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西郷隆盛やお登勢などの登場で、さらに盛り上がる大河ドラマ『龍馬伝』。JRのトクトクきっぷを使い、龍馬やその周辺の人物ゆかりの地へ向かう旅を計4プランご紹介。第2回は「福山&尾道編」と「霧島&鹿児島編」!

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ハネムーンの地はもちろん、ひそかに熱い薩摩の龍馬スポットをいく! 鹿児島県霧島市・鹿児島市/1泊2日プラン 龍馬が都から遠く離れた鹿児島を訪れたのは、1865年と1866年。1回目は薩長同盟締結へ向けての奔走、そして2回目は妻・お龍とのハネムーンだ。龍馬とゆかりの深い霧島・鹿児島では知れば知るほど面白い龍馬の足跡をたくさん発見!

龍馬とお龍の仲睦まじい姿を浮かべ、霧島の大自然をゆく

 鹿児島・霧島での龍馬の足跡を辿る時間旅行には、それにふさわしいタイムマシンが必要! ……ということで、熊本から「SL人吉」に乗車(11月28日までの金・土・日曜・祝日・月曜などに運転。熊本9:41発)。日本三大急流のひとつ、球磨川沿いを進む熊本~人吉間は通称「川線」と呼ばれ、翡翠色の川面や川沿いの風景が目を和ませてくれる。

 人吉から列車を乗り換え、大畑(おこば)駅近辺のループ線、日本三大車窓と呼ばれる真幸(まさき)~矢岳(やたけ)間の霧島連山とえびの盆地の展望を楽しんだら、鹿児島県最古の木造駅舎・嘉例川(かれいがわ)駅で下車。ここから、龍馬が寺田屋事件で負傷した刀傷を癒した塩浸(しおひたし)温泉へ向かう。今年5月にオープンの塩浸温泉龍馬公園では、龍馬が湯治した源泉を利用したお湯で湯浴みが可能。天降(あもり)川沿いには、ひょっとして龍馬が入ったかもしれない昔からの湯船が残るので、龍馬の姿をあれこれ想像するのも面白い。

 古湯の湯上がり後、霧島神宮駅まで移動して目指すは、龍馬とお龍も歩いた高千穂峰ハイキング。姉・乙女への書簡では細かな絵図入りでハイキングルートを説明したり、危険な馬の背越えではお龍の手を引いてあげたという逸話が残っていたりと、龍馬にも思い出深いハイキングだったのだろう。高千穂河原の登山口から山頂までは約1時間半。それなりの登山用の服装が必要だが、山頂では龍馬が抜いたという天の逆鉾や霧島連山の山並みを望むことができるので、ぜひトライを!

 下山後は、西郷隆盛が度々訪れたという日当山(ひなたやま)温泉郷へ。西郷が釣りや狩りを楽しんだ後に入ったとされるお湯に浸かれる「西郷どん湯」で、旅の疲れを癒そう。同浴場の近くには、西郷が宿泊した農家を「西郷どんの宿」として再現しているので、足を延ばしてみたい。

活気あふれる雄藩・薩摩を見て龍馬は何を想っただろうか?

 2日目は、西郷や小松帯刀(たてわき)などが生まれ育った鹿児島市内へ。まずは、1回目の薩摩滞在で龍馬が泊まったとされる西郷南洲(なんしゅう)翁宅地の跡を示す石碑を見学。龍馬は宿泊の際、西郷の妻に「一番古いふんどしを借りたい」と頼み、妻は西郷の使い古しを貸したが、後に西郷はそれを知り「この人は国のために命を捨てようとしている人だぞ。新しいものと替えて差し上げろ」と叱ったという逸話も残る。

 続いて訪ねたいのが、薩摩藩主・島津斉彬(なりあきら)が反射炉や農工具ガラス製作所などを造り、日本初の工業地帯ともいわれる旧集成館。当時最先端の技術を、龍馬も薩摩滞在時に見学したという。元治元年(1865)築の鉄工機械工場を利用した博物館「尚古集成館」では、薩摩切子などの伝統工芸品や島津家の資料を鑑賞可能だ。

 博物館はしごの2館目に向かうのが「鹿児島県歴史資料センター 黎明(れいめい)館」。国宝も含んだ鹿児島の歴史・民俗・美術工芸の資料を入れ替え展示しているが、今回注目なのが2階歴史コーナーにある龍馬の歴史資料。薩摩藩士・渋谷彦助に宛てた龍馬直筆の書状、龍馬たちが霧島の温泉で湯治していることが書かれた小松帯刀書状(重要文化財)など、龍馬の行動を具体的に想像できる資料が展示されており、龍馬ファンは感涙モノなのだ。

 時間が許せば、もうひとつ珍なる龍馬スポットを。JR五位野(ごいの)駅から徒歩20分の距離にある「平川動物公園」では、今年3月下旬に「長崎バイオパーク」から貸し出されたカバの雄「龍馬」くんと出会える。“ゆる~い”龍馬スポットで癒されて、旅をシメてみては。

旅のスケジュール

  スポット名 アクセス
1日目 JR嘉例川駅  
塩浸温泉龍馬公園 JR嘉例川駅から霧島いわさきホテル行きバスで塩浸温泉下車すぐ
高千穂峰 (登山口まで)JR霧島神宮駅から霧島連山周遊バスで高千穂河原下車すぐ
西郷どん湯 JR肥薩線日当山駅から徒歩5分
2日目 西郷南洲翁宅地跡 JR鹿児島中央駅から徒歩約4分
尚古集成館 JR鹿児島中央駅からカゴシマシティビューで仙巌園前下車すぐ
鹿児島県歴史資料センター 黎明館 JR鹿児島駅から徒歩15分
平川動物公園 JR五位野駅から徒歩20分
今回のおすすめきっぷ
■ぐるっと一周肥薩きっぷ
新八代、人吉、隼人、鹿児島中央など南九州の指定区間を、ぐるっと一周できるきっぷ。普通、特急、新幹線普通車指定席が利用できる。しかも、隼人~吉松~人吉~八代のフリー区間内は有効期間中何回でも乗り降り可能だ。SL人吉を利用する場合は、別途座席指定券が必要(おとな800円・こども400円)
発売期間
通年
利用期間
通年
有効期間
2日間
ねだん
おとな9500円、こども4700円
食べなきゃ損ぜよ! 幕末グルメ 松栄軒の駅弁「龍馬 薩摩路紀行」
文献によると、龍馬はお龍との霧島登山の際にカステラを弁当で持っていき、谷川で魚を釣り、ピストルで鳥を撃ったという。駅弁「龍馬 薩摩路紀行」(1100円)はその逸話から具材をイメージ。カステラに見立てた伊達巻き、アユの甘露煮、さつま赤鶏の照り焼きなどがぎっしり詰まっている。鹿児島黒豚とんこつなど郷土食のおかずに箸が進む。JR鹿児島中央駅、出水(いずみ)駅、川内(せんだい)駅にて販売


山あいにある駅は、鹿児島で最古の木造駅舎。待合室にある木の長椅子や漆喰の壁、角の丸くなった木の改札口などが、乗客の情緒を誘う。特急列車「はやとの風」も停車する


塩浸温泉龍馬公園にある無料の足湯。龍馬の薩摩・霧島での足取りを展示する龍馬資料館「この世の外」も必見。TEL.0995-76-0007。9:00~18:00、無休(平成23年3月まで)。入浴料大人360円・子供140円、入館料大人300円・子供150円


赤褐色の山肌が朝夕の日差しで七色に変化するさまが美しい、標高1574mの高千穂峰。山頂には天孫降臨神話に由来する天の逆鉾が刺さる。高千穂河原から山頂まで徒歩約1時間30分


日当山温泉郷にある木房温泉「西郷どん湯」。西郷隆盛も浸かったとされる炭酸水素塩泉は、切り傷や神経痛に効くという。TEL.0995-43-3870。6:00~21:30、第4月曜休。入浴料大人250円


「尚古集成館」では、工場として稼働していた当時の機械など島津家伝来の資料を中心に、文書や書画をはじめ約1万点を収蔵・展示。TEL.099-247-1511。8:30~17:30、無休。大人1000円、小・中学生500円


「黎明館」では平成23年2月まで高知の画家・公文菊僊(くもんきくせん)筆の有名な坂本龍馬像など龍馬に関する各種史料を展示。TEL.099-222-5100。9:00~17:00(入館は~16:30)、月曜・毎月25日休。大人300円

旅のMEMO
観光の問合せ
霧島市観光課●TEL.0995-64-0895
鹿児島県観光連盟●TEL.099-223-5771

文:鈴木健太
写真協力: 鹿児島県観光連盟、霧島市観光課、鹿児島県歴史資料センター黎明館、松栄軒
※掲載されているデータは平成22年6月現在のものです。



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