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華々しいデビューを飾ったアイドル的列車カタログ JR名車両列伝2 JRスタートから24年。従来の国鉄の殻を破り、斬新なスタイルやサービスでデビューした当時のJR車両たちも、世代交代の時期を迎え、新型車へのバトンタッチ、リニューアルなどが行なわれています。最新車両の礎にもなった当時の名車両の数々にスポットを当て、歴史を振り返ってみましょう。

第2章 その名は「ソニック」883系特急形電車●JR九州

シャープでメタリックな外観楽しいインテリアの車内

 日豊本線(博多〜大分間)のスピードアップを図るために平成7年に投入された車両で、JR九州の振り子式交流電車です。同社では初となる制御付き自然振り子車で最高運転速度は130km/h。博多〜大分間の所要時間は約2時間10分に短縮されました。

 車体内外は外部デザイナーによるもので、セルリアンブルーメタリックの先頭部とステンレスボディのシャープでメタリックな外観で大きく注目されました。また客室は、動物の耳をあしらったようなヘッドレスト付きシートが採用されるなど楽しい演出も行なわれました。普通車にはグループで利用できるガラスで仕切られたセンターブースがあり、グリーン車は電動リクライニングシートで本皮張りの豪華な客室です。グリーン車運転台後部には木製ベンチのあるパノラマキャビンが備わり、ゆったりと前面展望が眺められます。

 性能面ではVVVFインバータ制御、発電ブレーキが採用されています。

 名称は「ソニック(=音速)」。車体にはバックミラーやフォグランプが設けられるなど、デザインの「遊び心」にあふれており、それらが総合評価され、グッドデザイン賞、ブルーリボン賞、ブルネル賞を受賞しています。

6種類と多彩な顔を持つ「ソニック」リニューアルで重厚なイメージに

 883系は平成7年4月改正の特急「ソニックにちりん」に投入され(デビューは前月の特急「にちりん」)その特異な外観、凝ったインテリアが大いに話題となり、スピードアップによる速達性も相まってたちまち大好評となりました。

 その先頭部は編成ごとにデザインが異なり、さらに塗色もシルバー、ダークブルー、イエローと変化させ、前面形態により8編成で6種類の「顔」を持つなど非常にユニークでした。

 883系「ソニック」は幅広い層に支持を受け「乗ってみたい車両」として九州を代表し活躍をします。"トイ"的なデザインは子供から大人まで夢や冒険心をくすぐりました。平成9年3月からは列車の愛称名も「ソニック」となり、知名度はさらに向上、定着をします。

 平成17年からリニューアルが行なわれ、車体色が九州の東海岸をイメージしたメタリックブルーに変更され、従来よりシックな色に変わりステンレス部分も同様の塗色になりました。客室も大幅に変更され、床面は絨毯からフローリングに、シートモケットも落ち着いた柄に交換され、イメージチェンジ。センターブースは普通席に改められました。

 全体にぐっと重厚感の増した883系は依然「ソニック」として九州の列車・車両を代表し、日豊本線を走り続けています。

前面がイエローの登場時の883系。カラーは4色ありユニーク

登場時の車内。シートモケットがポップで華やかな印象だった

メタリックブルーとなったリニューアル後の外観。重厚感がある

リニューアル後の車内は落ち着いたムードにイメージチェンジ

 

文・写真:斉木実
※掲載されているデータは平成22年6月現在のものです。

書籍紹介

国鉄型車両コレクション new

  • ●定 価 1,680円(税込)
  • ●仕 様 A4変型判 160ページオールカラー

JR新型車両コレクション(改訂版)

  • ●定 価 1,680円(税込)
  • ●仕 様 A4変型判 160ページオールカラー
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