「お通り」は、江戸時代からつづく大名・武者・母衣(ほろ)・華童子(はなわらべ)の巡行による、勇壮で華やかな東城の伝統行事。
慶長6年(1601)、広島藩主の家老・長尾隼人正一勝が、関ヶ原戦勝を記念して東城・世直神社の祭礼神輿(みこし)行列に武者行列を加えたのが始まりとされている。藩主が改易(領地士籍没収)された後、広島藩は浅野家となり、明治まで続いた浅野家の時代に装飾的で華やかな母衣行列が加わり現在の形になった。
開催当日は、勇壮な武者姿や華やかな衣装に身を包んだかわいらしい子供たちが商店街を練り歩き、壮麗な時代絵巻を楽しむ観客で町は熱気に包まれる。華麗なパレード「お通り」は、東城秋の風物詩ともなっている。
裃に袴、太刀姿の大名行列。侍衣装の人々が歩けば、町は江戸時代にタイムスリップしたかのようだ
男たちが鎧や兜を身に付け勇壮に町を巡行する武者行列。様々な色のおどしが鮮やかだ
元々、戦国時代の戦場で背後からの矢をよけるために用いられた武具「母衣」。兜と同様、時代を追うにつれて母衣にも装飾が施されるようになった。
東城町のように江戸中期頃の形状のまま保存されている母衣は全国でも大変珍しく、それが「お通り」の中で毎年お披露目されているのは貴重。近年、お通り保存振興会によって新たに20体の母衣とその衣装が復元された。
母衣には大中小の大きさがあり、小中学生がかついで歩く。華やかな衣装を着た子供たちが母衣をかつぐ愛らしい姿は、お通りにおいても一際目を引く存在となっている。
庄原市と神石高原町の境界を流れる帝釈(たいしゃく)川。帝釈峡は、カルスト(石灰岩)台地を帝釈川が浸食してできた渓谷で、国の名勝に指定される絶景スポットだ。
全長18kmにもわたり100mを超える断崖絶壁や奇岩怪石、急淵や自然橋が続き、神秘的な自然が目を楽しませてくれる。峡谷のほぼ中央にある神龍湖は、紅葉の美しさでも有名。遊覧船でのんびり紅葉見物をしたり、休暇村でキャンプを楽しんだり。よく整備された遊歩道は歩きやすく、紅葉狩りツアーなども行なわれている。
- アクセス
- 《鉄道》JR芸備線東城駅から福山行きバスで25分の帝釈下車 《車》中国自動車道東城ICから20分
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帝釈峡観光協会●TEL.08477-2-0525
神石高原町企画財政課●TEL.0847-89-3332