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激辛鍋!? と一瞬思ったのは実はトマトスープで、その中には地元産の季節野菜と富士桜ポークがどっさり。さらに特製ホワイトソースとチーズが文字通り、山のように盛り上がっている。なるほど〝富士山鍋〟とはよく言ったもんだ。
この富士山鍋、富士山の北麓にある富士河口湖町で今年から提供されている新しいご当地鍋。富士河口湖町といえば富士五湖のうち4湖を有し、さまざまな角度から世界遺産・富士山を眺められる風光明媚な町として知られている。四季折々の風景も変化に富み、特に11月上旬から中旬にかけては河口湖湖畔の400~500本のカエデがいっせいに色づいて見事な秋景色が楽しめる紅葉名所だ。
そんな景色の中で味わった富士山鍋だけに、真っ赤なスープはまるで紅葉を映した河口湖、盛り上がったチーズは山頂に雪を頂いた富士山のようではないか。煮えるほどにホワイトソースとチーズがスープに溶け、まろやかなトマトの酸味が口いっぱいに広がる。シャキシャキと歯応えのある野菜と甘みの強い富士桜ポークも相性抜群。見た目も味も秋の河口湖にぴったりのご当地鍋といえるだろう。
この富士山鍋に限らず、ユニークなご当地グルメが多いのも富士河口湖町の魅力。紅葉狩りと同時に、この土地ならではの味で食欲の秋も満喫できるのがうれしい。
次の「富士まぶし」は特産のニジマスを唐揚げにしてご飯と一緒に炊き込んで、薬味を添えて味わう、名古屋名物ひつまぶしの河口湖版である。1膳目は炊き込みご飯をそのままで、2膳目はネギやミョウガなどの薬味をのせて、そして3膳目は柚子コショウをのせてだしをかけまわしてお茶漬け風にして食べる……。唐揚げにしたニジマスが香ばしく、食べ方によって風味が変わって箸が止まらない! 「一杯飲んだあとにもおすすめですよ」と割烹七草の主人・山中豊さん。紅葉シーズンにはニジマスよりも身がやわらかいヒメマスを使った「富士姫まぶし」も登場するそうで、こちらも楽しみだ。
河口湖グルメの締めは「かっぱめし」。河口湖に伝わるかっぱ伝説にちなみ、かっぱの好物であるキュウリの浅漬けをとろろや海苔とご飯にのせたシンプルな一品だ。町内の約50店で提供していて、各店でトッピングや味付けを工夫してオリジナリティを競っている。満腹でもサラサラと食べられるあっさり味がいい。
紅葉真っ盛りの河口湖で味わう、ユニーク過ぎるご当地グルメの数々。果たしてあなたのお好みは!?
ミニ懐石の最後に出てくる七草の富士まぶし。
薬味の種類が豊富。
町内4店で提供している富士まぶし。この店では馬刺しや特製揚げ餅、デザートまで付くミニ懐石で豪華に味わえる。1人前2700円で注文は2名~。ほかに鯛茶漬け1050円 や海鮮丼1620円などメニューは豊富。地酒も揃う。
●TEL.0555・73・2877。11:30~14:00・17:30~22:00、水曜休。山梨県南都留郡富士河口湖町船津1667-1。富士急行線河口湖駅からレトロバス3分の役場入口下車、徒歩2分
「野天風呂天水」で食べたあっさり味のかっぱめし。
風呂上がりにもぴったりだ。
河口湖の北岸にある日帰り温泉施設。かっぱめしはうどんかそばとセットで850円。甲州山採りきのこほうとう1200円や舞茸天そば800円なども人気が高い。入浴はせずに食事処だけの利用も可能。
●TEL.0555・76・8826。10:00~22:00(食事処は11:00~14:00)、無休。入浴1000円。山梨県南都留郡富士河口湖町河口水口2217-1。富士急行線河口湖駅からレトロバス26分の久保田一竹美術館下車、徒歩3分