『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
相模灘に浮かぶ周囲4kmほどの離島、初島。熱海や伊東から定期船が出ており、乗船時間も25分と近い。初島はリゾートにグルメに、首都圏発着の日帰り旅行でも十分に楽しめる“青春のアイランド”。
カラフルな定期船と初島港。釣り人も多く訪れる初島は開放的でのびのび気分。定期船は熱海発着の便のほうが伊東発着よりも多く、途中、イルカの群れが現れることも。イルカと出会うと心がウキウキする。
「ソラスズメダイ」が初島港、岸壁のすぐ下を群れ泳ぐ。熱帯魚のような「ソラスズメダイ」は体長8cmほど、コバルトブルーが美しい。伊豆の海ではこの魚に魅せられてダイビングにはまる人も多いという。
初島で食べる海の幸は本当にうまい。それもそのはず、港近くには食堂が並び、新鮮な魚介を食べさせてくれる。特に夏場なら地物のアジがおすすめ。刺身で食べるのもよし、アジ丼で食べるのもよし。
島で採れるテングサから作られた自家製「ところてん」。これも初島名物の一つ。つるっと頬張れば、酢醤油の酸っぱさも爽快で暑気払いにもぴったりの味わい。「ところてん」は夏の季語になっている。
湯量豊富な伊東温泉。共同浴場から露天風呂まで多様なお風呂があり、それぞれお好みの湯浴みが堪能できる。泉質は単純泉や弱食塩泉、肌に優しく心地よい。汗を流し、リフレッシュして東京へ帰ろう。
狭いようで広い島国、日本。この島国を形作る最小単位が小さな離島といえるだろう。でも、日々の暮らしの中で、心に描く日本地図には小さな島々は載っていないかもしれない。自由にのびのびと旅ができる「青春18きっぷ」で、小さな島々を、そして、自分が生まれ育った国の一端を訪ねてみるのはとてもいいことだ。
東京から東海道本線で熱海へ。運転本数が多いので、一足早い時間の電車で出かけ、熱海駅前の足湯(無料)で早速、休息ならぬ“休足”するのも乙なもの。
バスにて熱海港で下車し、初島行きの船へ。旅人にとって島に向かう船は非日常空間へいざなう特別な乗り物。初島航路でも運が良ければイルカたちと出会う。
初島は相模灘西部に浮かぶ人口200人ほどの離島。熱海、伊東という静岡県有数の温泉地と定期船で結ばれ、アクセスも楽々、東京など首都圏から日帰りでも十分満足できる。島には砂浜こそないものの、岩場周辺でのシュノーケリングやダイビングに釣り(釣り竿等のレンタルあり)とアクティビティ(遊び)も様々。港の食堂街には水槽が並び、獲れたての海の幸が目に入ってくる。夏場であればなんといっても地のアジが美味。一方で自家製の「ところてん」が名物になっており、するりと食べれば酸味爽快、暑気払いにもぴったりの味わいだ。
初島の夏の海。すぐ足元の海を熱帯魚のような青い魚「ソラスズメダイ」が群れ泳ぎ、あまりの美しさに心奪われる。ただ海を眺めてのほほんと過ごすひと時、このひと時が癒しの時間なのだろう。初島でリゾート気分にひたった後は、船で伊東港へ出て、伊東温泉の湯に浸かって帰ろう。
伊豆の名湯、伊東温泉。なんと毎分32,000リットルと伊豆一番の湧出量を誇る。泉質は単純泉や弱食塩泉で、無色透明無臭の湯は肌に優しく心地よい。豊富な温泉を活かし、いろいろなお風呂が楽しめるのも伊東ならでは。家族風呂付きの共同浴場もあれば、旅館・ホテルの日帰り入浴もある。共同浴場派の方も、大浴場派、露天風呂派、そして、貸切風呂派の方も存分に湯浴みを堪能。入浴料も共同浴場であれば大人250円ほどと安く、七福神にちなんだ共同浴場めぐり「七福神の湯めぐり」をするのも面白い。
汗を流し、さっぱりしたところでまたお腹がすいたらお寿司でも。駅近くにも伊豆の魚介を供す店があり、お腹も満たして東京へ。伊東駅では東京駅まで直通の始発電車があって便利だ。初島での時間、伊東での時間、電車は旅の想い出を乗せて走り出す。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
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1 日 目 |
東京発 | 8:10 | 東海道本線、熱海行き普通列車(土休日は8:03発) |
熱海着 | 9:52 | 駅横のバス乗り場へ(土休日も9:52着) | |
熱海駅発 | 10:00 | 熱海港・後楽園行き路線バス(220円) | |
熱海港着 | 10:10 | 初島行きの定期船乗り場へ | |
熱海港発 | 10:30 | 定期船(熱海→初島→伊東の運賃2,340円) | |
初島着 | 10:55 | 癒しの島で海鮮グルメ | |
初島発 | 14:00 | 伊東港行きの定期船 | |
伊東港着 | 14:25 | 徒歩で伊東、湯めぐり散歩など | |
伊東発 | 18:44 | 伊東線・東海道本線、東京行き普通列車 | |
東京着 | 21:00 | 旅の終わり |
鉄道は時代の変化を乗せて走るのだろう。昭和57年(1982)の時刻表を眺めてみると、まず普通列車の夜行列車が目につく。門司港と長崎・佐世保を結ぶ「ながさき」、京都~出雲市間を走る「山陰」、天王寺~名古屋間の「はやたま」など。今はなき夜汽車に「青春18きっぷ」で乗られた方も多いと思う。
「青春18きっぷ」を象徴する列車に「ムーンライトながら」がある。かつては定期列車で大垣夜行と呼ばれた。写真は列車番号347M時代のもの。早暁の浜松駅にて。最後尾の車両クハ155-1が懐かしい。
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは平成24年7月5日現在のものです。