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久住 昌之 Kusumi Masayuki (文・写真・画)

東京都出身。ドラマ化された『孤独のグルメ』(谷口ジローとの共著・扶桑社)、『花のズボラ飯』(水沢悦子との共著・秋田書店)ほか、漫画、エッセイ、音楽など多方面で創作活動を展開中。

真岡鐵道 もおかてつどう

下館(茨城県筑西市)から茂木(栃木県茂木町)までの41.9km、17駅。週末を中心に今もSLが定期的に走る。
今回は栃木県の真岡駅(真岡市)から益子駅(益子町)までを歩いた。

 

 つたい歩きは住宅街から始まった。いい天気。柿がたわわになっている。柿って、いかにも日本の秋。疲れることなく北真岡の駅に到着。駅前にはトイレの他何もない。すぐ住宅。近くに中郷大日堂と書いた棒杭があり、見ると線路向こうに古そうな社が森に囲まれてあった。でも、地味そうなので行かない。


一直線のつたい歩き。永久に歩けそう

 その辺から田園地帯になった。道は線路に沿ってまっすぐ。稲刈りの終わった水田の上に、青空が広がる。黄緑色の畑はなんだろう? 用水路の水の音が、耳にコロコロと気持ちいい。関東平野の秋の散歩、サイコー。時々、濃い緑と薄い緑がチェッカー模様になった1両か2両編成の列車が横を通る。真岡市は、今年市制施行60周年らしく、車両にそう書いてあった。

 またしばらく歩くと「真岡観光リス村」という施設がある。リスと触れ合えるようだ。ウサギやヤギもいるようで、案外規模が大きい。入場券売り場に「リスの大魔王リッキー君」の石像。魔王のわりにカワイイ。今日は週末なので、車がたくさん停まっているが、のぞくとガランとして見える。園内のスピーカーから流れる音楽の音が、ひと昔前の遊園地っぽい。子供は楽しそうだ。
 そこを過ぎて五行川という川の橋を渡る。水は浅く、澄んでいる。向こうに真岡鐵道の青い鉄橋が見える。渡るSLを想像する。

 また田園歩き。道は舗装されているが、車も人もほとんどゼロ。鉄塔にカラスの群れ。スズメも多い。赤トンボも飛んでいる。モンシロチョウ。アブ。道に小さなヘビが潰れていた。まだ新しい死骸。鳥にでもやられたのか。模様が鮮やか。ヤマカガシか。今日はいろんな小さな生き物にも出会う。大きなヘビには会いたくないが。

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