『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
東北三大祭りの秋田竿燈まつりの資料をはじめ、梵天祭りほか県内の各種行事の資料を展示する「ねぶり流し館」。広大なホールには本物の竿燈も公開。同館や「千秋美術館」など7つの文化施設を見学できる「くるりん周遊パス」500円が便利。
TEL.018-866-7091。9:30~16:30、12月29日~1月3日休。100円
秋田県の西側沿岸をメインに旅する3日間、初日のハイライトは、今話題の「エリアなかいち」。昨年から今年にかけ、秋田市中通一丁目に複合商業施設や文化施設などが造られた新スポットで、目玉は安藤忠雄が手掛けた新「秋田県立美術館」だ。三角形をモチーフにした同館自体の斬新な意匠はもちろん、常設展示する藤田嗣治(つぐはる)の大壁画「秋田の行事」にも注目!
「エリアなかいち」のレストランゾーンで比内地鶏や稲庭うどんなど地元の味覚を満喫したら、「ねぶり流し館(秋田市民俗芸能伝承館)」で竿燈(かんとう)体験にトライ! 何本もの竿先に提灯が連なる巨大な竿燈を、バランスを保ちつつ手のひらで支えるのは難しいけれど、うまく掲げられたときの感動はひとしお。秋田駅周辺では、ほかにも洒落たギャラリーやカフェが集まる川反(かわばた)中央ビル、飲み屋が集う秋田一の繁華街・川反エリアにも立ち寄りたい。
夜、移動時間がない場合は、秋田駅から車約15分の秋田温泉プラザで1泊、あるいは、より温泉情緒を求めるならJR奥羽本線で南下し、峰吉川駅から車約6分の強首(こわくび)温泉へ。登録有形文化財指定の宿「樅峰苑(しょうほうえん)」で、塩気の濃い湯に浸かり、疲れを癒そう。
翌日はJR羽越本線でズズッと南下。羽後亀田駅で下車し、バス約10分の天鷺(あまさぎ)村や天鷺城に立ち寄ろう。村内には旧亀田藩時代の武家屋敷、農家、資料館、美術館のほか、亀田歴史館などが並び、歴史好きにはたまらないスポット。天鷺城からの眺めも壮観なので、ぜひ登城を。
さらに羽後本荘駅まで下ったら、徒歩約5分の「由利本荘市文化交流館カダーレ」で本荘ごてんまりの制作体験! 木綿糸が色鮮やかな手まりの模様作りの一部を、秋田弁の講師に教わりながら挑戦できる。
仏像マニアなら見逃せないのが羽後本荘駅からバス約25分の長谷寺(ちょうこくじ)に鎮座する赤田の大仏。日本三大長谷観音のひとつとされ、9mもの高さを誇る大仏様を見上げれば、その迫力に圧倒……思わず頭(こうべ)を垂れ「悪事はしません!」と誓う。
そこからは、由利高原鉄道でのんびりローカル線の旅。できれば車窓に鳥海山を望む、進行方向右側を陣取ろう。終着の矢島(やしま)駅に着いたら、鳥海山を一望のホテル「フォレスタ鳥海」に1泊し、すべすべ温泉を堪能。
写真の状態から三方に紅白の房が下げられて完成する本荘ごてんまり。制作体験では10㎝の長針を使用。
TEL.0184-22-2660(文化交流館カダーレ、9:00~17:00)。制作体験は11・12月の日曜(12月29日を除く)の10:00~12:00、13:30~15:30(要予約)。1,500円
秋色深まる由利高原鉄道の鳥海山ろく線。9:49矢島発、羽後本荘10:47発の「まごころ列車」に乗れば、おばこ姿のアテンダントが同乗し、沿線の情報や車窓をガイドしてくれる。
TEL.0184-56-2736
土田牧場では、搾りたての牛乳やヨーグルト、ソーセージやソフトクリームをその場で食べたり購入できる。セントバーナード舎ではセントバーナードやウサギなどの可愛い姿も。
TEL.0184-36-2348。9:00~17:00、1・2月不定休。入場無料
約26haの広さを誇り「鳥海マリモ」など希少な植生も見られる獅子ヶ鼻湿原。湿原から徒歩圏内の場所には、幹回りなんと7.6mを誇る巨木ブナ「あがりこ大王」(写真)の不思議な姿も。
TEL.0184-43-6608(にかほ市観光協会)
3日目も朝はローカル線の旅から。今度は由利高原鉄道の進行左側が鳥海山の特等席だ。秀峰が見下ろす広大な稲田、里山、そして護岸工事がされていない美しき子吉川……列車はお客に田園ののどかな景色を贈りながら、ゆっくりと進んでいく。
羽後本荘駅でJR羽越本線に乗り換え、2つ隣の仁賀保(にかほ)駅まで南下。タクシーで20分弱の土田牧場では約200頭のジャージー牛を豊かな土地で放牧しており、「日本で一番安心できるミルク」と場長が胸を張る搾りたてのジャージー牛乳などを楽しめる。仁賀保駅から徒歩約10分の場所にはTDK歴史館もあるので、電子機器や科学に興味がある人はぜひ立ち寄ってみて。
もう一度、2駅南に下り、象潟(きさかた)駅からはタクシー約20分の獅子ヶ鼻(ししがはな)湿原へGO! 鳥海山の伏流水が11カ所から湧き出し、周辺は苔の美しい緑の絨毯が広がる。その上には大きなコブや幹の曲がった幻想的なブナの木々が立ち、来訪者をお出迎え。時間に余裕がない人は、九十九島(くじゅうくしま)や蚶満寺(かんまんじ)を巡り、海に浮かぶ景勝地だった往時を偲ぼう。
帰りのJR羽越本線は、日本海に沈む夕日を望むサンセットクルーズといった趣。特に小砂川(こさがわ)駅からタクシー5分の三崎公園は3つの岬があり、最高の夕日ビュースポットだ。
約130年の歴史を誇る秋田市の老舗菓子店「秋田 榮太楼」の、一番人気スイーツ。あきたこまちの米粉の生地には大納言とあおさをたっぷりと使い、彩り鮮やかに演出。しっとり生地と自家製生クリームの甘さ、県産醤油のみたらしゼリークリームのほのかな香ばしさが絶妙な味わい。幸町本店ほか市内9店舗で販売。
TEL.018-863-6133(幸町本店)。9:00~17:00、日曜休
文・構成=鈴木健太
写真協力=秋田県
※掲載されているデータは2013年11月現在のものです。