787系は、平成4年7月から鹿児島本線で営業運転を開始した特急形電車です。国鉄伝統の「つばめ」の愛称を列車名に復活させるとともに、その名に恥じない高いクオリティーを持って登場しました。
車体内外は外部デザイナーに依頼し、グレーメタリックを基調にした斬新でシャープな外観は人々を驚かせました。前面はスピード感がありロボット的で、フォグランプが設けられるなど大きなイメージアップが図られています。
車内は「走る高級ホテル」を目指した優雅なもので、グリーン車ではセミコンパートメントの「トップキャビン」、ソファのある4人個室の「サロンコンパートメント」、2+1列配置の一般座席で構成されました。普通車ではシートピッチ1000mmが採用され、ゆとりが見られます。編成には瀟洒なドーム型天井のビュフェ(ビュッフェ)があり、車内販売や車内改札などを含めた客室乗務員「つばめレディ」が笑顔で迎え、大変に好評でした。
最高運転速度は130km/h。主回路システムはサイリスタ位相制御。発電ブレーキ併用、電気指令式空気ブレーキ方式を採用しています。
787系は平成4年7月ダイヤ改正から、西鹿児島駅発着の特急「有明」を787系「つばめ」として置き換え運転。上質のサービスはたちまち評判になり、利用者も増加しました。車両も増備され運用も拡大。翌年からは日豊本線などにも進出し、「にちりんシーガイア」「ドリームにちりん」「ドリームつばめ」、また臨時の「かもめ」と活躍の場を広げます。平成11年からは「有明」用車両も製造。平成13年からは筑豊本線、篠栗(ささぐり)線経由の「かいおう」の運転を開始。「にちりんシーガイア」などからは撤退し、後に運用は鹿児島本線系統に集約されます。
しかし、平成16年3月に九州新幹線が開業すると、「つばめ」の愛称は新幹線に譲り、787系は新幹線新八代駅に連絡する「リレーつばめ」を主体に活躍することになります。これに伴いビュフェを廃止し普通車に改造。グリーン車も「トップキャビン」が「DXグリーン」に変更され、外観もゴシックグレーに改められるなど大きくイメージが変わりました。
現在787系は「リレーつばめ」のほか「有明」「かいおう」、一部の「きらめき」に運用されまだ勇壮が見られますが、九州新幹線全線開業時には、再び大幅な列車の廃止、車両の転用が予定されています。