『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
岡山と津山を結ぶ津山線は、明治31年(1898)、民営の「中国鉄道」の手により敷設されました。中間駅の建部は、津山線開通後に地元の請願によって設置が決まり、明治33年4月14日に開業した経緯を持ちます。駅舎は開業当時のままで109年の時を経て、今も地元の人々や旅人を迎えています。
軒下に2ヵ所ある蚊取り線香のような渦巻き状の金具は、国旗などを掲揚する際に竹竿を固定したものです。このような金具が今も残存するのは大変珍しいといわれます。
平成18年には国の登録有形文化財に登録され、より長く駅舎が使用できるよう、平成19〜20年に屋根瓦や外板など一部補修が加えられました。
明治33年に建築されてから今日まで鉄路を見守る建部駅舎(写真は補修前の姿)
軒下2ヵ所に設置された旗竿用の取り付け金具。手書きの駅名看板もなんともいえない味がある
弘法大師・空海の誕生の地「善通寺」。その最寄り駅である土讃線善通寺駅舎は、土讃線の前身にあたる「讃岐鉄道」が明治22年(1889)に建設したものです。開業時には「吉田駅」という駅名でしたが、すぐに「善通寺駅」に改称されました。
駅舎は開業から120年を経た現在も、補修を重ねながら大切に使用されています。駅舎正面の車寄せの屋根部分はハーフティンバー(柱や梁などの軸組みを外部に表し、その間の壁面を漆喰やレンガで埋める工法)の装飾が取り入れられました。
隣の琴平駅とともに、四国の鉄道のルーツを感じさせる駅舎です。
屋根や壁などに補修を重ねながらも120年の時を刻んできた駅舎が健在
約1200年前に創建されたという善通寺までは、駅から徒歩約20分
福岡県を南北に縦断する日田彦山線。旧豊前と旧筑前の国境に位置する彦山駅は、元は行橋(ゆくはし)から建設された田川線の終着駅として昭和17年(1942)に開業、後の昭和35年、田川伊田から南は日田彦山線に編入されました。
彦山駅舎は開業と同じ昭和17年に建設されたもので、現在も開業時の駅舎が使用されています。
英彦山(ひこさん)神宮に近いことから参拝者も多く利用し、高い天井や、優美な曲線がつけられた屋根の勾配など、英彦山神宮を意識したデザインとなっています。なかでも特徴的なのは赤い塗装の柱と屋根で、背景の緑の山々に美しく映えて目を引きます。
彦山駅は日本三大修験道の霊山「英彦山」の玄関口。神社風の駅舎が目を引く
彦山駅舎内には食事処や英彦山みやげが購入できるコーナーもある
写真協力:JR東海(亀崎駅)/JR九州(彦山駅)
※掲載されているデータは平成21年5月現在のものです。