『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
アンケートに答えると、合計50組に
茨城の宿泊券や名産品などが当たります。
◎詳しくは観光いばらきへ
◎問い合わせTEL:029-301-3622(茨城県観光物産課)
翌日訪ねた日立市の「椎名(しいな)酒造店」もまた、30代の若手杜氏・椎名健二郎(けんじろう)さんが醸す蔵。蔵から1kmほどの場所から引く仕込み水を飲ませてもらうと、クリアな味わいに驚いた。「雑味がなく、長く保存しても腐らないんですよ」。
ゆえに醸す「富久心(ふくごころ)」もするすると飲めてクセがなく、食中酒に最適。生産量が少なく飲める場所は希少だが、市内にこの酒を飲める「はぎ屋旅館」を発見。名物の口福(こうふく)あんこう鍋とともにいただくことに。
あん肝を溶かした味噌仕立てのつゆで煮込むプリプリの身、コラーゲンたっぷりの皮を頬張れば、コクと旨味が広がる。そこに「富久心 純米」を含めば、旨味をほどよく膨らませながら口の中がリセットされ、また鍋に箸が伸びるという塩梅だ。懐の深い茨城の酒をちびちびやりつつ、地元の人の言葉を思い出した。
「茨城の地酒は県民性に似て、でしゃばらないお酒が多い。だからどんな料理にも合うんですよ」
茨城北部の山間にあり、生産量は250石(1石=約180リットル)という小さな蔵。病に倒れた5代目の遺志を継ぎ、次男である椎名健二郎さんが杜氏を務める。超軟水で仕込む「富久心」は、すっきりとした後味が魅力だ。
海側の部屋や大浴場からは太平洋を一望。お風呂は海藻・カジメのエキスが入った、肌がツルツルになると評判のかじめ湯、海水を沸かしたミネラル豊富な潮湯、全身で温圧効果を実感できる低温海水サウナ・焼石の湯がある。全14室。
神社がある御岩山は、1300年ほど前に書かれた『常陸国(ひたちのくに)風土記』にも記述が見られる常陸国最古の霊山。188柱もの神様を祀る境内には高さ約50m、推定樹齢600年余の三本杉や、阿形(あぎょう)像・吽形(うんぎょう)像が睨む楼門などがあり、神聖な空気が漂う。参拝無料。
主役は那珂湊や大洗(おおあらい)、久慈(くじ)浜など近海の魚。「11月からは、エビみたいにプリプリで新鮮なイナダやメジマグロ、サバがおすすめだよ」と店主の冨澤良三さん。刺し身や揚げ物などが付く日替わりランチ1080円はボリューム満点。
その旨さを広めたいという思いから、取り扱う日本酒は茨城の地酒のみ。常時12種ほど置いてあり、常陸牛の陶板焼きは旨味の濃い純米、刺し身には日立市沿岸の森島酒造の「大観(たいかん)」など、地酒と地元の恵みの幸せな組み合わせを堪能しよう。
取材・文・撮影=鈴木健太
※掲載店舗で提供される料理は魚介類の水揚げによって内容が異なります。
※掲載されているデータは2017年11月現在のものです。変更となる場合がありますので、お出かけの際には事前にご確認ください。