N700系) | |
新大阪 着 | 19:21 | 東海道新幹線に乗り継ぎ | |
新大阪 発 | 19:40 | 東海道新幹線【ひかり482号】グリーン車(700系) | |
東京 着 | 22:40 | この日は自宅泊 |
観光の問合せ
■尾道:尾道観光協会 TEL. 0848-37-9736
週末2日あるいは3日のフルムーン旅行を終えた時、まだフルムーンパスには有効期間が残っている。これはなんとももったいない。残りの期間もぜひ活用しよう。
急に休みができ、まるまる1日2日と時間ができればラッキーなのだが、なかなかそうもいかず、ならば仕事を終えた後、夕方5時からのフルムーン旅行を提案したい。
たとえば夕方6時に東京駅で夫婦が待ち合わせて、そこからフルムーンパスを使い、夕食を食べに新幹線で各地へ向かう。グリーン車でさながらデート気分の小旅行だ。
相模湾の魚介を求めて小田原へ。夜7時頃には小田原に着き、帰りは9時過ぎの新幹線でも10時前に東京駅に到着。時刻表をめくれば、夕方5時からフルムーンで行きたい街がいくつも見つかると思う。
改札口の大提灯がシンボルの小田原駅。「夕方5時からフルムーン」で海の幸を食べに行こう
東北新幹線E5系「はやぶさ」のグリーン車。下車するのがもったいないほど乗り心地がいい
石川啄木ゆかりの盛岡。駅にも啄木の字で「もりおか」と掲げられ、駅前には歌碑もある
盛岡の風景はどこか大陸的だ。赤レンガ造りの旧盛岡銀行本店(国の重要文化財)も堂々たる雰囲気
夫婦で旅する盛岡。駅からほど近い「石川啄木新婚の家」はぜひ訪ねてみたいスポットの一つ
一ノ関駅の名物駅弁「平泉うにごはん」は盛岡駅でも購入できる。帰りの新幹線で食べよう
盛岡駅で「こまち」との連結を待つE5系「はやて」。連結器部分の様子は、魚の口みたい
2日間コースの2日目は、一転して日帰りで北へ。折しも季節は食欲の秋。暑い夏を乗り越えた身体にご褒美を、岩手・盛岡でおいしい寿司や名物駅弁を味わいたい。
東京駅9時36分発「はやぶさ3号」グリーン車に乗車。東京をゆっくり出発しても最高速度300km/hの「はやぶさ」は速い。11時56分には風爽やかな盛岡に着く。
日帰り2日間コースを組み立てる際、いずれも朝早くからの旅にすると、さしものグリーン車であっても疲れが残るだろう。初日の朝が早かったなら翌日はゆっくり出発に、出発時間にめりはりをつけることも、身体に優しい旅をするコツの一つだ。
盛岡といえば、夫婦で訪ねてみたいスポット、石川啄木新婚の家がある。まずは観光に出かけ、お昼のピーク時間が過ぎた頃に寿司店等へ向かうのもいい。そのほうが落ち着いてじっくりと味わえる。食いしん坊の本領を発揮した後は、盛岡駅新幹線コンコースにある駅弁処へ。尽きない食欲に押され、夕食に岩手の名物駅弁を購入。ここでは一ノ関駅の駅弁「平泉うにごはん」の取り扱いもあり、東京行きの「はやて」グリーン車でいただこう。
週末2日間のフルムーン旅行。西へ北へと駆け足だったが、快適なグリーン車が醸し出す時間は上質そのもの、そして、2日間の運賃合計(通常購入時)は183,000円にもなり、102,500円もおトクに。わずか2日間の旅でもフルムーンパスの凄さがよくわかる。
旅のコースは夫婦の数だけ存在する。体力や体調に合わせ、ぜひ無理のないコースを組み立ててほしい。
2日目●乗車距離:1070.6km 運賃合計2人分:70,320円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
東京~盛岡:@17,830円(乗8,190円 特グ9,640円) 乗車距離535.3km ※「はやぶさ」の運賃
盛岡~東京:@17,330円(乗8,190円 特グ9,140円) 乗車距離535.3km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
「週末2日間フルムーン」 2日目 盛岡へ [日帰り] 日帰りで盛岡へ 観光もグルメも |
|||
---|---|---|---|
2 日 間 コ | ス 2 日 目 |
発着駅 | 時間 | メモ |
弾丸グルメ旅、盛岡へ(日帰り) ~ E5系に乗車 ~ |
|||
東京 発 | 9:36 | 東北新幹線【はやぶさ3号】グリーン車(E5系) | |
盛岡 着 | 11:56 | 盛岡で観光&グルメ | |
盛岡 発 | 17:20 | 東北新幹線【はやて34号】グリーン車(E5系) | |
東京 着 | 19:48 | 土日利用「週末フルムーン」の終わり |
観光の問合せ
■盛岡:盛岡観光コンベンション協会 TEL. 019-621-8800
フルムーンパスの残りの有効期間を活用する「夕方5時からフルムーン」。各地にディナーを食べに行くのが最も面白そうだが、おいしいお酒を飲んだりして、ついつい帰りたくなくなることも。そんな時はいっそ宿泊を。翌日、早朝の新幹線で東京に“出勤”すればいい。
たとえば東京18時28分発「はやて109号」で仙台20時8分着。名物の「牛たん」を堪能し、駅近くのホテルに1泊。翌朝、仙台6時25分発「はやぶさ2号」に乗車すれば、東京駅には8時ちょうどの到着。これなら仕事に十分間に合うのではないだろうか。
温泉好きの方なら熱海がおすすめ。温泉にゆったり浸かった翌朝、熱海駅7時過ぎの新幹線で東京駅には8時頃に到着する。
お泊り型の「夕方5時からフルムーン」では、シャツや下着など、ちょっとした着替えをお忘れなく。
夜にきらめく仙台駅。グルメの宝庫、仙台は泊りがけ「夕方5時からフルムーン」でおすすめの街
<東京発 「週末2日間フルムーン」 の運賃総額、JR総乗車距離>
JR運賃総額:183,000円(2名分合計 通常期で算出)
JR総乗車距離:2693.2km ※運賃計算キロ
お得になった金額:102,500円(JR運賃総額-フルムーン5日間パス定価80,500円)
乗車倍率:2.27倍(JR運賃総額÷フルムーン5日間パス定価80,500円)
※運賃計算キロは、JR東日本のサイト、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示のものです