名前も変わっていれば、見た目も変わっている六兵衛(ろくべえ)。島原半島に昔から伝わる郷土麺だ。麺の成分のメインはサツマイモ。通常、麺といえば切り麺か手延べ麺だが、六兵衛は押し出し麺。鰹節や昆布ダシの汁で食べるのが一般的だ。サツマイモ原料の麺料理はおそらく六兵衛だけ。開発者の名主の名前から取ったご当地麺である。
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昨年の第4回B-1グランプリin横手で初出場にして第3位、ブロンズグランプリに輝いた津山ホルモンうどん。地元への愛情が深いといわれる東北の地で、西日本から上位に食い込んだことで、高い評価を獲得。シルバーウィークの初日〜2日目のイベントだったこともあって、翌日から地元の人気店に行列ができ、お客さんが20倍に増えたというほど、大きな注目を集めることになった。
津山は江戸時代から牛肉を食べていた地域で、牛食文化の歴史は古い。新鮮で良質な肉(もちろんホルモン)も手に入るため、焼肉店などで30年以上前から人気のメニューだったという。元々酒のつまみで食べられていたホルモン。質だけでなく、洗浄や乾燥の技術に長けていた点も、うまいホルモンが提供されていた要因だ。
ホルモンうどんは、その締めにうどんや焼きそばと一緒に焼いて食べられていたもので、存在はしていたがメニューにあえて載せているものではなかったらしい。それが数年前の国体で柔道の会場となった際、世界的な選手が津山に多く訪れ、その時食べられたホルモンうどんが大変な評判を呼んだ。そこで、ホルモンうどんとして売り出し、既述のB-1グランプリで入賞して大ブレイクしている。昔から地元では当然のように食べられ、愛されてきたメニューだが、今や休日ともなれば行列のできる店が数多く出ている。
知名度が高まったこともあるが、たくさんのお客さんを呼んでいるのはもちろんうまいからに他ならない。味のポイントになるホルモンは、牛のバラエティホルモン。数種類のホルモンが混ざったものだが、とにかくやわらかく、臭みなど全くない。タレは味噌・醤油・ソースなどお店によって違うようだが、個人的にはB-1グランプリでおなじみのニンニクのきいた味噌ベースのタレが好み。いくらでも食べられそうな食欲をそそる味だ。
津山は牛肉文化が根付いているため、焼肉のうまい店もあるとともに、酒のつまみになるような名メニューも数多い。お土産物としてもよく知られる「干し肉」は、保存食として食べられてきたものだが、ビーフジャーキーとも違った味わいだ。また、牛の大動脈を使った「嫁なかせ」は塩味ベースの炒め物。名前の由来は、「あまりに酒に合うため」、「酒がどんどん進むため」、「料理の使用がないため」などなど諸説あるらしい。夜の……には特に関係がないとのことだ。ホルモンうどんと共に、絶品つまみでうまい酒を楽しんでほしい。
創業120年を誇る老舗。津山ホルモンうどんを代表する名店。新鮮なホルモンや辛口で味噌ベースのソースが絶妙。食欲をそそる。
50年以上津山駅近くでやっている老舗焼肉店。空いていれば、店の真ん中にある鉄板の周りに座り、でき立てを鉄板から頂くのがお勧め。
夏になると無性に食べたくなる冷たい麺。日本人なら「そば」でしょう!という人もいれば、最近は定番化した感もある「ざるうどん」を思い浮かべる人もいるだろう。私はというと、酸味のきいた冷やし中華が好物だ。自宅でもよく食べるが、毎年“冷やし中華始めました”の張り紙がお店に出るのを楽しみにしている。
さて東日本では甘酸っぱく冷たい中華そばは「冷やし中華」という表現が一般的だが、西日本では「冷麺」と呼ばれることが多い。関東出身の私の感覚で冷麺といえば、焼肉屋さんの冷麺や、ご当地麺で有名な盛岡冷麺など、コシの強い韓国風の冷麺をイメージする。西日本ではこれらを「韓国冷麺」「平壌冷麺」などとあえて表記する。
ちなみに北海道では「冷やしラーメン」と呼び、野菜がたくさん入ったものは、「ラーメンサラダ」なるご当地メニューになる。東北地方では「ざる中華」という酸味のない冷やし麺が各所に存在する。関東で流行りのつけ麺風だが、ざるそばのタレに冷やした中華麺をつけて食べるシンプルなものだ。山形には「冷やしラーメン」という見た目はラーメンそのものだが、食べてみると冷たい摩訶不思議なラーメンもある。
呉の冷麺は、こうした各地の冷やし中華麺とは異なる個性的な麺だ。麺はコシの強いツルっとしたのど越しの平打ち麺で、具は少なめ。私がハマったスープは見た目には全く辛そうに見えないのだが、食べてみると唐辛子の辛さがジワジワ効いてくる。基本は甘酸っぱい冷やし中華系の味わいなのだが、冷やし中華で一般的な洋がらしの辛みではない。テーブルには唐辛子を漬け込んだ「酢からし」が置いてあって、好みで辛味・酸味を加えて味を調節することができる。
シンプルな具と少なめのスープにやや不満を持つお客さんもいるようだが、一度ハマルと中毒性の高いメニュー。私も初めて食べた時の印象は「なんか変わった冷やし中華だなぁ」といった程度の印象だったが、訪れるうちに突然無性に食べたくなって、広島出張の時にわざわざ食べに行ったこともある。
最近、広島に呉冷麺の店が増えているらしい。個人的にはご当地の麺はやはりご当地で食べ歩きをしたいものだが、地域外でブレイクすることで、地元が盛り上がることも少なくない。しかし、呉では冷麺のお店はできてもなかなか続かないようで、提供店はあまり増えていないようだ。全国的にも珍しい味わいだけに、呉の名物としてもっと食べられるお店が増えてほしいものだ。
呉冷麺発祥の店。すっぱ辛いタレと平打ちの麺が癖になる。平成20年に火事にあったが、現在は新店舗で営業。※写真はお気に入りだった旧店舗
見た目からはイメージできない辛みがじわじわ効いてくる。冷麺ワンタン入りが人気で、お勧め。珍来軒とどちらが好きか議論になるなど人気を二分する。
名前も変わっていれば、見た目も変わっている六兵衛(ろくべえ)。島原半島に昔から伝わる郷土麺だ。麺の成分のメインはサツマイモ。通常、麺といえば切り麺か手延べ麺だが、六兵衛は押し出し麺。鰹節や昆布ダシの汁で食べるのが一般的だ。サツマイモ原料の麺料理はおそらく六兵衛だけ。開発者の名主の名前から取ったご当地麺である。